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blood 血の誓い  作者: さくらもち
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夏のイベントはまだ終わらない


結局、学校に登校したのは、あれから5日後だった。

思っていたより熱が下がらずに、3日は高熱で魘される日々を過ごした。



その後もなんだか気だるさが続いて、結局は土日も加わり、1週間休むことに。


余計学校に行き辛くなったのはしょうがない



今日から新しい1週間が始まると言うのに、朝から気分はブルー


体調は万全だが、どこか重たい体を動かし、ローファーを履き終えると、そっと玄関の扉を開いた




「行って来ます」



正直全く乗り気じゃないが、いつもの様に学校への道のりを静かに歩いていく。


ここ数日、家の中で過ごしていたからか、やけに外の空気は澄んでいて、頬にあたる風はなんだかやけに、くすぐったい。



自慢の長い髪を揺らす風に、少しだけ鬱陶しさはあるものの、風が吹くたびにシャンプーの良い香りがして、ほんの少しだけ気分が穏やかになっていく。



不意に、空を見上げれば、今日も空は雲ひとつない


綺麗な青空が、どうだと誇らしげに私を見下ろしていた。









重たい足を動かして学校へ向かえば、朝イチだというのに、もう既に何人か生徒達が楽しそうに登校していた。


友達と笑い合う声が、廊下まで聞こえてきて、なんだかやけに緊張してしまう


久々に学校に行くからなのか、教室まで歩く足は段々と重くなり、変に緊張しすぎて、心臓の音が速くなるのを感じ、小さく深呼吸をすれば、ほんの少しだけだが気持ちが楽になった気がする。



そっと教室の扉から中を見渡せば、数人の徒達が既に、教室にいた。



いざ、中に入ろうと足を踏み出せば、後ろから自分の名前を呼ぶ聞き慣れた声が聞こえてくる


海ー!と、嬉しそうに自分の名前を呼ばれ、振り向けば、友人が笑顔で駆け寄って来た




「ハルちゃん!」

 



なんだかその姿がやけに嬉しくて、甘えたように彼女の名前を呼べば、ハルは嬉しそうに答える




「海、大丈夫だった??」



「体調は大丈夫なんだけど、気持ちが大丈夫じゃない〜!体育祭、休んでごめん!!ハル、私の代打してたって聞いた…ほんとごめん!!」



「海、めっちゃ楽しみにしてたもんね。私は大丈夫だけどさ、海が泣いてんじゃないかって心配してたよ。メールも返事は復活の一言だったから気になってたのよ」



「うん、あはは…心配かけてごめん」



彼女は中学の頃から仲良くしている風見ハル


体調のことも理解してくれているし、今回の体育祭を誰よりも、楽しみにしていたことも知っている人物だ



とにかく教室に入ろうと彼女が言うので、2人で教室に入る事にした。



案外思っていたより、クラスメイト達も優しく出迎えてくれて、なんだか先ほどまで変に緊張していた自分が、バカらしく思えてくる。



けれど、こうして今を穏やかに過ごせるのは、ハルのおかげなので、心の中で再度彼女にお礼を言っておいた。





結局、学校に行ったはいいけれど、あと1週間学校に行ったら、次は夏休みという長期休みがやって来る


無駄に1週間休んでしまった為に、後1週間しか学校に通えない現実を、今日の朝礼の時に知った私は、それはもう1日中落ち込んでいた。



ハルにその事を話せば、逆に学校に来たがる私はおかしい様だ。


他の友人達にも珍しい子だと言われたけれど、家のベットで大半を過ごしてきた私にとっては、こうしてみんなが集まる場所に居て、共に過ごせることが、幸せなのだから結構重大な悩みである。



その事を話せば、夏休みも海が無理のない範囲で会おうよと、言ってくれた。


学校のイベント、体育祭を過ごせなかった代わりにと、友人達から夏祭りにいくことを提案され、即OKと返事を返した。




「行く、絶対行く」



前のめりになりながら、ハルと共に数人の子達と夏祭りにいく事を了承すれば、隣のハルは冷静に、前日無理しすぎて倒れない様にと。


あり得そうなことを言われ、流石にもう繰り返さない為にも、安静に過ごすことを宣言した





夏はまだまだこれから、青春はそう簡単には終わらない


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