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ぐるぐる  作者: ゆう
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第四話、会見

それは感動する会見だった。

「グズん…うっ…うっ…殺された方は私の大切な部下であります!私は犯人を決して許さない!!」

涙ながら部下を想う園田議員。その言葉一つ一つが会見を見ている国民の心を打つ。記者の中に貰い泣きしてる者もいる。

「流石園田議員、転んでもタダじゃ起きない。襲撃されたのを上手くパフォーマンスに使いましたね」

「よくやるぜ、俳優の方が向いてんじゃねぇの?」

「猿も驚く演技力だな」

「俺達を全員集合させてたのって本当は演劇鑑賞してほしいからってわけじゃないよね?」

「これ第二部第三部とか無いわよね?長引いたら夕方までに終わらないじゃない」

実際の園田議員の本性を知ってる者を除いては…裏方で聞いてるお巡りさん達は何いってんだコイツという顔をしていた。

「うわん…!!えっぐっ…うおおお!!」

「いやなんでお前も泣いてんだよ、さっきクソ議員にボロクソに言われたばっかだろ」

何故か凛子も顔をぐちゃぐちゃにして泣いているので梓が冷ややか目で見る。

「ドラマだと分かっていても名演技で泣いてしまうというあれじゃないか?」

「あの大根演技で?…あっでも凛子だったらあり得るか」

アニメやドラマの影響を受けやすい凛子の性格を考えたら梓は納得がいった。

「私は逃げも隠れもしない!!聞こえるか!!卑劣な犯人よ!!私は闘うぞ!!」

その言葉に感激の嵐が巻き起こす。

襲撃を受けた翌朝に怯えもせず会見、その行動が国民の心を鷲掴みにしただろう。

記者たちはもうほどんど涙を流していた。

「うあああああああああああん!!!」

「お前うるせぇよ、アホ!!いつまで号泣してんだよ!!」

誰よりも号泣する凛子はやはり影響を受けすぎであった。



同時時刻。

部屋の中で老人がテレビで会見を観ていた。

「やけに真剣に見てんな」

同じ部屋にいた男が老人に話しかける。

「そりゃあ、見ますとも」

老人の目には感動ではなく憎しみが宿っていた。

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