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blood 血の誓い  作者: さくらもち
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赤い小瓶と門限20時



「本当に、いいんだな?まじでいいの?本当に?」




暫く、風太郎のカフェで体調の変化を待っていたけれど、待てど暮らせど変化はなく、至って健康的なまま、時間は19時と門限の時間が迫る



風太郎は、流石に匂いの変化はあるものの、特に体調に変化のない私を心配して、とりあえず士郎の血を小瓶に入れて託してくれた。



小瓶に血を入れる過程で、士郎はめんどくさい!と、やいのやいの言っていたが、それは無視して、風太郎から今後の注意事項を説明してもらい、もしも枯渇状態になったら、これを飲むと約束をして、帰りは猿田に車で送ってもらう事となった。



最後に、それでも枯渇状態が治らなかったら、必ず連絡するようにと風太郎に言われ、一応連絡先を交換。




そして、現在自宅前のマンションの外で車を駐車し、早速シートベルトを外し、車から降りようとドアに手をかければ、猿田から急にSTOPが入った。


突然意味が分からず、彼に向き直れば、本当にいいのか?と、やけに何度もしつこく確認してくる。



しかも、そのやりとりが数分続くものだから、うんざりしていた。




「だーかーら、何かあったら連絡するって、そっちこそ連絡したらすぐ来れる?」


「正直、わかんねぇから心配してんの!俺…今日、見回りあるからさぁ…」



猿田の事情は知らないけれど、鴉と言う組織の仕事なら実際しょうがない



「まぁ、でもコレがあるし、なんかあったら飲めばいいんでしょ?大丈夫だって」


カバンから赤い血液の入った小瓶を取り出し、彼に見せれば、それでなんとかなるならいいけどと、やけに不安げな様子。


何で、そこまで不安になるのか不思議に思いつつも、早く話を終わらせるべく、気にせず話を続ける




「もし、なんかあったら言うよ。それに枯渇って苦しいだけだよね?私、そういうのには基本慣れてるから我慢できるよ」


「はああ??…お前、我慢したら死ぬぞ?」


今までこのか弱い体と何年付き合ってきたと思っているのだ。


それくらいの苦しみぐらい、耐えれると、軽く考えていれば、彼から帰ってきた言葉は、とても重いものだった。



「…は、死ぬの?!」


「え、死ぬでしょ?!お前俺と会った時のこと覚えてる?あの時の俺みたいになるってことよ?」



ちょっとまって。

そんな大事なことなら最初からそう言って欲しかった。


風太郎さんも死ぬなんて、一言も言ってなかったはずだ



「風太郎さんも死ぬなんて言ってなかったよね?なんでそんな大事なこと、今更言うの?」



「え、俺昨日言ってなかったっけ?あれ?」



「昨日のことなんて正直覚えてないし…てゆーかそれって強ちゃんの説明不足ってことじゃん!」



言った、言ってないで揉めるうちに、風太郎がその事を説明しなかった理由は、てっきり猿田が説明済みだったと思っていたのだろう


しかし、肝心な事を説明していないこの男は、あれれ?そうだっけ?と惚けている



なんだかむかついて、ついつい彼の腕を平手で叩いて見せれば暴力反対!と、いかにも私が悪い様に言ってくる、本当にムカつく野郎だ



「とりあえず、それ飲んでたらなんとかなるかもだけど、まじで渇きはきついから、覚悟してた方がいい。…マジで、本当に、我慢せずすぐに連絡しろよ」



「…死ぬなら話は変わるじゃん、連絡したら出てよ?もし死んだら一生強ちゃんの事恨むから」



「こっわ!…うーん。分かった、できるだけ電話は出るようにするし、早く駆けつけるようには、努力する」



なんだか、猿田の言い方は心許ないが、仕方ない。

鴉?のお仕事なんだし、少しぐらい遅くなる分には許そう


けれど、この命が尽きるほど待たされるとなると、話は違う。


流石に一度命を助けてくれたのだから、優しい人ではある筈だ、ほんの少しだけ彼の言葉に賭けるしかない


それにもしもの時は、風太郎に連絡するのもありだ。


今は、そのもしもの時が来る事がない様に、願うばかりだけれど、とりあえず心構えをすることも大事だ



「うん、とりあえずその時が来たら連絡するしコレ飲む!あとは、もしもの時は風太郎さんにも連絡するから大丈夫」



「おう!風太郎さんに連絡はありだな!そん時は忘れずに、必ず連絡しろよ!」



「分かったよ」



2人でとりあえず納得した所で、もう一度ドアに手を伸ばすと、今度こそ彼の車から降りた


振り返って猿田に、ありがとうまたねと窓越しに言えば、黒塗りのプリウスの窓がウィーンと下がっていく



「うぃ、じゃーな!マジで気をつけろよ!」


「それはこっちのセリフ」


 

バイバイと軽く手を振れば、猿田も軽く手を振り、そのまま車は走り出した。



時刻はちょうど20時…腕時計で時間を確認すると門限の時間丁度で、すかさずマンションのエントランスへと駆け込んだ。



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