なんでも欲しがる妹に、結婚も爵位も奪われました。でも、じつはこれ、全部、私が仕組んだことですよ?
私、ユリア・ソート伯爵令嬢は、今年で三十歳になりました。
我が国の成人が十五歳なので、その倍の年齢になります。
とうに嫁き遅れになってしまいました。
病身のお母様と歳の離れた妹がいるので、その世話に明け暮れて婚期を逃したのです。
それでもお母様は優しく思いやりのある人で、私のことを気にかけてくれていました。
ベッドで横になりながらも、白磁のような手を伸ばし、いつも言い続けていたのです。
「私の世話は良いから。早くあなたも結婚しなさい」と。
けれども、我が家には使用人を雇うお金がありません。
ですから、実際にお母様のお世話ができるのは私しかいませんでした。
それに、家族の世話で時間を費やす現状では、男性と巡り会う機会がありません。
十年ほど前までは学園に通っていましたが、そのときも、私の家の経済状況を知ると、貴族令息は誰もが尻込みして、私に言い寄る男性は現れませんでした。
その結果、今や私も三十路となって、婚期を逃してしまったのです。
ところが、その年の春ーー。
そんな私に、突然、結婚話が舞い込んできました。
「とりあえずは婚約をして、三ヶ月後には結婚しよう」と言う男性が現れたのです。
その男性は、貴族家の当主や令息ではありません。
ボマスという名の、平民階級の商人でした。
しかも、齢四十を超える、肌が浅黒く、でっぷりと太った男です。
けれども、かなりの富豪でした。
亡父の代から我が家に出入りするお抱え商人で、華やかだった頃のソート伯爵家を覚えている男です。
ですから、お母様とも懇意にしていました。
寄親貴族が仲人をしてくれるということで結婚が決まり、まずは婚約を交わしました。
商人ボマスの婚約者になってからというもの、私の生活は一変しました。
人生始まって以来の贅沢三昧となったのです。
毎日といって良いほど花束や宝飾品が贈られ、舞踏会に呼ばれます。
もとより、ソート伯爵家宛に舞踏会の招待状は頻繁に送られて来てはいました。
ですが、財力が乏しくてドレスを新調してばかりもいられず、何よりエスコートしてくれる男性が私にはいませんでした。
その結果、舞踏会への参加を断り続けていたのです。
ですが、今は財力があります。
中年男性とはいえ、貴族家によく出入りして作法も心得ている、エスコート役の婚約者ボマスがいます。
おかげで、夜毎に開催される舞踏会に参加して、贅を尽くした食事を味わうことができました。
ボマスも上機嫌で、太った腹を揺らせながら、
「貴女と婚約していなければ、私などが招待されることはありませんでしたよ」
と浮かれた声をあげます。
私、ユリアと商人ボマスーー婚約者同士の関係は、まさにwin-winの関係でした。
私にも、就寝前に行う、新しい習慣が出来ました。
姿見の大きな鏡の前で、婚礼用の純白ドレスをはじめとした、様々なドレスに袖を通して、クルクルと舞い踊るのです。
それから、ベッドに倒れ込んで就寝しますと、優しい絹の肌触りを感じながら、ぐっすりと眠ることができました。
若い時には味わうことができなかった華やいだ雰囲気に酔い痴れ、私は幸せでした。
そして、婚礼の儀まで、あと一ヶ月と迫ったときーー。
意外なことが起こりました。
歳の離れた妹リリアが、突然、「その結婚、私がしたい!」と言いだしたのです。
その裕福な商人ボマスのところに嫁ぎたい、自分の方が嫁にふさわしいと訴えました。
「お姉様だけ、この家から逃げるなんてずるい。
私、お母様の面倒なんて見られない。
これじゃあ、いつまで経っても、私は煌びやかなドレスを着られないじゃないの!」
リリアは頬を膨らませます。
それを見て、私、ユリアは吐息を漏らしました。
(やっぱり……)
妹リリアは、なんでも欲しがります。
リリアは金髪の巻き毛で、瞳の色は碧色で、キラキラと輝いています。
銀髪に青い目をした、地味な姉の私、ユリアとは大違いです。
妹のリリアは、いかにも貴族令嬢らしい雰囲気にあふれていました。
彼女が五、六歳の子供のときなどは特に、仕草も口にする言葉も、みんな可愛かった。
「私は王子様と結婚するの。
それでね、私がお城住まいのお妃様になったら、ドレスを取っ替え引っ替えするの。
そしたら、お母様にも、お姉様にも、ドレスを買ってあげる」
そうしたリリアの〈幼い夢〉を耳にして、お母様は両目いっぱいに涙を溜めたものです。
「そうね。いっぱいドレスがあったら、舞踏会にも出られるわね……」
私、ユリアがまだ幼く、リリアが生まれたばかりの頃、父カールが亡くなりました。
それからは、お母様がソート伯爵家の当主となったのです。
ですが、それ以降、経済状態が急速に傾いていきました。
お母様は病弱なうえに押しが弱い。
おまけにマミア・ソート伯爵と名乗るようになっても、女性当主ゆえに舐められます。
家令に資産を横領されるなどして、使用人も満足に雇うこともできなくなり、ソート伯爵家は貴族家とは思えないくらい貧しくなってしまいました。
それでも、私、ユリアもなんとか遣り繰りして、妹リリアに贅沢をさせてあげました。
お母様や私の衣装代を浮かせてリリアのドレスを買ってあげたり、デザートを我慢して、リリアだけに甘いプリンやケーキを買ってあげました。
誕生日にはピクニックに連れて行き、夜には楽団や料理人を家に招いて、中庭でパーティーを開いたりもしました。
プレゼントも、それなり高価な宝飾品を贈りました。
妹リリアには、通常の貴族生活の残り香を楽しんでもらったのです。
お父様が存命だった頃を思い出して、お母様も懐かしんで、喜んでいました。
実際、リリアは器量が良いので、ドレスをまとっても、デザートを頬張っても、いちいちサマになりました。
ですが、私たち母娘がもてはやし続けたばかりに、我儘な子に育ってしまったのです。
幼い頃は、リリアはほんとうに可愛かった。
けれども年頃になって、我がソート伯爵家が、他の貴族家のように豊かではないことに気付いてしまうと、言葉使いが荒くなりました。
さらに学園を卒業して色気付くと、私のことを「嫁き遅れのババア」と侮辱するようになったのです。
日毎に病状が重くなるお母様の介護をしたり、炊事洗濯、掃除をして、妹の衣服のほつれを縫い直してあげているのに、私に感謝の言葉もかけません。
しかも、そうした妹の態度の変化を、お母様はよく知りませんでした。
リリアはいつも、お母様には良い顔をしているからです。
でも、結婚を間近に控える今になって、
「お姉様だけ、この家から逃げるなんてずるい」
とまで口にしたのです。
その妹リリアの姿を、お母様はしっかりと見てしまいました。
なので、さすがにお母様も眉をひそめ、妹の我儘を抑えようとしました。
「そんなことを言うのは、はしたないですよ、リリア。
この結婚は、ユリアお姉様のためのものなんですよ。
それに、先方もお姉様を気に入ってくれているのだからーー」
けれども、妹は言い張り続けます。
「私の方が若くて美しいわ。
それに、私はボマスに真実の愛を感じました!」
いったい、何があったのでしょうか。
妹が不満を鳴らしてから一週間が経った頃、商人ボマスの方も心変わりしていました。
結婚式まで、あと半月と迫ったときーー。
ベッドで半身を起こすお母様と、その脇で、お茶を飲んでいる私の前に、ボマスとリリアが揃って顔を出してきたのです。
禿げた頭を撫で付けながら、ボマスは私に言い放ちました。
「ユリア嬢。
まことに勝手ながら、貴女との婚約を破棄させてください。
代わりに妹のリリア嬢と婚約いたします!」
私、ユリアは生唾を飲み込みます。
意外な展開に驚き、お母様は、うわずった声をあげました。
「そんな、いきなり……」
私の婚約者であった商人ボマスが、隣にいた妹リリアを、自分の胸元に抱き寄せます。
「真実の愛を見つけたんです。
お義母様!
妹のリリア嬢と結婚させてください。
他には何も要りません!」
「でも……」
お母様は、さすがに難色を示します。
実際、私、ユリアが結婚するにも十歳以上、ボマスと年齢が離れていました。
リリアが相手となると、二十歳近くの年齢差ーーまるで父と娘の開きがあります。
それでも、商人ボマスは真面目な顔をしています。
妹リリアは得意げに顎を突き上げていました。
私は頭を垂れて、退き下がりました。
「いいわ。私は身を退きます。
お母様の面倒を最後まで見たいから、これでよかったわ」
こうして、三十歳になってようやく訪れた私の縁談は、あっという間に壊れたのです。
そして、私の婚約者は、妹に奪われたのでした。
それから半月後ーー。
ボマス側からの出資で、ボマスとリリアの、盛大な結婚式が行われました。
教会には、たくさんの花束や引出物が所狭しと飾られ、大勢の参列者がありました。
ボマスが営む商会の取引相手のほか、私、ユリアと参加した舞踏会で知り合った貴族家の者が何十人も参列してくれました。
ボマスの結婚相手が私ではないことに、皆が一様に目を丸くしていました。
ですが、いまだ若い貴族令嬢が、中年の商人と結婚するという事実に話題が移り、それだけソート伯爵家の窮状は厳しいと察せられ、参列者のほとんどから、私たち家族が憐れまれるありさまでした。
ところが、そうした他人の顔色から心情を汲み取るのは私、ユリアだけです。
妹リリアは得意満面、「これで貧乏から脱出できる」と上機嫌になっていました。
車椅子で参列したお母様も、たいそう嬉しそうにしています。
お母様は、私に遠慮して、初めのうちはおとなしくしていましたが、式を終える頃には、妹リリアの両手を握り、大粒の涙を流して、笑顔になっていました。
結婚式を終えてーー。
お母様を寝かしつけ、ガランとしたソート伯爵邸で、姉妹二人きりになりました。
白い婚礼用のドレスを身にまとう妹を相手に、私は微笑みかけます。
「お母様、喜んでらしたわ。
『ただ、ユリアのことだけが心配』
と、うわごとのように言うのには、ちょっと閉口したけど」
自虐ネタをぶっ込んで、私なりに笑いを取ろうとしたのです。
せっかくの結婚式ですもの。
姉妹で笑い合って別れたいじゃない?
でも、そういった私の気遣いは報われることなく、妹は不快な物言いをします。
「ほんと。お姉様は、親不孝よね。
しばらく結婚できそうもないし」
さすがに私はムッとしました。
そんな私の表情の変化を見て、妹は笑います。
リリアはいつにも増して勝ち誇った顔をしていました。
「でも、お姉様は結婚なさらなくて良かったわ。
教えてあげるけど、ボマスは最初っから、お姉様を愛してなんかいなかったのよ。
ソート伯爵家という名誉ある貴族家に縁付いて、肩書きが欲しかっただけ。
伯爵令嬢を妻に迎えたって、商人仲間の間で箔がつ付くのだそうよ。
そういった意味では、ボマスにとっては、お姉様でも結婚相手は構わなかったんでしょうけど、お姉様は嫌なんでしょ? 愛がない結婚なんて。
だから、私が奪ってあげたのよ。
私は気儘にドレスが新調できて、たっぷりスイーツがいただけるような、豊かな生活を送りたいの」
じつをいうと、そうしたボマス側の事情についてまだよく知らなかった頃から、リリアは中年平民男のボマス相手に、積極的にアプローチしていました。
連日、贈り物を受け取り、夜毎に舞踏会に参加する姉ユリアが、羨ましかったのです。
「ねえ、ボマスさん。お姉様の代わりに私、リリアと結婚しない?」と。
そうしたら、あっさり応じてきたのです。
リリアの金髪頭を撫でて、ボマスは太った腹を揺らせました。
「そこまで言うんだったら、私は貴女と結婚しても良いですよ。
いや、同じ伯爵家の娘だったら、若い娘の方が良いと言えましょう。
ですが、私にも外聞というものがあります。
すでにお姉様との婚約を済ませており、貴女と結婚するには、お姉様との婚約を破棄しなければなりません。
かなり面倒な手続きもございます。
それを無理してやるメリットがございますかな」
「あるわ!」
リリアはここぞとばかりに、商人ボマスに密告しました。
「じつは、ソート伯爵家の家督相続者は、お姉様ではありません。
妹の私、リリアなんです」
「なんですと!?」
ボマスは驚きの声をあげました。
リリアは中年男に笑顔を振り向けて、打ち明け話をしたのです。
そのときから二ヶ月ほど前、ちょうど姉、ユリアとボマスの婚約が決まった頃のこと。
母マミア・ソート伯爵は、
「おそらく、私の生命も長くはないでしょうから、遺言と思って、よく聞いて」
と前置きしてから、このように妹リリアに告げていたのです。
「このソート伯爵家の家督はリリア、貴女に譲らせてもらうわ」と。
普通は長子相続ですから、てっきり姉ユリアの方が家督を継げるものだと、妹リリアも思っていました。
ところが、お母様は、ソート伯爵家の家督を妹リリアに譲ると言ったのです。
家督を担う母親から望外の発言を得たので、時期を見て、リリアは攻勢に出ました。
姉ユリアから、婚約者を強奪しようと動いたのです。
「ねえ、ボマスさん。
貴方も、伯爵位を相続する私、リリアと結婚した方が、箔が付くでしょ?
そればかりか、正式に伯爵となった私なら、いずれ結婚相手である貴方を当主にして、伯爵と名乗れるようにできましてよ」
思わぬ提案を二十歳そこそこの娘から提案され、商人ボマスは舌舐めずりをしました。
すでにマミア・ソート伯爵から姉ユリアと婚約しただけで、「ソート伯爵という家名はご自由にお使いください」と言われてはいます。
とはいえ、妹が伯爵となるのなら、姉と結婚しても、ほんとうに伯爵位を授かる女性を妻に迎えることにはなりません。箔付けだけの結婚になります。
ところが、若い方の妹と結婚すれば、近い将来、本物の伯爵になる女性を妻に迎えることになります。
うまくすれば、広大な伯爵邸や領地をも、自分の財産にすることができるのです。
おまけに、将来的には、家督を妻から譲り受けて、自分自身が伯爵になることも可能になるかもしれません。
要するに、年増の姉と結婚する利点がまるでない、と判明したのです。
平民ボマスは浮かれて、思わずリリアを抱き締めました。
リリアも抵抗しません。
そればかりか、さらにリリアの方から、豊満な乳房を押し付けてきました。
年増の姉ユリアは一向に肌を許さなかったのに、随分な違いでした。
結局、この夜、ボマスは初めて貴族令嬢の身体を抱くことができました。
そのこともあって、商人ボマスは、姉から妹に結婚相手を乗り換えたのです。
リリアに乗せられるように、「私も真実の愛を見つけました」などと口走りましたが、それも、結婚相手を姉から妹に乗り換えた負目あってのことでした。
かくして、見事、富裕商人の花嫁となったリリアは、得意げに顎を突き立てます。
そして、元貴族令嬢らしく扇子を広げて笑いました。
「悪いけど、お姉様には何も残ってないわ。
伯爵の称号も、結婚も、どれも消え去ったのよ。
それなのに、お母様の面倒を見続けるって、バカみたいよね。
おほほほ」
身を翻して立ち去る妹の背中を見送り、姉のユリアは、全身の震えを抑えるだけで精一杯でした。
◇◇◇
それから、わずか半年後ーー。
お母様ーーマミア・ソート伯爵が亡くなりました。
伯爵邸で葬式を終えた後、妹夫妻、リリアとボマスが居残って談判してきました。
彼らは五、六人もの使用人を応接室にまで引き連れてやって来て、彼らを後ろに並ばせた状態で、夫妻揃ってテーブル席に着きました。
私、ユリアは、自らの手で妹夫妻にもカップを配した後、彼らの対面に座ります。
するとボマスは開口一番、「近いうちにソート伯爵邸を明け渡すように」と命令します。
そして、「爵位を相続する手続きはいつからなの?」とリリアは問うてきました。
ですから、私、ユリアは、妹夫妻を前にして、悠然と紅茶を口にしながら答えました。
「もう、とっくに済ませましたよ。今や私、ユリアがソート伯爵家の当主です」
私の返答を耳にして、ボマスは「むっ!?」とだけ口にして、押し黙ります。
さすがにソート伯爵家の家督相続は、嫁の実家の問題なので、ソート家の姉妹で話し合うべきだ、という筋は守るつもりらしい。
中年の商人は、隣に座る妻リリアに、強い視線を向けます。
弾かれたようにリリアは前のめりになって、疑問を呈しました。
「は? おかしいわ。ソート伯爵家の家督は私、リリアに譲るってお母様が……」
私はカップを置き、扇子を広げます。
「それは、私が嫁いで、貴女がソート家に留まった場合の話よ。
『このソート伯爵家の家督はリリア、貴女に譲らせてもらうわ』
とお母様はおっしゃったでしょうけど、それはあくまで、
『ユリアは遣り手の商人ボマスさんの許に嫁ぐから、もう安心だわ。
ですから妹のリリアにはーー』
という前提があってのことだったはず。
現に、貴女が結婚して、私が実家に居残ることになったら、お母様はソート伯爵家の家督を私に譲ってくれたわ」
家督相続についての話をリリアが聞いたのは、お母様と二人きりだったときのこと。
リリアは目を丸くしました。
「どうして、お姉様がーーお母様が私におっしゃった言葉を知ってるの?」
「それは貴女に『家督を譲る』と言ってもらいたいって、私がお母様にお願いしたからよ。
伯爵家の家督相続のような重要なこと、お母様が私に黙って決断できると思う?」
「え?」
「順を追って説明してあげるわ」
私、ユリアは扇子をパチンと閉じて、妹の隣に座る旦那ーー元婚約者ボマスの方に扇子を向けます。
「今だから言いますが、私はボマスーー貴方の許になんか、嫁ぎたくありませんでした。
貴方が貴族令嬢と結婚することで箔をつけたいだけの俗物だとわかってましたから。
それに、我がソート伯爵家が困窮した原因の一つは、お母様が貴方ーーボマスに領地経営を任せ切っていたからです。
お母様がソート伯爵家の当主になった途端に、家令がソート家の財産を持ち逃げしたのも、貴方が裏で手引きしていたのでは、と私は疑っています。
それなのに、お父様の知り合いだからって、貴方を信用しすぎたのですよ、お母様は。
私との縁談まで勝手に進めてしまうなんて。
こんなの、平民による、露骨な貴族家の乗っ取りじゃないですか!
誰が、貴方のような乗っ取り男なんかに、抱かれてやるものですか。
それに、お母様ならともかく、貴方のような、中年男の面倒なんかみたくありません。
だから、私は考えたんです。
どうしたら、この理不尽な結婚から逃れられるか、と。
そうしたら、思いついたの。
ああ、そうだ。私には、可愛い妹がいるんだって。
ボマスさんーー貴方は、伯爵家の娘を手に入れて、自分に箔を付けたいだけ。
だったら、結婚相手を妹に乗り換えさせれば良いはずだ、と思い付いたのです。
同じ伯爵令嬢なら、若い娘の方が良いと思うに決まってますからね。
でも、若い身体だけでは物足りない。
私との婚約を破棄をして、寄親貴族をはじめとした、多くの方々に迷惑をかけさせるまでの利点ーー餌が必要です。
では、俗物商人の貴方が、妹と結婚した方が得だと思わせるには、どうしたら良いか。
そのための餌は何か?
それは簡単ですね。
餌となるのは、伯爵位のほかはありません。
それも、妹のリリアに乗り換えさえすれば、貴方自身が、伯爵として貴族社会に入り込めると期待させると、確実に釣れるに違いないーーそう私は思いました。
そのためには、まず伯爵位を妹リリアがいずれ相続すると思わせれば良い。
将来、妹が伯爵になると知れば、ボマスさん、貴方なら妹に乗り換えるに違いないーーそう思って、私は貴方と婚約した直後に、お母様に根回ししておいたんです。
お母様は素直に応じてくれましたわ。
『ええ、そうね。貴方が結婚したら、妹に家督を譲るーーそれは良い考えだわ。
貴女は豊かな方と結婚するけど、妹のリリアはこのまま家にいるのだから』
ってね。
そうして、お母様にお願いして、
『私、ユリアがボマスさんと結婚したら、妹リリアに家督を相続させる』
という内容を、妹のリリア相手に言ってもらったのです。
念のために繰り返させてもらいますが、
『このソート伯爵家の家督はリリア、貴女に譲らせてもらうわ』
と、お母様がおっしゃったようですけど、それはあくまで、
『ユリアはボマスさんの許に嫁ぐから、もう安心だわ。
ですからーー』
という前提があってのことなんです。
とにかく、このように、私がボマスさんと婚約した段階で、すでに根回しを済ませておきました。
そのうえで、私はボマスさんーー貴方の財力に物を言わせて、贅沢三昧に耽ることにしました。
連日連夜、新しいドレスを身にまとって、舞踏会に出向くことにしたのです。
婚礼用や新品のドレスを着て、鏡の前で舞い踊ります。
キラキラとした宝飾品を、常日頃から身につけてーー。
すると、案の定、〈欲しがりの妹〉が、ボマスとの結婚話を奪おうとしてきました。
ついに『その結婚、私がしたい!』とまで言い出したのは、ほんとうに滑稽だったわ。
おまけに『真実の愛』などと、リリアだけでなく、中年のボマスさんまでも口走る始末。
私は喜んで婚約破棄を受け入れました。
すっかり計画通りだったってわけです。
ですけど、そうした裏事情をまったく知らないお母様は、
『〈真実の愛だ〉というから、結婚は妹に譲ってやって。ごめんなさいね』
と私に言いました。
その結果、貴方たち二人は結婚できたのです。
そして、貴方たちの結婚式が終わり、お母様を寝かしつけるとき、リリアの結婚式で自分がはしゃいでしまったことを悪いと思っているお母様に、その罪悪感に付け込むようにして、私は言ったの。
『私、このままだと、完全に嫁き遅れになってしまいますわ。
せめて婿を取りやすくするために、伯爵家の家督を私に譲っていただけないかしら』と。
すると、お母様は言ってくださったわ。
『もちろん、そのつもりですよ。
以前、妹のリリアにソート伯爵家の家督を譲ると言ったけど、それは無しにします。
もうリリアは、遣り手の商人さんの家に嫁いだんですものね』
そう言って、お母様は、これに署名したのよ」
私は一枚の大きな証文を鞄から取り出します。
妹はテーブルに身を乗り出して、証文をひったくりました。
随分と無作法なこと、と思ったけど、私は妹夫妻に向けて、そのまま話を続けます。
「あなた方は知らなかったかもしれませんが、もとより、家督相続には、先代からの認証署名が必要です。
そして先代から指名を受けた者に、王家から改めて爵位を下賜されるーーそういう手順を踏んで、家督相続がなされるのです。
ですから、お母様から正式な認証を受けた私、ユリアこそが、ソート伯爵になる権利があり、その権利を行使して、お母様の生前、あなた方が婚約したときから、支障なく家督相続がなされるよう、王宮に働きかけてきました。
その甲斐あって、お母様が亡くなると同時に、私、ユリア・ソートが、伯爵位とその領地を無事、継承することができたのです。
この証文は、私が新たなソート伯爵となったことを証明するもの。
もう一枚、同様の証文がありますが、これはすでに王宮に提出済みです。
残念ね。もう、あなた方には、どうにもできないわ」
リリアは目に悔し涙を溜め、バン! とテーブルを叩きました。
「お姉様ーーあのとき、悔しそうになさってたのに!」
私は改めて、妹の顔を見据えます。
「ああ、結婚式の後のこと?
そうね。貴女は得意げに顎を突き立てて、扇子を広げて笑ってたわね。
『悪いけど、お姉様には何も残ってないわ。
伯爵の称号も、結婚も、どれも消え去ったのよ』
とか、捨て台詞を残して。
たしかに、あのとき、私は全身の震えを抑えるのに必死だったけど、それは悔しかったからじゃないわ。
今にも笑い出しそうになってたから、それを堪えるのに一生懸命だったの。
悪いわね」
今度は私の方が扇子を広げて、口許を隠します。
幼い頃、あんなに可愛かった妹の顔が、醜く歪んでいました。
「お姉様の意地悪!」
リリアはテーブルに身を乗り出し、私の銀色の髪の毛を掴みかかろうとしました。
が、私はその手を振り払います。
その瞬間、妹夫妻の背後に居並ぶ使用人たちが、いっせいに身構えました。
無駄のない、その動きでわかります。
使用人たちは皆、武道の心得があるようでした。
でも、私、ユリアは椅子の上で居住まいを正し、毅然として言い放ちました。
「よろしくてよ、私を打つなり蹴りなどしても。
でも、覚悟なさい。
私は今現在、ユリア・ソート伯爵ーーソート伯爵家の当主よ。
その貴族家当主相手に暴行を働いたら、どれほどの罪になるか。
特に平民が貴族家当主に暴力を振るったら、それだけで死罪は免れないわ。
それを承知で、私を襲いたいなら襲いなさいな」
今の私には護衛役もいないし、侍女すらも随伴していません。
けれども貴族としての地位ーー爵位の存在自体が、身を守る武器となっているのです。
ボマスは苦虫を噛み潰したような顔で、首を横に振りました。
それとともに、使用人たちは退き下がります。
ボマスは隣に座るリリアを罵倒し始めました。
「おまえが伯爵になると言ったから、俺はーーそれなのに!」
中年男は、当てが外れて激怒します。
「私だって騙されたのよ。悔しい!」
リリアは涙目で凄んで、唇を噛みます。
私は、リリアを相手にせず、旦那を相手に、さらに話を進めました。
「ところで、ボマスさん。
ちょっと前に法律が変わって、爵位を買い取ることができるようになったのをご存知かしら?」
中年男は、ブスッと押し黙っています。
その態度から、やはり知っていたようでした。
数年前から、爵位を金で買えるように法律が変わっています。
当然、ボマスは知っていました。
ですが、いくら法律で認可されようとも、金で爵位を買った者は、婚姻によって貴族社会に入り込んだ者より馬鹿にされがちでした。
金銭によって貴族になった者は、爵位持ち貴族の配偶者よりも、爵位が高くとも軽侮されるのです。
それに、できるだけ安上がりで貴族社会に入り込みたい、だから、内情を知悉したソート伯爵家の娘と結婚しよう、とボマスは画策したのでしょう。
私は扇子で自らを煽りつつ言いました。
「ボマスさん。貴方、伯爵になりたくない?
欲しければ、売ってあげてもよろしくてよ。私の爵位」
ボマスは、チッと大きく舌打ちをします。
こっちの狙いを完全に読んで、嵌められたんだ、と彼はようやく気付いたのです。
今や妹リリアと結婚しただけでは、「元伯爵令嬢を嫁にした」という箔が付いただけで、貴族社会に十分に潜り込めたとは言えません。
姉ユリアが伯爵位を持つからには、ユリアと結婚すれば良かったのです。
ですが、どうやら自分と結婚しなかった方が伯爵位を継げるように、初めから設定されているようでした。
ならば、最初から、婚姻によって爵位を得ることは不可能で、金銭づくで購入するしか、ボマスが爵位を得ることはできなかった、ということになります。
中年男は禿頭を真っ赤にして、ギリギリと奥歯を噛み締めます。
遣り手の商人ボマスは、今までずっと貴族令嬢を妻に迎えたいがために、愛人を何人も囲いはしましたが、平民女との結婚は頑なに拒否してきました。
女を金で自由にしてきたのです。
それなのに、今、三十歳になった嫁き遅れの貴族令嬢にしてやられたのが、悔しくてなりません。
それでも、嵌められたのを承知で、ユリア伯爵の提案に乗るしかありません。
乗らなければ、伯爵位など、今後、手に入らないかもしれないからです。
そもそも、伯爵位を金銭で売却するなど、先代の母親マミア・ソート伯爵なら考えもしなかったでしょう。
亡き夫の家を守る意識しかなかったに違いありません。
でも、このユリア・ソート伯爵は違います。
ソート伯爵家の屋敷も爵位も、母親が死んだとなれば、こだわりもありません。
爵位を売ることに、なんの抵抗もないようです。
ボマスは喉を鳴らします。
「念の為に聞こう。いくらだ?」
ユリアは、いくつかの項目に分けて数字を列記した書類を差し出しました。
その書類を手に取って一目見るや、ボマスは生唾を飲み込みました。
何億もの、法外な値段が提示されていたのです。
「ば、馬鹿な!
いくら伯爵とはいえ、そのような高額、聞いたことがーー」
私、ユリアは扇子で口許を隠しながら笑いました。
「あら、ボマスさん。よくお気づきで。
もちろん、これは貴方だけを相手にした金額ですよ。
でも、決して不当なものではありません。
この半年間ーーお母様がお亡くなりになるまでの間、寄親貴族のドウモン公爵と王宮の公認監査官などの方々に依頼して、我がソート伯爵家が有する全資産の価値を算出し、かつまた、領地や資源から得られる収益を調べ直したんです。
すると、面白いことが、わかったのですよ。
毎年、ソート伯爵家の収益の半分近くが何者かに抜かれていたのです。
本来なら、領地から収められるはずの小麦、海産物、穀物の約三分の一が横流しされ、鉱山から採掘された鉱石や、お父様が金銭を貸し付けた相手からの利子収益などに至っては全額が、我が家に入っていませんでした。
手数料、仲介料といった適当な名目で、本来の収益が垂れ流されていたのです。
我が家が貧しかったのは、家令が資産を横領したからだけではなかったのですね。
さらに、ここ最近、お母様が領地経営なさっていた頃の帳簿が見つかりましてね。
帳簿にあった字や数字を見て、驚きました。
右肩に極端に寄せる癖のある字ーー以前に見慣れた、元婚約者の字でしたわ。
『領地経営には、これほどの経費がかかります』とお母様相手に算段したの、ボマスさん、貴方でしたのね?
でも、おかしいんですよ。
貴方が記した帳簿の収益、歳出費用の金額が、本来あるべき金額に合わないんです。
ですから、この書類に記された金額は、ボマスさん、貴方個人に向けられたものです。
我がソート伯爵家の資産価値を正確に割り出した数字に、お父様がお亡くなりになって以来、毎年、何者かに抜かれていた、本来あるべきだった収益を加算したものです。
ボマスさん。貴方なら支払えますでしょ?
我がソート伯爵家の収益を横から吸い尽くしておられたのですから。
ーーでも、いいですよ。
もちろん、お断りしても。
私の爵位を欲しがる者は、商人のほかに、子爵や男爵などの貴族まで、それなりにおられますから。
すでに、他の方々との商談がーー爵位と領地を購入したいという相談が、来ておりますので。
ああ、そうそう。
そういった我が家の財産と爵位の購入希望者に、この書類と、発見された領地経営の帳簿をお渡しすると、いろいろと見つかってしまうでしょうね。
王宮の公認監査官に精査してもらって、適正な価値を算段するでしょうから。
もちろん、我がソート伯爵家の財務を司っておられたのが、今は姿をくらませた家令と、ボマスさん、貴方であるということは、すぐに明らかになるはずです。
ちなみに、この書類と、貴方が記した我が家の帳簿の本体が、すでに王宮の監査課に、そして、その写しが、寄親のドウモン公爵の許に預けてあります。
もし私が亡くなった場合、事故や病気など、いかなる理由であれ、その書類と帳簿は開示されるようお願いしております。
ボマスさん。貴方がこの書類に提示された金額をお支払いくだされば、その限りではありませんが」
「ぐっ……!」
ボマスは太った身体を震わせながら、声を絞り出しました。
「わかりました。買わせてもらいましょう。その書類に記された金額で……」
私、ユリアは扇子をパチンと閉じ、からかいます。
「あらあら。結構な金額ですけど、賄いきれます?
アナタの商会が傾きかねませんが」
「構わん。ここは買うしかない……」
ボマスは口をへの字に曲げます。
夫が手にする書類を横合いから盗み見して、妹リリアは甲高い声を張り上げました。
「なによ、これ!?
お姉様! こんな金額ーー見たことないわ!
駄目よ。これじゃあ、約束してくれてた、私のドレスはーー?」
「おまえのドレスなんか、知るか! この穀潰し、金食い虫が!」
ボマスはバシッ! とリリアの頬を叩きました。
リリアは床の上に倒れ込みます。
「結婚したら、毎月、ドレスを買ってくれるって言ったのに!
わあああん!」
両手で顔を覆う幼妻に対し、中年男も涙目になりながら、雄叫びをあげました。
「もう無理だ!
どれだけ金額が嵩もうと、ソート伯爵家を丸ごと買って、帳簿を手に入れないと、俺は監獄行きだ!
そうなると、俺が今まで築き上げてきた信用と実績がーー商会ごと取り潰されかねん。
いや、貴族家から資産を横領したとして、首を刎ねられるわ。
ああ、ちくしょう!
そもそも、おまえに乗り換えてしまったのが間違いだったのだ。
どうしてくれよう!」
中年旦那によって、若い新妻リリアが、ガシガシと蹴られまくります。
それでも、後ろに控える使用人たちは動こうとしません。
雁首を揃えているだけで、誰も主人の妻に対する暴行を止めようとしないのです。
私、ユリアは扇子を広げて目を覆いました。
(あらあら。わずか半年で「真実の愛」が。
お母様が亡くなられて良かったわ。
妹のこんな姿を見なくて済んで……)
◇◇◇
結局、商人ボマスが新たにソート伯爵となって、所領を引き継ぐことになりました。
それでも伯爵家を丸ごと購入した際に作った借金が莫大なものとなり、その利子を払う結果、ソート伯爵家は、お母様の代以上に困窮した家となりました。
リリアは伯爵夫人となったものの、以前にもまして貧乏な生活を強いられ、使用人も雇えないまま、老いた義父母の介護に明け暮れる生活となり、舞踏会で舞い踊るどころではなくなりました。
夫婦仲も最悪で、平民の囲い女に跡継ぎを産ませたボマスは、リリアとの間に子供をもうけようとはしませんでした。
結局、妹リリアは、肩書だけ正妻の伯爵夫人となりましたが、実質は老いた義父母の介護要員として家の中に閉じ込められただけでした。
その生活があまりに窮屈で味気ないので、時折、リリアは皺だらけになった面相で、王都の街中を徘徊しているといいます。
一方、姉である私、ユリアは、ソート伯爵家を売ることで、莫大な資産を手に入れました。
貴族令嬢ではなくなり、平民にはなりましたが、王都の一等地にある屋敷を買取り、豊かで穏やかな生活が送れるようになったのです。
齢三十ではありましたが、「元伯爵令嬢」という肩書きは平民街ではかなり魅力的なようで、街を出歩くたびに若い男から声をかけられ、お茶に誘われるのを断るのにちょっと苦労するほどでした。
毎日が自由時間で、悠々自適の生活を送っています。
あまりに暇なので、今日もテーブルに肘を付いて、私は軽い吐息を漏らします。
(もう一生、遊んで暮らせるだけの資産があるんだけど、何かしていないと気分が腐っちゃうわね。
せっかく『元伯爵令嬢』という肩書があるんだから、これを活かして、若い娘を相手にした作法教室でも始めようかしら……)
などと、考えてみたります。
が、ゆっくりと首を振ります。
生まれてからこのかた、苦労し通しだったので、しばらくはのんびりと過ごそうーーそう心に決めて、今日も私、ユリアは、街中の喫茶店でひとりお茶を嗜むのでした。
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『「能ある鷹は爪を隠す」って言いますけど、私もとびっきりの爪を隠し持っていました。すいません、お父様。おかげで義兄と継母、そしてお屋敷はメチャクチャになっちゃいましたけどね。』
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