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誰かの為のエスペランサ  作者: ヒラのりんご飴
プロローグ 孤児院編
7/35

想い人

ライと一緒に街の中を歩いていく。徐々に通りも賑わいを取り戻している、店の軒先にはさまざまなお店の看板が掲げられて、早速プレゼントを探すために手当たり次第店に入って吟味していく。


花屋では


「花とかは定番だけどさ、もっと個性的なものが良いよね」


「そうだな、花は好きだろうけど家には花壇あるし、しかもわざわざ此処にきて買う必要もな。種とかならありか?」


「それならルーチェもレイラも喜びそうだね」


雑貨屋では


「レトスにはハンカチとかどうだ?」


「もう持ってるだろうし、ペンとかいいんじゃない?普段日記書いてるし丁度いいんじゃないかな」


「確かにな。じゃあこのぬいぐるみなんかどうだ?ルーチェは喜びそうじゃあねぇか?」


「おーいいじゃん、候補だね」


本屋では


「童話ぐらいか、みんなが喜びそうなのはよ」


「童話かぁ…俺「正義の王子と濁龍」って本が好きだったなぁ」


「俺も見たことあるな、てか流石にレイラ姉に童話はないか」


アンティークショップでは


「おぉ…この椅子かっけぇな。このコップも」


「かっこいいいいけど、これは持っていくの難しいな」


「コップだけなら…いけるか…」


(ガラス製だけど…流石に無理じゃない?ライ?)



アクセサリー店にて


「このペンダントとかどうかな?めちゃくちゃ綺麗だし」


「このピアスなんかもいいんじゃないか?レイラ姉ならきっと似合うぜ」


「でもこれもありだなぁ」



計十店舗ほど回ったあたりだろうか、ライの一声でベンチで休憩することになったのだが…


「ダメだ、いい感じの物がねぇ」


「レトスとルーチェのは決まったんだけどね、なんかこれ!ってのがないね」


プレゼント探しは難航していた。


実際は昼ご飯の時間も合わせて約四時間でレトスとルーチェへのプレゼントは買えたので順調と言えなくもないが、やはり主役のレイラのプレゼントの目処すら立ってないのはあまり宜しくはないだろう。


(なんかないもんかなぁ、レイラが本当に喜んでくれそうな物…俺の感謝を伝えられる物…)


この何日間、どれだけ頭を働かせても中々いい案が出てこない、隣にいるライも悩んでいるが、レトスとルーチェのプレゼントを決めたのはライだ。


せめてレイラのは自分で決めたいと思うがピンと来る物がない。


そんな風に考え込んでいると、ライが立ち上がった。


「フィル兄、ちょっとトイレ行って来るから此処で待っててくれ」


「あぁ分かった」


ライがトイレに立ち去った後の石畳の通りを眺めていた。市場の喧騒が続く中、ふと目の前を通り過ぎようとした男性が目に入った。


上質な素材で作られたであろう服を着て珍しい翡翠石の眼鏡をかけた男性は、何やら考え事をしていて周りに意識が行っていないようだった。


身なりから見るに、おそらく商人か学者だろうか。そんな男性のポケットから何かが滑り落ちるのが見えた。


「あ…」


声を上げた時には既に遅く、上等な革で作られた財布が石畳の上に落ちていた。男性は気付いた様子もなく、そのまま足早に立ち去っていく。


フィルは即座に立ち上がり、財布を拾い上げた。


「あの、お待ちください!」


財布を手に、声を掛けると男性は後ろを振り向き、手にある自分の財布を見て状況を理解したのだろうか。すぐさま頭を下げて感謝された。


「おぉ、ありがとうございます。実はこの財布、大切な物でして…失くしていたら大変でした」


男性は安堵の表情を浮かべながら、改めて俺に視線を向ける。


「これは…若いのに正直な方だ。こんな混雑した通りで、拾った財布を返してくれる若者は珍しい」


「いえ、当たり前の事をしただけです」


「謙虚ですね」


男性は優しく微笑んだ。


「実は私は旅の商人でして、色々な珍しい品を扱っているのです。お礼とまではいきませんが、何かお困りの事はありませんか?」


(困ってるけど流石になぁ…いやでも、これ以上時間は掛けれないし…)


一瞬躊躇したが、事情も合わせてここまで親切にされて断るのも失礼かと思い、正直に答えることにした。


「実は...大切な人の誕生日プレゼントを探していて」


俺は少し躊躇いながら答えた。見知らぬ人に相談するのは気が引けたが、実際に思い悩んでいるのは事実だ。それに商人であるならそういった物にも詳しいという考えもあった。


「成る程、それでしたら此処から少し先にある"エトワレ"という装飾品店がおすすめですよ。職人である店長が作った商品しか無いので世界に一つだけですし、ピッタリかと」


「それは、いいですね」


(世界に一つだけか…特別感もあって良いかもしれない。行ってみるか)


「多少値段は張りますが…私の名前を出せば少しは値切って貰えるはずです」


「いや流石に、そこまでは…」


突然の申し出にフィルは戸惑う。疑ってるわけでは無いが、申し訳ない気持ちが勝つ。


「いやいや、あの財布は本当に大切な物だったんですよ…本当にね。だからすごく感謝してるんですよ」


(って言われても別に大したことはしてないんだよなぁ、でもこれ以上言っても引いてくれなさそうだな)


「では、ありがたくお名前を使わさせて頂きます」


「是非、私の名前はラウスと申します」


「では俺も、フィルと申します。今回はありがとうございました」


思いがけない親切に、フィルは心から礼を言った。


「いえいえ、ではフィル君。また今度会いましょう」


去っていくラウスを背にフィルは考える。


(エトワレか…何処らへんにあるのか聞けばよかった。ライも少し遅いし、今のうちに店の場所でも確に…ん?)


突然のことだった、首の後ろ側に一瞬だけ痛みが走る。触って原因を探るも何も無い。


(虫にでも刺されたのかな?いや寝違えたか…)


首を回しながらそんなことを考えていると、ライが帰ってきた。


「わりぃフィル兄、結構混んでて遅れちまった」


「全然大丈夫だよ、それよりいい店見つかったからそこへ行こう」


「へぇ、どこだ?」


「エトワレっていう装飾品店なんだけど…」


フィルは辺りを見回しながら言葉を続けた。


「場所はちょっと分かんなくて」


「エトワレ?さっき見たな…確か市場通りを抜けて、噴水広場の向こう側にあったはずだ」


「まじか、ナイスだライ!これで間に合う!」


「おう、じゃあもう向かうか」


市場通りは相変わらずの賑わいで、荷車を引く商人たちや買い物客で溢れていた。二人は人混みを縫うように進んでいく。


「フィル兄、大丈夫か?さっきからずっと首触ってるけど」


「ん?ああ、なんか虫にでも刺されたのかな。ちょっとピリピリするんだ」


「マジか?帰ったらレイラ姉に見てもらった方がいいな」


市場通りを抜けると、広々とした噴水広場が目の前に広がった。中央には白い大理石で作られた噴水があり、水しぶきが陽光を受けて虹色に輝いている。噴水の周りには休憩用のベンチが置かれ、買い物に疲れた人々が腰を下ろしていた。


「ここら辺か?ライ」


「あそこだな」


ライが指差す方向を見ると、噴水広場の向こう側に、小奇麗な三階建ての建物が見えた。風見鶏の付いた尖った屋根と、深い緑色の壁が特徴的な建物だ。 


建物に近づくにつれ、ショーウィンドウに飾られた装飾品が目に入ってきた。繊細な細工が施された銀の指輪や、色とりどりの宝石をあしらったペンダント。


どれも一つ一つが丁寧に作られているのが見て取れる。確かにラウスが言った通り、どの商品も普通の装飾品店とは一線を画す質の高さだった。


「綺麗だなぁ、でもこんなの買えんのかよ」


「うん、ギリギリだけどね」


「それならいいけどよ。そう言えばフィル兄、ここの店どうやって知ったんだ?」


「あ、それが…」


フィルは先ほどの出来事を説明しようとしたが、急に頭がくらっとした。視界が一瞬だけぼやける。


「おい、大丈夫か?」


「ん…ああ、大丈夫。ちょっと疲れてるのかな」


「まじか、さっきの噴水のとこで休もうぜ」


「いや、時間もないし入ろう。レイラへのプレゼント、きっとここで見つかるはずだから」


フィルは深く息を吸って、扉に手をかけた。真鍮の取っ手は冷たく、しっかりとした重みがある。小さな鈴の音と共に、店内に一歩を踏み入れた。


店内に入ると、優雅な雰囲気が二人を包み込んだ。棚には様々な装飾品が美しく並べられ、それぞれがクリスタルのケースに収められている。


天井から吊るされたシャンデリアの灯りが、宝石や金属の表面で柔らかく反射している。


「いらっしゃいませ」


落ち着いた声が店内に響く。カウンターの向こうから現れたのは、長い銀髪を後ろで束ねたエルフの女性だった。深緑の上品な服に身を包み、首元には繊細な模様の入った銀のブローチを着けている。


「何かお探しでしょうか?」


「大切な人への誕生日プレゼントを探していまして」


「大切な人へのプレゼントですか。何かご希望のものはございますか?」


フィルは店内をゆっくりと見回した。左手の壁際には、様々なペンダントが展示されている。


月と星をモチーフにした銀のペンダントは、夜空のように深い青い宝石が埋め込まれていて美しい。


「このペンダントも素敵だな」


「確かに。でもレイラ姉、あんまりペンダントはつけないよな」


右側の棚には、繊細な細工が施された指輪が並んでいる。花や蔦の模様が指輪を取り巻き、まるで本物の植物が金属になったかのような出来栄えだ。


「指輪はどうだ?」


「うーん、レイラ姉はあんまり指輪とか普段つけないタイプだじゃ無いかな、料理する時も面倒そうだし」


ライは確かにと頷く。


中央のショーケースには、より大ぶりな装飾品が展示されていた。孔雀の羽をモチーフにした豪華なブローチや、滝のように流れる曲線を描いたネックレス。


どれも見事な逸品だが、レイラの性格を考えると少し派手すぎるようにも思える。


「そのレイラさんと言うお方はどのような方なのでしょうか?」


フィルの迷いを察したのか、店主が優しく尋ねた。


「優しくて…でも芯の強い人です。いつも俺達を助けてくれる…そんな人です」


「ふむ、では…」


店主が案内したのは、奥にある小さなショーケースだった。そこには季節の花々をモチーフにした様々な装飾品が並んでいる。春の桜、夏の紫陽花、秋の紅葉…そして、


フィルの目に留まったのは、金木犀の花をモチーフにした髪飾りだった。繊細な金の枝に、オレンジ色の宝石で花びらを表現している。小さな花々が集まって作る優美な姿は、まるで本物の金木犀の枝先のよう。


「これは私が先月作った品です。大切な方への思いを込めるのにふさわしい品かと」


店主は丁寧に髪飾りを取り出し、フィルに手渡した。近くで見ると、さらに細やかな細工の美しさが際立つ。夕暮れ時の陽を受けて輝く金木犀を思わせる、温かみのある輝きを放っている。


「レイラ姉、髪長いし丁度いいんじゃないか?」


ライも興味深そうに覗き込む。


「それに…この色。レイラ姉にぴったりだ」


フィルは髪飾りを光に透かして見た。レイラの優しい笑顔が浮かぶ。彼女の髪に、この金木犀の髪飾りが映える様子が目に浮かんだ。


「これ、いただきたいです」


「レイラ姉、絶対喜ぶぞ」


ライも満足げに頷いている。


「では、お包みいたしましょう」


店主は丁寧に髪飾りを専用の箱に収め、深紅のリボンで飾り付けた。


「レイラ様がお喜びになることを願っております。金木犀の花は、秋の夕暮れを代表する花。その清らかな香りは人々の心を癒すと言われています」


フィルが支払いを済ませ、大切そうに包みを受け取る。首のピリピリもプレゼントが見つかった安堵感で気にならなくなっていた。


店を出たフィルとライは、夕暮れの噴水広場へと足を向けた。


「やっと見つかったな」


「うん、本当に良かった。レイラ、きっと喜んでくれるよ」


プレゼントを渡す時のレイラの笑顔を想像すると自然に頬が緩む。


「そうだな、きっと喜んで…」


(あれ?痛っ…)


言葉の途中で、フィルの視界が大きく歪んだ。首の後ろから全身に広がる違和感。さっきまで気にならなかった痛みが、突然激しさを増す。


「フィル兄?どうした?」


ライの声が、まるで遠くから聞こえてくるように遠ざかっていく。地面が揺れているような感覚。膝から力が抜け、そのまま前のめりに倒れこむ。


「おい!フィル兄!」


ライの焦った声と、自分の体が地面に倒れ込む寸前に支えられる感触。それが最後の記憶だった。




▲▽▲▽▲▽▲






「…ル兄…フィル兄!」


意識が戻った時、最初に聞こえてきたのはライの声だった。目を開けると、噴水広場のベンチに寝かされていた。


「よかった…やっと目覚めた」


ライの表情には安堵の色が広がった。


「ライ…ここは?」


「噴水広場だ。フィル兄が突然倒れたから、このベンチまで運んだ」


フィルは上半身を起こそうとしたが、まだ少しふらつく感じがある。ライがそっと背中を支えてくれた。


「何時間くらい…?」


「倒れてから多分一時間くらいだ。医者でも呼ぼうかと思ってたんだけどな、さっきのエルフの店長さんがすぐ起きるって言ってよ」


「あの人が…そうか」


ゆっくりと周囲を見回すと時刻は3時を回ってる。今から帰ったら6時ごろになってしまうだろう、普段晩御飯は5時に食べているから……急いで帰ろう。


「急いで帰ろうか、髪飾りは無事?」


「おう、この通り傷一つついてないぜ」


ライが紙袋から取り出した箱には確かに傷一つついてない。


「よかった…よし!目標達成した事だし帰るか!」


「おう、もう今日は結構疲れたし早く寝てぇな」


「だなぁ」


(俺も今日は疲れたな、魔力も多分半分ぐらいしか回復してないし…帰りは魔法なしかな)


フィルとライは噴水広場を後にし、街の出口へと向かった。まだまだ昼過ぎの時間帯のために多くの人々が街を行き交っている。


今日一番の人だかりに揉まれながらなんとか二人は街の出口に到着し、街を出ると山道へと進路を変えた。山では魔物こそ出てくるが、ライもフィルのも魔力や体調を考慮して無理な戦闘は避けることにした。


(時間はかかるけど、しょうがないよな。戦闘中に気絶なんてなったら最悪だし)


「フィル兄、俺が前を歩くから後ろ警戒してくれ」


「ありがとう。でも無理はするなよ。危なそうなのが来たら避けて通ろう」


「分かってるよ、今日は戦わない」


山道を進んでいると時折魔物の気配を感じたが、二人は速度を落とさず歩き続けた。


「助かった、今日は大人しいな」


「まぁね。この時間帯ならそんなに好戦的じゃないし」


道中、フィルは時折首の後ろを気にしながらも、ライと他愛もない会話を交わしていた。プレゼントの入った紙袋を大切そうに抱えながら、二人はゆっくりと帰路を進んでいく。


(首の痛みもないし…このまま無事に帰れそうだ)




▲▽▲▽▲▽▲




歩いてから約2時間が経った頃だろうか。首の痛みは完全に消えて、ライと一緒に順調に進んでいた。


(この調子なら後30分ぐらいで着くかな…プレゼントも無事だし、このまま…)


「…あ?」


先に前を行っていたライが突然足を止める。


「どうした?なに…が……」


自分の目を疑った、それだけ信じれない光景だった。


突然目に入ったのは一筋の黒煙。数キロ先にある孤児院の方角から立ち上がる、不吉な黒い煙柱。


(燃えている…?何がだ?木が数本燃えただけならあんなに出ない…じゃあ)


「フィル兄…あれ…」


「…行くぞ」


一瞬の沈黙。そして、頭の中がパニックで埋め尽くされる。


「ライ!行くぞ!」


「ああ!」


二人は言葉を交わす暇もなく、全力で駆け出した。プレゼントの紙袋を必死に抱えながら、木々の間を突っ切っていく。地面の凹凸も、引っかかる枝も、何も気にならない。胃の中から溢れ出そうな焦燥感を抑えて、走る。ただ全力で、ただ走る。


(なんで孤児院が!ドクトリン家か!?なんで俺がいない時に!)


「くそっ!俺が気絶なんかしなければ!」


「それよりレイラ姉達がやべぇ!」


「……っ、」



ライは焦ると同時に後悔していた。レイラ達に何かあったのは明らかで、それを今の自分よりも焦っているフィルの前で言うべきではなかった。慌てふためく頭で様々な考えが錯綜する。心臓の鼓動が耳に響き、呼吸は乱れ、足はもつれそうになる。でも止まるわけにはいかない。


初級 無属性魔法 「無化(ギアス)


「先に行くぞ!ライ!」


「はぁ…はぁ…!分かった!」


フィルの選択は間違っていない、これから起こるであろう戦闘で魔法を使えなくなっても、今間に合わせることの方が遥かに大事だ。


(頼む!間に合ってくれ!)




魔法を使って数分経っただろうか、かつて無いほどの速度で進むフィルの視界はようやく孤児院が映った。


(燃えてる…孤児院が…みんなは?みんなは何処だ)


「おい!みんな大丈夫か!どこにいるんだ!返事をしてくれ!」


(俺が...俺が気絶なんかしてなければ...!こんなことには...!)


自責の念と焦りが入り混じった感情が、フィルの心を更に追い詰めていく。ただ炎の音だけが返ってくる静寂に、フィルの心臓は今にも張り裂けそうになる。額から流れ落ちる汗が、焦燥感と恐怖で震える手に落ちる。


「誰か...誰か返事してくれ!お願いだ!」


喉は枯れそうになるが、それでも必死に叫び続ける。声が上擦っていくのも気にならない。


「レイラっ!レトスっ!ルーチェ!何処にいるんだ!」


一人ずつ名前を叫ぶたびに、胸が締め付けられるような痛みを感じる。


「クソッ...クソッ!なんでこんな時に...!」


なんで…!


「約束したのに…みんなを守るって」


(孤児院の中で倒れてるかもしれない…なら)


「待ってろよ...今助けに行く!絶対に...絶対に全員助け出してやる!」


指先が痺れるような緊張感の中、フィルは咄嗟に決断する。


「こうなったら中に入って...…」










「…は?」








孤児院の中に入ろうとするフィルが見たのは人だった。レイラでも、レトスでも、ルーチェでも無い。


長身の男だった。見覚えがある男だ。街で見た、雰囲気は別人で…服も軽装になっていたが、直ぐに分かった。


男が口を開く


「おやおやフィル君、かなり早いですね。その体を纏ってる光…「ギアス」を使ってきましたか。なら納得ですよ」


「…ラウスさん?」


男が立っていた。

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