エピソード7
「明日、大型クエストに挑むんです!」
昨日タマキがそう言っていたが大丈夫だろうか、ランをメアリーに預けギルドに足を運んだ。
「ナダさん、今日タマキさんたちが大型クエストに挑むと聞いたのですが……どのようなクエストなのでしょうか?」
「カドレアさん! ええっと、タマキさんたちが受けたクエストは……っと、中型ワームの討伐ですね」
「タマキさんたちはクリアできそうですかね?」
「うーん、初級と中級の間ぐらいのクエストなので大丈夫だと思いますが……どうしてですか?」
「……心配でしたので」
僕は困ったような笑みをナダに向けてみる。これでクエストについてもっと聞けると良いのだが。
「そうですか! ではカドレアさんも現場に行ってみては? いやー、カドレアさんは優しいな〜」
「そうですね……私も現場に行くのでクエストの詳細をください」
「はい、こちらがクエスト詳細です。お気をつけて!」
「ありがとうございます、行ってきますね」
クエスト詳細を受け取り確認する。距離はそこまでないが砂漠地帯だ。空を飛ぶスキルで現場まで直行した。
ー砂漠地帯ー タマキside
「くっ……きつい…………!」
「ほら! 前ちゃんと見て!」
レイさんが前を見ろというが、暑さと疲労で視界が歪む。
気力を振り絞り足に、腕に力を入れる。おおきく振りかぶった剣でワームに立ち向かう。
「アイス!」
レイさんは氷で攻撃しているが、この暑さですぐに溶けていく。ワームはうねり突進をしてきた。
「わっ!」
「タマキ!」
「っ__大、丈夫!」
やけに大きいワームに大苦戦。大丈夫
だ、なんてそんなの嘘だ。暑さでくらむ頭、鈍る思考、疲れて動かない体。
ワームは咆哮を挙げ、元気が有り余っているようだ。身体をうねらせ俺達を威嚇してくる。
せっかくカドレアさんが特訓に付き合ってくれたのに……!
「後ろ! タマキ!__アイス!!」
俺はとっさに後ろを振り向き剣を構える。だがそんなに無駄だった。なぜならワームが大口開けて俺を飲み込もうとしているのだから。
ー砂漠地帯上空ー カドレアside
ここらへんのはずだが……砂にワームの跡らしきものがいくつか見える。中型のワームにしてはデカくないか?
そんな事を考えているうちにワームが見えてきた。最初は普通のサイズに見えたが、近づくとだんだん大きくなっていく。予想よりはるかに大きく、中型のワームではないようだ。
「大型のワーム……ってあそこにいるのはタマキ」
頑張って戦っているようだ。しばらく様子を見てから帰ろう。
そう思っていたが戦況は芳しくないようだ。助けるべきか……?そう考えた瞬間大型のワームが、タマキの後ろから攻撃を仕掛けていた。
「まずい__!」
僕は急降下しワームの攻撃を、風を出すスキルで吹き飛ばし防ぐ。
「カドレア、さん……」
「タマキ! 大丈夫!?」
「タマキ様、ご無事でしょうか?」
タマキとレイに向けて微笑む。
「ここまで大きな個体、中型ではありません。私がワームを倒すのでそこで待っていてください」
そう言って持ってきた水のボトルをタマキとレイに渡す。
「カドレアさん! 危険です!」
「そうだよ! 危ないって、ギルドに帰ろ?」
タマキたちの言うことを無視し大型ワームに向き直る。
火を出すスキル、風を出すスキルでワームの縦軸方向に火の竜巻を巻き起こす。
最後にワームに向けて立ち上っている火を叩きつけるように下に操作する。
大型ワームは牙を残し跡形もなく消滅していた。
「帰りましょうか」
「カ、カドレアさん? 今のは……?」
「えぇ〜、つよ カドレアさんこんな事できたんだ……」
「ほら、牙持って帰りますよ」
「あっ、ありがとうございました!」
「ありがと〜 カドレアさん」
「ふふっ、ご無事で良かったです」
「戻りましたよ、ナダさん!」
「おかえりなさい、タマキさん、レイさん、カドレアさん!」
「牙討伐証明に持ってきました」
「ん……?なんか大きいですね?」
「実は…………」
「ええ! ごめんなさい! そんな危険な事になってたなんて」
「俺達をカドレアさんが助けてくれたんです!」
「そそ、かっこい〜」
「ご無事で何より、それが一番ですよ」
「良かった……もっとクエストについては精査しておきますね。報酬は上乗せ致します!」
「助かります!」