表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/20

第七話 ジム攻略と名声ポイント

 二人と別れた後も、考えごとをしながら歩く。最近の楓のルーティンだ。今日やってみて思ったのはとにかく知識が足りない、それだけだった。さっきのバトルだってそうだ。楓ははるか前に原作を通してポケモンのタイプ相性を学んでいたのに、実際はゆかが戦っているのを指をくわえて見ているだけだった。


「ポケモンを育てないとな」

 決意も新たに向かった先は、こないだ偶然見つけた神社の中の公園だった。ここにはジムもあり、人影もないので何かを考えるときには役立った。

 苔むしたベンチに腰掛け、スマホで必死に情報を探す。どうやらポケモンの強化にはほしのすな、進化にはほしのすなとポケモンのアメが必要らしい。

「まずは進化だな」

 ニョロモは10匹以上捕まえていたので、進化できるようになっていた。「進化」のボタンをタップするとニョロモから腕が生えてニョロゾになった。ゲージを溜めて使えるスペシャルわざも、バブルこうせんからみずのはどうへとランクアップ。より強い攻撃を覚えてくれた。


 * * *


 天元神社(てんげんじんじゃ)

 楓がたまに来るこのジムの名前だ。ジムには既に3体のポケモンがいて、ジムバトルの練習には丁度よさそうだった。

「名声ポイントは……ちょうど8000、というとジムレベルは4か。次のジムレベルまで4000必要だけど、トレーニングで増やしてはいない感じだな」

 あのときゆかが言っていた名声ポイントを上げるというのは、まさにこのジムレベルと関係していた。ジムレベルはレベル1~レベル10まであり、誰もいない白ジムの状態をレベル1の0ポイントとするなら、MAXで10体置かれたレベル10のジムは名声ポイントが50000。表に示すと以下のようになるが、レベルが1つ上がるごとにポケモンを置ける数が増えるのだ。


 レベル1  0ポイント     ⇒ CPが一番低いポケモン、こいつが最初に倒される

 レベル2  2,000ポイント 

 レベル3  4,000ポイント 

 レベル4  8,000ポイント 

 レベル5  12,000ポイント 

 レベル6  16,000ポイント 

 レベル7  20,000ポイント 

 レベル8  30,000ポイント 

 レベル9  40,000ポイント 

 レベル10 50,000ポイント ⇒ CPが一番高いポケモン、こいつが最後に倒される


 今回、楓が攻撃しようとしているジムの構成的には下からブースター(CP1500)、サンダース(CP1700)、シャワーズ(CP2000)となっていた。まずは普通に倒してみる。

「はやっ」

 CP1000のニョロゾなので少し時間はかかったものの、そこはみずのタイプ一致。ブースターの燃え盛る炎はニョロゾのみずのはどうで「消火」されてしまい、相手の名声ポイントは500下がった。

 ジムの名声ポイントが下がったことにより、CPが低い一番下の配置ポケモンが追い出され、天元神社のジムレベルは4から3になった。攻略サイトによると、相手の名声ポイントを下げるのに効果的なのはCPが半分以下のポケモンで相手を倒すこと。つまり、今回ならブースターに対してCP750以下のポケモンで挑むと、名声を1000ポイント減らすことができるようだった。

「なるほどね。強いポケモンで相手を圧倒して倒すこともできるけど、その場合は名声ポイントが500しか減らない。相手のジムを早く倒したい場合は相手よりCPが低いポケモンで下剋上するしかないわけか……」

 すぐにはマスターできない仕様だったものの、昔から困難であればあるほど燃えていた楓にとってはこれ以上ないおもしろさだった。とにかくここでしばらくはジムバトルの練習を続けよう――そうして今度は次の防衛ポケモン、サンダースにじめんタイプのポケモンで挑み始めた。


 * * *


 天元神社の名声ポイントが6000まで減ったころ、見知らぬ女の子から声をかけられた。

「ねぇ、何やってるの」

 楓はジム攻略に勤しんでいたため、声は聞こえていたものの相変わらず右手の人差し指は画面をタップし続けていた。

「もしかして……ジムバトルかな」

 楓の指が止まり、ディグダはサンダースの10万ボルトを避けきれずに倒れてしまった。画面から目を離し、怪訝そうな表情で見つめる楓に女の子はいたずらっぽく笑った。

「ごめん、ちょっと画面見えちゃった。青チームの人だよね」

「君は誰?」

「私? 私はポケモントレーナーだよ。みほって言うの」

「そうか。ここに置いているのは君のポケモン?」

「違うけど……このジムには初めて挑戦するの?」

 静かに頷くと、みほは困ったような顔をして、このジムには普段、管理人がいてなかなか倒せない。でも今、倒せたところを見たからびっくりした、みたいなことを楓に告げた。


(ジムの管理人? 何を言っているんだ、この子は)


 不思議に思ったが、とりあえずこのジムが常に誰かに見張られているということは分かった。みほはこの近所に住むポケモントレーナーで、ジムの攻略ができずに困っているのだという。


 一通り話し終えて別れた後、あらためてジムの画面を見てみると何か様子がおかしい。確かこのジムの名声ポイントは6000だったはずだ。それが今では

「10000に増えてる……」

 ジムレベルは5に上がっていなかったものの、4になったことでポケモンが1匹入れられるようになっていた。そしてそこには、先ほど倒したはずのブースターが入れられていたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ