表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご都合主義について物申す。〜敏腕編集長は異世界出張(リテイク)で忙しい〜  作者: かるびの飼い主
第2章:食物連鎖の底辺が国を作るなど、生態系としてあり得ないから嫌いだ。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/20

第10話:『スライム神の誕生。……いや、俺はただの管理者だ。』

魔王軍との戦争も回避(吸収合併)し、地下都市は盤石なものとなりました。

しかし、編集長にとっては「仕事が終わった」ことを意味します。

それから数週間。

 地下都市は「魔国連邦」と名を変え、人間、魔族、亜人が共存する理想郷となっていた。

 犯罪率はほぼゼロ。失業率もゼロ。

 完璧な管理社会だ。


 王の間の玉座(高級低反発クッション)に座る俺の前に、ゴブ・ロウ宰相が跪く。


「ソラ閣下。人間との通商条約も締結完了いたしました。これで我々は、地上にも経済圏を広げることができます」

『……うむ。ご苦労』


 俺は心の中で溜息をついた。

 飽きた。

 修正リテイクすべき箇所はもうない。この国は完成してしまった。これ以上ここにいても、俺はただ崇められるだけの置物だ。


『ゴブ・ロウよ』

「はっ」

『私はそろそろ行く。……次の現場リテイクが待っている』


 俺の言葉に、謁見の間にいた全幹部が息を呑んだ。

 ヴォルカンが、オークの将軍が、涙を流している。


「行ってしまわれるのですか……我らの神よ!」

『神ではない。ただの編集者だと言ったはずだ』


 俺はぷるんと跳ねた。


『この国はお前たちが回せ。マニュアルは全てサーバー(石版)に残した。……コンプラを守って、良い国を作れよ』


 言い残し、俺は【管理者権限】で「ログアウト」を実行した。

 光が俺を包む。

 背後で「スライム神万歳!!」という地響きのような歓声が聞こえたが、俺は振り返らなかった。


 ◇


「……あつっ!」


 熱さを感じて、俺は飛び跳ねた。

 視界が戻る。

 そこは空想文庫の給湯室。

 手にはマグカップ。注ぎすぎたコーヒーが溢れて、指にかかっていた。


「……戻ったか」


 俺は慌てて指を拭き、時計を見た。

 休憩に入ってから、まだ三分も経っていない。


「部長、コーヒーまだですか? 会議再開しますよー」


 部下の田中が顔を出す。

 俺は苦笑し、溢れたコーヒーを拭き取った。


「ああ、今行く」

「? なんか部長、肌がプルプルしてません? エステでも行きました?」

「……コラーゲンを大量摂取したからな(スライム的な意味で)」


 俺はマグカップを持ち、オフィスへと戻る。

 スライムとしての生活も悪くなかったが、やはり俺にはこの苦いコーヒーと、紙の匂いが性に合っている。


 デスクに戻ると、一通の企画書が置かれていた。

 タイトルは『婚約破棄された悪役令嬢、隣国の王子に溺愛される』。


「……次はこれか」


 俺の眼鏡が、キラリと光った。


(第2章 完)

お疲れ様でした! 第2章「スライム建国編」、完結です。


スライムになってもブレない編集長。

最後はコーヒー片手に、次の「修羅場」を予感させて終わります。


次回、第3章は「悪役令嬢編」。

満員電車から夜会へ直行!?

「愛」を「法律」で裁く法廷バトルの開幕です。


【読者の皆様へ】

スライム神の活躍を楽しんでいただけましたら、

ぜひぜひ**ブックマーク登録**と、

下にある**【☆☆☆☆☆】**評価をお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ