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ご都合主義について物申す。〜敏腕編集長は異世界出張(リテイク)で忙しい〜  作者: かるびの飼い主
第5章:ダンジョンで金稼ぎ? 税務申告と配信許可はちゃんとしろ。

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第22話:『ヘルメット未着用、命綱なし。労災認定降りないぞ。』

「空気読めない」と煽ってくる配信者KEN-CHAN。

彼は再生回数を稼ぐため、視聴者のコメントに煽られて危険なエリアへ足を踏み入れます。

「じゃあ今日は特別企画! この奥にいる『ミノタウロス』に、生身でタッチしてみた! いっくぞー!」


 KEN-CHANは俺を無視し、立入禁止のテープが貼られたエリアへ走っていった。

 コメント欄が加速する。

 『マジで行くのかw』『死ぬぞw』『勇者www』。

 無責任な野次馬たち。彼らは画面の向こうで、人の死をエンタメとして消費しようとしている。


「……待てバカ者!」


 俺は革靴で廃墟の床を蹴った。

 その瞬間、奥から重低音の咆哮が轟いた。

 巨大な牛頭の怪物、ミノタウロスが現れる。手には巨大な斧。


「うおおお! 出たぁ! デカすぎワロタ!」


 KEN-CHANは怯むどころか、さらに近づいてスマホを向ける。

 怪物が斧を振り上げた。

 届く。死ぬ。


「あ」


 若者の顔が引きつる。死の恐怖を認識した時には、もう遅い。

 斧が振り下ろされる――その軌道上に、俺は滑り込んだ。


エディット! 【安全管理セーフティ】権限行使!」


 **ガギィィィン!!**


 轟音。しかし、痛みはない。

 俺の頭上に展開された、半透明の緑色の障壁――『安全第一』と書かれた工事現場のフェンスのような結界が、ミノタウロスの剛腕を受け止めていた。


「へ……?」


 KEN-CHANが尻餅をつく。

 俺は結界越しに怪物を睨みつけながら、怒鳴った。


「ヒヤリハットで済むと思うなよ!」


 俺は若者の首根っこを掴んで引きずり倒した。


「安全帯はどうした! ヘルメットは! 退避ルートの確認はしたのか! お前の命は、再生回数よりも軽いのか!」

「い、いや、これは演出で……」

「演出なら安全対策セーフティネットを張れ! プロのスタントマンだって命綱はつける! 素人がノリで死にに行くのは『冒険』じゃない、『自殺志願』だ!」


 俺の説教は止まらない。

 ミノタウロスが再び斧を振るうが、俺のスキル**『完全危機管理セーフティ・オフィサー』**が自動発動し、全ての攻撃を「労働災害」として未然に防ぐ(弾く)。


「う、嘘だろ……ミノタウロスの攻撃を、説教しながら防いでる……?」


 カメラマンが震える手でその光景を映していた。

 スマホの画面を見ると、コメントの流れが変わっていた。


 『おっさんTUEEEE!』

 『何この結界www「安全第一」って書いてあるぞww』

 『説教がガチすぎて草』

 『この人、本物のプロじゃね?』


 俺はミノタウロスの鼻先に指を突きつけ、「お前もだ! 凶器を持って歩き回るな! 銃刀法違反だ!」と怒鳴りつけた。

 怪物は気圧され、ジリジリと後退り始めた。

おっさんのガチ説教、配信に乗る。

命懸けの現場で「安全確認」を連呼する姿が、逆に視聴者にウケてしまいました。


次回、炎上系配信者改め、安全啓蒙系配信者の誕生です。

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