エピソード8
「すみません、ここでスキルを売っていると聞いて来たのですが……」
黒髪の少女が来店した。彼女は魔法使いのような服を着ている。
「いらっしゃいませ、大抵のスキルなら売っていますよ」
「そうですか、それでは動物と話せるようになるスキルはありますか?」
「えぇ、あります。では契約書をよく読んで良いようならサインをお願いします」
彼女は契約書を手に取り、熟読している。考えた素振りを見せた彼女はペンを手に取り、サインをした。
【ノア】
「これでいい?」
「はい、確かに。それでは私の目を見てください」
ノアの目を通しスキルをコピーした。
「……お待たせしました、これでスキルを使えますよ」
「ありがとう、じゃあ帰るわ__」
バン!
急に扉が開かれた。そこにいたのは、ボロボロの少女。
「た、助けて!」
「どうしたのかしら……?」
僕は膝を折り目線を合わせ、話をする。
「どうしたの?」
「職員から逃げてきたの! 匿って!」
職員? 何かの研究所か? 嫌な予感がする。
少女は泣き出しそうな瞳を潤ませて助けを求めてくる。……断れない。
「分かった、あっちの部屋にいるといい。女の子がいるから仲良くね」
「あ、ありがと……!」
「心配だから私もここにいて良い?」
「えぇ、大丈夫ですよ」
しばらくして扉がゆっくりと開かれる。白衣の男が立っていた。白衣の胸元には銀の鳥のバッチが付けられている。
「いらっしゃいませ、ご要件は何でしょうか?」
「こんなやつを見かけなかったか?」
男は写真を僕に見せてきた。その写真に写っていたのは、さっきのボロボロの少女だった。
「いえ、存じておりません……」
「嘘ではないな?」
「はい、もちろんです」
「そうか、邪魔したな」
男はそう言い残し帰って行った。
僕はあの銀のバッチに見覚えがある。【夜明けの鳥】魔王を倒すためにいろいろ研究している。
つまりあの少女は……
「なんだったのかしら?」
「……いえ、大したことありませんよ」
「まぁ、それなら良いんだけど。私そろそろ帰るわね」
「はい、ありがとうございました」
さて、あの少女をどうすれば良いのか……