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ご都合主義について物申す。〜敏腕編集長は異世界出張(リテイク)で忙しい〜  作者: かるびの飼い主
第4章:数値(ログ)も見ずにリストラするのは、経営者として無能だから嫌いだ。

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20/22

第20話:『最強クラン結成? 冗談じゃない、俺は帰るぞ。』

崇拝者たちから逃げるように帰還。

気がつけば、そこは早朝のゴルフ練習場でした。

「師匠ーっ!」

「ソラ様ぁぁぁ!」


 断末魔のような愛の叫びを聞きながら、俺の体は粒子となって消えた。

 浮遊感。そして、芝の匂い。


 ◇


「……っと」


 俺はよろめきながら、打席に戻った。

 ゴルフ練習場。

 手にはドライバー。目の前には、まだティーアップされたままの白いボール。

 戻ってきた。


「ぜぇ、ぜぇ……」


 息が上がっている。

 体感では数時間ほどダンジョンを歩き回った疲労感がある。

 だが、隣の打席の田中は、まだ素振りを続けていた。


「あれ、部長? 打たないんですか?」


 どうやら、こちらの時間では一瞬だったらしい。

 俺は汗を拭い、呼吸を整えた。


「……いや、打つさ」


 俺はアドレスを取った。

 不思議だ。さっきまで巨大なオーガと対峙していたせいか、止まっているボールがひどく簡単に思える。

 インパクトのイメージが鮮明だ。

 あのオーガの膝を砕いた時の感触が、手に残っている。


 俺は無心でクラブを振り抜いた。


 **バシュッ!!**


 凄まじい風切り音。

 ボールは一直線に飛び出し、250ヤード先のネットに突き刺さる――どころか、ネットを突き破り、遥か彼方の空へ消えていった。


「……え?」


 田中がポカーンとしている。

 俺も呆然とした。

 ネットを破った? この老朽化した体で?

 まさか……向こうで受けた「バフ」の感覚が、体に染み付いて残っているのか?


「ぶ、部長……今の何すか!? 音が大砲みたいでしたけど!?」

「……フォームを改善したんだ」


 俺は震える手でドライバーをバッグに戻した。

 シャフトに、微かにヒビが入っていた。


「田中。今日はもう上がるぞ」

「えっ、まだ始めたばかりじゃ」

道具ギアのメンテナンスが必要だ。……それに、少し体が重い」


 俺は逃げるように練習場を後にした。

 背後で田中が「すげぇ……あの歳であのパワー、何食ったらあぁなるんだ?」と呟いているのが聞こえた。


 空を見上げると、突き破られたネットの穴から、青空が見えた。

 異世界の騒動は御免だが、このスイングの感覚だけは、悪くない土産かもしれない。


「……次は、もう少しマシな世界だといいんだが」


 俺は呟き、車へと乗り込んだ。

 助手席のスマホが震える。

 新しい企画書のデータが届いた通知だ。

 タイトルは――『現代日本にダンジョンが出現! 配信者になって一攫千金!』。


「……嫌な予感がするな」


 俺はエンジンをかけ、アクセルを踏み込んだ。


(第4章 完)

お疲れ様でした! 第4章「追放ざまぁ編」、完結です。


ゴルフスイングで無双し、現世でもネットを破壊するほどのパワーを持ち帰ってしまいました。

勇者たちは今頃、ソラの銅像(スイング姿)を建てていることでしょう。


次回、第5章は「現代ダンジョン・配信者編」。

会食中のトイレから転移!?

迷惑系配信者に、元編集長が「コンプラ」と「労災」を叩き込みます。


【読者の皆様へのお願い】

ここまでお読みいただきありがとうございます!

「ゴルフ無双わろた」「ミモリちゃん可愛い(重い)」と思っていただけましたら、

ぜひ**ブックマーク登録**と、

下にある**【☆☆☆☆☆】**評価をお願いいたします!


★5ついただけると、次の章もフルスイングで執筆できます!

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