エピソード1
物書き初心者です。よろしくお願いします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「やぁ! カドレア坊、今日もスキルを買いに来たぞ!」
「いらっしゃいませ、セント様。どんなスキルをご所望でしょうか?」
「そうだな……洗濯物を乾かすスキルとかあるか?」
「えぇ、ございますよ。他には何か必要でしょうか?」
「いつも通り茶菓子を買ってきたから、話をしながら茶でも飲もう!」
「承知いたしました。ではご用意いたしますね」
「おう!」
そう元気よく返事をした彼はセントという名の【冒険者】……と呼べるほどのものでは無くギルドの雑用みたいなクエストばかりをしている者だ。
セントは冒険者の装備なんてものは付けておらず、ちょっと頑丈な私服程度だ。なかなか顔がいいのに残念感が漂うのは装備のせいなのかもしれない。
「でな! 前に買った水分を含ませるスキル、おばちゃんに洗濯にいいわ~って大好評でよ! クエストが捗って仕方ないね!」
彼はそんな話を長々と僕に話して、満足すると帰っていく。代金はその相談量分増えるから僕としては全然構わないのだが。
そんな日々の中、新しいお客さんが来た。
「あの……ここでスキルを覚えられるって聞いたんですけど、えっと……お金はあります」
「いらっしゃいませ、このお店ではスキルを習得できますよ」
「よかった、合ってた。火を出すスキルとかってありますか?」
「えぇ、ございます。こちらは契約書となりますのでよくお読みくださいね」
僕は笑みを浮かべながら契約書をお客さんに渡す。
契約書をすぐに出したが、販売しているスキル全部の契約書を保管している訳では無い。
紙を生成するスキルと、文字を紙に発生させるスキルで契約書を一瞬で作れるというわけだ。
「契約書、読みました。あの……ペン貸してください、サインします」
「承知いたしました。ではこちらにお名前をお願いします。」
彼は僕からペンを受け取ると
【シノザキタマキ】そう名を書いた。
(珍しい名前だ、聞いたことないし新人冒険者なのかな?)
「たしかに承りました」
「それで、どうやってスキルを習得できるんですか?」
「では私の目を見てください」
素直に目を見つめてくるタマキ。スキルは目を合わせた者にコピーできる。ただしスキルレベルは1まで下がってしまうが、長期の修行いらずでスキル習得できるのは魅力だ。
「これで火が出せるんですか?」
「えぇ、ギルドでステータスを見てもらえば一目瞭然で分かりやすいですよ」
「ありがとうございます! あの……相談も良いですか?」
「1時間100ゴールドでお受けしております」
「えっと100ゴールド…………?」
タマキは小声でブツブツと何か考えているようだ。
「銅貨10枚で1時間1回、銀貨1枚で1時間の相談が2回できますよ」
「じゃあ1時間お願いします」
銅貨1枚で100ゴールド、銀河1枚で1000ゴールド、金貨1枚で10,000ゴールド,
安いパンなら100ゴールドぐらいだ。
その常識を知らないのか……?
珍しい名前だし田舎から来たのだろうか?疑問が尽きないな。
「それでどのような相談でしょうか?」
「俺、冒険者なんです。でも、スキルも全然覚えられないし、剣術も全然駄目で弱いんです」
「強い冒険者になりたいのですか?」
「はい! 強くなって難しいクエストとかに行きたいんです!」
「なぜ難しいクエストに行きたいのですか?」
「……世界を救いたいんです。」
「世界を?」
「はい、魔物が増え人々が命を落としている現状が嫌なんです。俺に優しくしてくれた冒険者の人も……」
「なるほど、うつむかないでも大丈夫ですよ。スキルは買えますし、剣術もスキルを使って覚える速度を上げれば強くなります」
「本当に強くなれますか?」
「もちろん、筋肉は……努力は裏切らないです。相談も受け付けていますから頑張ってくださいね」
「ありがとうございます! また来ますね」
「いつでもいらしてくださいませ」
手を振りタマキは元気に店を出ていった。強い冒険者になる、そう言った彼は本当に強くなれるのかが気になるところだ。