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第四話

第四話

「ああ、そういえば、ずっと聞きたかったんだけどさ、」

「はい?」

「リクたちがやられたモンスターってどんな奴だったんだ?」

 そういえば、詳しくは話してなかったな。…正直、情けなくて。

「俺たちが負けたのは、小型の、翼竜でした…。」

「あー、やっぱ洞窟だとそこら辺か。」

「はい…。」

「…そう気を落とすなよ。私たちのパーティーだって、最初は翼竜に殺されまくってのスタートだったんだぜ。」

「え!?スーさんたちにも、そんな時期があったんですね…。」

「最初から勝ちまくってたら苦労しないっつーの。あん時は、何もかもが噛み合わなくてねー。それに比べたら、多分リクたちのパーティーのがマシだっただろうなあ〜。」

「あの、そこから、どうやって勝てるようになったんですか?」

「やっぱ、パーティーメンバーと意思疎通するのが大事なんじゃない?自分のやりたいことはっきりさせるとかね。」

「俺たちも、話し合いはしてたつもりなんですけど、なかなか連携に失敗してしまうことも多くて…。その度に空気が悪くなったりして…。」

「うーん。もうそれは性格が合わないんじゃないの?リクのパーティーメンバーのこと知らないから、あんま勝手なこと言えないけどさ。」

「確かに。確実に合ってはなかったと思いますね…。」

「なら、次のパーティーならめーっちゃ気が合うかもしれないじゃん!」

 確かに、価値観の違いは十二分にあったと思う。

 でも、あそこから仲良くなれる道もあったのかもしれない…。

「スーさんのパーティーは、どうやって仲良くなれたんですか?」

「私のパーティーは大人の人が多かったから、喧嘩というか話し合いで解決してくれる人ばっかだったんだよなあ。…ほんと、今思えば恵まれすぎてたな。」

「なるほど…。そういえば、聞いた事なかったんですけど、スーさんはなんであのパーティーに入ったんですか?」

「ボスのアチャさんって人に、たまたま誘われたんだ。」


 

およそ7年前…

 魔法学校、校長室にて

「スーファンドットさん、あなた、このままじゃ留年ですよ。」

「はぁ!?なんでだよ!」

「魔法実技の成績が非常に悪いことくらい、貴女だって分かっているでしょう?」

「だってそれは、お前らがしなくてもいいことさせてるからだろ!」

「魔法パターンを作らないなんて、あなた何のために学校に通っているの?それをしたくないと言うなら、独学で勝手にやっていれば良いじゃない。」

「だって…学校は、通わないとダメって…」

「はぁ…。私は何度注意しましたか?パターンを作りなさいと。もう、同じことを何回も言わせないでちょうだい…。はっきり言って、疲れました。」

「っ……!じゃあ辞めてやるよ!分かんねえなら!一生古いやり方に縛られてろ!!くそっ!」

 くそ!くそ!くそ!!なんでなんでなんで…っ!

なんでっ!! …うまく言えないんだよ……!

 絶対こっちのが良いのに、なんで私には、みんなを納得させるだけの力がないんだ!くそ!くそ!消えたい消えたい消えたい……

 もう、やめたい…。

 魔法以外できないから。昔から、魔力量だけは褒められてたんだ。何も出来ないけど、魔法は、魔法だけはできるんだって思い込んでたんだ。

 私にはこれしか無かったのに…。それすらも、私は出来てなかったんだ…。

 やめたい…。全部…。

 もう今日で終わりにしよう。最後に、誰よりもデカい炎出して、山一つ焼いて死んでやる。

 確か、郊外の山に的当て練習場があった気がする。そこで練習して、その後にしよう。


 …さっきから、30分以上的当て場に留まっている。山に来てから、もう1時間以上経っているのに。くそ!往生際悪いんだよ!土壇場でビビってどうする!潔く死ねよ!

 その時、がさ… と後方から微かな物音が聞こえた。こんな平和な森じゃ、どーせ野うさぎや野良ゴブリンだ。そう思いながらも、声を掛けてみる。

…今思えば、死ななくて済む理由を、私の魔法が認められるチャンスを、無意識に探していたのかもしれない。

「おい、何見てんだよ。出てこい。」

 すると、背の高い長髪の女が草陰から出てきた。内心少し驚いたが、その女はすかさず話す。

「勝手に見てしまってすまない。聞きたいことがある。君の炎は、なぜそんなに歪なんだ?」

「あ?」

「どう考えたって、定型の魔法を毎回打つ方が楽だろ?」

「うるせえな。なんだっていいだろ!!」

「良かったら、うちのパーティーに入ってほしい。」

「…はあ!?」

「君のような光輝く才能が欲しかったんだ。私は君のことを否定したり無碍にしたりはしない。どうだろうか。」

 いきなりパーティーに誘ってきた…。意味分かんねえ。なんだこいつ。

 そう思いながらも、その時弱っていた私は、誰かに、今日あったことを聞いて欲しかった。

「…私の魔法は、なんの役にも立たない。」

「?」

「パターンを作った方がいいって、入学して最初に言われたんだ。でも、私はしたくなかった。それで、魔法学校を退学に…」

「そうだったのか…。」

「きっとそんな程度のことだったんだ。私の魔法なんて。」

 少し間が空いて、あぁ。この女も、結局一緒だ。そう思いかけた時、

「いや、今の魔法界では解明されてないことも沢山ある。君が正しいと、学校の奴らに証明してやろう!私と一緒に来い!」

「!」

ずっと欲しかった、初めて言われた言葉。

 過去の記憶が、フラッシュバックする。

 

 ――――


 誰1人、私を肯定しない。

 『スーファンさんってさ、成績悪いくせにすぐ突っかかってくるよね。そのせいでグループの課題止まるからマジでやめてほしいんだけど。』

 ……うるさい。

 『あなたは!何度言えば分かるのですか!!安定した魔法を毎回出すことを徹底しなさい!!学校に入れば皆が最初に出来ることですよ!!』

 …………ちがう。

 『あの子退学になるらしいよ』

 『やっと?って感じなんだけど。はぁー、ようやくグループ授業が楽になるわー』

 ……ちがう!

 『まあ、魔法じゃなくても良いんじゃないか?剣士だって人気の職業だぞ?先生がいい師匠を紹介してやろうか?』

 そんなんじゃなくて!私が欲しいのは!


 ――――


いや、いくら欲しかった言葉をくれたからって、こんな女、信じれないでしょ。いきなり勧誘してきて、見た目だって、銃を二丁引っ提げて、魔術師な訳なんてないのに。

 「…いっこ、聞いていい?あんたは、見るからに魔術師じゃ無いけど、何で、私の魔法が普通のと違うって分かったの?」

「私は、元々魔術師志望で、勉強もしていたんだ。…でも、才能が無かった。理由は、それだけだ。どうだ?入る気になったか?」

 その言葉に、嘘は無いみたいだった。私は、自分と同じ境遇のこの女に、ついて行きたくなっていた。

「……あんたのパーティーに入ったら、魔法の研究はできる?」

「ああ、とことん研究するといい。」

「…なら、そんなに幸せなことない。」

「これからよろしく。名前は?」

「スーファンドット。」

「アチャだ。これから、宜しくな。」

初めて、スランプ仲間を見つけた。

 

 ……


「とまあその後もなんやかんやあって、今こうしてあのパーティーに居させてもらってるって訳。」

「へぇー!たまたま山で会うなんて、凄い奇跡ですね!」

「そんな感じで、どん底にいた私でも出会い次第で良いとこまでいけるってことは、リクは全く悲観するような状況じゃないってこと!めげずに何回も人探し!これに尽きるって感じ?」

 ってやば、私なんか今、先輩風吹かしてる?いやでもそれは会った時からかも…これ以上言うのやめとこ…。

「スーさん。ありがとうございます。おれ、なんか凄い元気出ました。」

「う、うん。」

「これから、たまに街に降りて、新しい出会いを探そうと思います。」

「!…まあ、新しいメンバーが見つかったら、いつでも言ってくれよ。それまでに、……まあ、何とか、家事を覚える……から…。」

「ははは!いいですよ!冒険者兼家事手伝いとして、たまに来ますから。」

「そ、そんなことしてくれなくても、いつか出来るようになるし!?もうこの前みたいな失態はしないって誓ったし…。」

「ははははっ!」


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