第33話:『世界征服より、世界貿易だ。関税撤廃交渉を始める。』
ソラのプレゼンにより、剣を収めた両者。
ここからは泥臭い「商談」の時間です。パジャマ姿の仲介人が、国境線を書き換えます。
「し、しかし……俺たちが手を組むなんて、各国の王が許さないぞ!」
勇者が反論する。
もっともだ。既得権益を持つ層は、変化を嫌う。
「だからこその『チート(権限)』だ」
俺は神から与えられた**【超・経済交渉術】**を発動した。
俺の言葉が、物理的な拘束力を持つ「契約の鎖」となって世界中に伝播する。
「条約第1条。魔王領と人間領の国境を開放し、経済特区とする」
ズズズ……と大地が揺れ、国境の城壁が崩れ落ち、代わりに立派な舗装道路(交易路)が出現した。
「な、なんだこれは!? 魔法か!?」
「ただの公共事業だ。……次、条約第2条。勇者パーティは解散し、魔王軍の広報部に再就職する」
「はぁ!?」
勇者が叫ぶ。
「お前の知名度は抜群だ。その顔と名声を使って、魔族のイメージアップキャンペーンを行え。『魔王印の野菜』とか売ればバカ売れするぞ」
「魔王印の……野菜……?」
「魔王、お前もだ。その禍々しい鎧を脱げ。今日からスーツ着用だ」
俺は指を鳴らし、魔王の装備をオーダーメイドのスーツに変えた。
意外と似合っている。威厳あるCEOの誕生だ。
「おお……悪くない着心地だ」
「よし。それでは、第一回株主総会を始める!」
こうして、伝説の最終決戦は、深夜の「合同経営会議」へと変貌した。
パジャマ姿の俺が議長となり、朝まで激論が交わされた。
剣の代わりにペンを。魔法の代わりに電卓を。
ラスボス戦が株主総会に。
勇者は広告塔、魔王はCEO。適材適所の人事配置です。
次回、世界が平和になりすぎて、逆に問題が?




