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花の聖女(終話)

わたしは今日で15歳になった。

相変わらず、『花と薬草のお店アン』のお店に行っているのは変わらないけど。

最近では、お手伝いをさせてもらうようになった。

お手伝いと言っても、ちゃんとバイト代としてお金は貰っている。

お花と一緒にいるのがなにより楽しいから。

わたしも緑のエプロンを身にまとい接客をする。


実はアンに、内緒にしていることがある。

アンの旦那様、ミライさんの事が気になっている。

もちろん片思いなんだけど。

お手伝いさせてもらえなくなりそうだから絶対に内緒だ。


「今年はサクラは飾らないんですか?」


「あ~今年はね、マリー花をメインにやっていこうと思っているのよ」


マリー花は、マジックポーションを作るのに必要と言われている花で貴重品だ。

ミライさんはマリー花の植樹を成功させたので、このお店の看板にしようとしているみたいだった。

見た目はサクラの花にそっくりで色は真っ白だ。


「これはね、本物なの。以前に小さい木をもらってきて植えたのが増えたのよね」


大元の樹は極秘の所にあって、手に入れるのが大変だったそうだ。

昔は沢山あった木も今は確認されていない。


「そんな珍しい物を出して大丈夫なんですか?」


「確かにちょっと心配なんだけどね・・」


この花屋は冒険者がよく来ることもあって、ガラが悪い連中が目を付けて強盗されたりしてもおかしくはない。

今でも冒険者ギルドで依頼に出されているくらいなんだから。


『大丈夫だよ』


優しい声が聞こえた。


「あれ?アンさん何か言いましたか?」


「いいえ?何も?」


確かに何かハッキリ言葉が聞こえた気がしたんだけど。

まさかお花の言葉じゃないよね。

わたしはが聞こえる花の言葉は、いつもそんな気がするって程度だから。


マリー花の販売を実際始めて、心配することは何も起こらなかった。

貴重な花なので、胡蝶蘭こちょうらんと同じくらいの値段だ。

わたしが不思議に思っていると


『花の聖女様のいるお店なんだもん。悪い事を考えている人はこの店に近寄れなくなっているんだよ』


今度ははっきり聞こえた。

どうやら鉢植えの赤いガーベラが話しているようだった。


「聖女様って何?まあ、来れなくなっているのなら良かったけれど・・」


花に向かって話していると、アンさんが近づいてきた。


「あら、お花に話しかけてるの久しぶりね。最近無かったんじゃない?」


アンさんはわたしが、お花と話をしているだけと受け取ったみたいだ。

実際そうなのだけど。

つうか聖女って何?

わたしはガーベラの話をもっと聞きたくなり、購入して持ち帰ることにした。


「いつも優しい色のお花が好きなのに珍しいね。赤もいいわよね」


アンさんがガーベラを包装してくれる。

わたしはパステルカラーが好きなのだ。

ハッキリとした色の花は実際好みじゃない。

でも今回は緊急事態だから・・。


自分の部屋にガーベラを置き、耳を傾ける。

聞いた話によるとかなり驚くような内容だった。

これからわたしは、とんでもない事に巻き込まれていくことになるんだけど。

この先のお話はまた次の機会に。

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