第4話:『学園のヒロインよ、恋愛脳になる前に偏差値を上げろ。』
圧倒的な実力を見せつけた後、ヒロインに呼び出される。
これもテンプレですが、ソラは「好感度」など気にしません。
決闘騒ぎの後、俺はなぜか生徒会室に呼び出されていた。 豪華な革張りのソファ。紅茶の香り。 目の前には、頬を染めてモジモジしているエレオノーラがいる。
「あ、あの……ソラ様。先ほどの魔法……素晴らしかったですわ」
……またか。 俺はため息をついた。 「圧倒的な力を見せつけると、ヒロインが惚れる」。この安直なフラグ管理システム、どうにかならないのか。
「世辞はいらない。君の魔法構築式の欠陥について、レポートをまとめておいた」
俺は懐から、徹夜(といっても数分だが)で書き上げた赤字だらけの羊皮紙を叩きつけた。
「え?」 「まず第一項。君は『愛の力』で火力を上げようとしているが、感情パラメータは不安定要素だ。再現性がない。実験データに基づかない魔法は、ただの博打だ」 「ば、博打……」 「第二項。スカートが短すぎる。戦闘時の防御力が考慮されていない。防御魔法を多重展開するコストを考えれば、物理装甲を履くのが最適解だ」
俺は彼女の瞳を真っ直ぐ見て言った。
「君は生徒会長だろう? なら、恋愛だの決闘だのにうつつを抜かすな。まずは学園全体の魔力供給ラインの見直しと、カリキュラムの効率化を図れ。……偏差値を上げろ」
沈黙。 ああ、言い過ぎたか。これで「何よ偉そうに!」と怒ってくれれば、フラグは折れるのだが。
「……素敵」
は?
「『偏差値を上げろ』……そんな情熱的な言葉、初めて言われましたわ……!」 「待て。どこに情熱を感じた? ただの業務改善命令だ」 「わたくし、今まで感覚だけで生きてきました。でも、貴方様は『論理』を教えてくださった! ソラ様、いいえ、お師匠様! わたくしに全てをご教授ください!」
エレオノーラが俺の足にすがりついてくる。 同時に、廊下で聞き耳を立てていた他の生徒たちも雪崩れ込んできた。
「俺にも教えてくれ! その『ショートカット魔法』を!」 「先輩! 俺のコードをデバッグしてください!」
「……おい。俺は静かに暮らしたいんだ。寄るな、バグが増える!」
恋愛フラグをへし折って「偏差値を上げろ」と説教した結果、まさかの信者化。
「愛」ではなく「論理」に目覚めてしまいました。
次回、第1章クライマックス。
ソラの指導により、学園がとんでもない方向に進化します。
そして、ついに現世へ……?
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