エピソード9
【機械仕掛けの神】
魔王討伐の為に、夜明けの鳥はそれを作る研究をしている。
僕もその研究所にいたから分かる。あそこは人権を無視し、魔王を討伐することが第一。
国は魔王がいる限り平和にはならないと思い、研究を認めている。
研究には奴隷や身売りによって成り立っているので、公には出来ない状況だ。
とりあえずボロボロの少女に話を聞いてみよう。
「君の名前は?」
「セレンだよ……お兄さん、私を助けてくれるの?」
「セレンは何処から逃げてきてこうなったの?」
「えっと__」
セレンはやはり夜明けの鳥の研究所から逃げてきて、ここに来たようだ。
以前はお金がないところで家族一緒に住んでいて、お金がない為に親に売られたらしい。
研究所では演算装置を埋め込む事をされていたようだ。そのためセレンには機械の翼が生えている。背中には大きな傷が刻まれている。
「セレンちゃん! 一緒に住もう! ね? カドレアもいいでしょ?」
「え、でも……セレンはどうしたい?」
「私、研究所には帰りたくない! お兄さん、一緒に住ませてください!」
セレンを匿うのはデメリットが大きい、もしセレンが研究所に見つかれば僕に罪がつけられるかもしれない。
しかし先ほどつい嘘をついて職員を追い返してしまった。どちらにせよ匿うしかなくなってしまったわけだ。
「分かった、良いよ。一緒に住もう」
「! お兄さん、ありがとう!」
「わーい! セレンちゃんよろしくね!」
「セレンちゃんは何の食べ物が好き?」
「私、お母さんが作ってくれたシチューが好き……でももう食べられない」
「そっか……これからいっぱい好きなもの出来るよ!」
「ふふっ、ありがとう。ランちゃん」