一途
初☆小説なので、誤字脱字があるかもしれません
でも、がんばって考えた話しなので…
ぜひ!読んでみてくださいっ
高校に入学して、早半年。
俺は、いつも悩んでる。
登校中、いつもみたいに悩みながら歩いてたら、後ろから声がした。
「三倉、おはよっ」「…っはよ…」
坂上由菜だ。
あ~、もぉ!お前はどうしてそんなに可愛いんだよっ!俺の気が狂うだろ!
ってか、愛想ない挨拶でごめん…。
お前のこと好きすぎて、まともな挨拶もできねぇ…。
俺って情けないよなぁ。
俺は、中学んときからずっと同じクラスの、坂上由菜が好きだ。
最初は、友達みたいに仲よくしてたけど…俺はいつしか恋愛感情をもってしまった。
今更言うのも恥ずかしくて、何も言えてない。
ずっとうだうだ悩んでたらあっという間に中学卒業!
…の前に俺は必死こいて勉強したんだ。坂上と同じ高校目指して。
なんとか同じ高校に入れた。
そしてまた同じクラス!神は俺の味方をしてくれる!ありがたい。
…けど俺は、そんな神の御加護を無駄にしてるよな。
何も言えずに、今こうしてるんだから。
どうしたら言えるんだろうな…。
まだまだガキな俺じゃわかんねぇな。
「由菜ぁ~!ココわかんないよぉ~」
「ん?どこ?…あぁココはね、Xを代入して、そのあとこの式にあてはめて…」「んん~……あぁっ!解けたぁ!」
「よかったね、恵流!」
「うんっ!由菜、大好きっ」
「ちょ…くすぐったいよ~」
こんな何気ない会話でも、さりげなく聞いちゃってるんだよな…。
すでに変態の域に達してるかもだけど、あいつの声をきいてるだけで、幸せな気分になれるんだ。
そんなことを考えまくってたら、あっという間に放課後。
坂上はバレー部。
俺は帰宅部。
部活やってれば帰る時間とか同じになったかもしれないのに…何で面倒くさいという理由で帰宅部なんかにしちまったんだ俺は!
すげー後悔してる。
教室を出て、部活に向かう坂上の姿を横目で追いながら、俺も教室を出て、校門へ向かった。
帰宅部の生徒は、クラスでも少人数。
だから、今の時間、校門を通る生徒がいないからたまに3年の不良がたむろってたり…
って、なんか背川恵流が思いっきり絡まれてる?!
「新1年の子だよねー?」
「うんっ!そうだよ~」
「今からさ、俺たちと遊びに行かねぇ?」
「でも…由菜待ってるの…」
「とっても楽しいからさ。友達にはメールしとけば大丈夫だよ」
「うん、わかった」
背川…あいつ、バカすぎるだろ?!
これって、止めなきゃヤバいよな…
坂上の親友だし…
「背川!」
「あ、かなと君だ~。どぉしたの?」
「…ッあのさ……坂上が、呼んでたぜ」「えっ?ほんとぉ?行かなきゃ!…お兄さんたち、ごめんねっ!由菜んとこ行かなきゃ」
「あっ!ちょっ…」「またねっ!ばぃば~い」
背川…なんつーマイペースさだよ。
不良どもが驚愕してる…。
ってか俺も早く背川追わねーと!
あいつ、バレー部まで突っ走ってったからな。
「背川!止まれ!話しきけ!」
「あれぇ?かなとくん、何?私、由菜のとこに…」
「ごめん…あれ嘘なんだ」
「え~!?…しょっくだよぅ」
「ごめん。でも、お前が絡まれてたから…助けたくて」
「ふぇ?絡まれ?何が?」
「あの3年、お前のこと…襲おうとしてたから」
「そぅなの?とってもいい人たちだったよ。楽しいトコにつれてってくれるって…」
「あ~もぅ…お前とは会話の次元が違いすぎる!」
「ふぁ?」
「嘘言って悪かったな。帰る」
「…あっ!かなと君!行かないでっ」
「…なんだよ…」
「由菜が来るまで一緒に…お話し、しよ?」
「…はぁ…?」
ってことは坂上と一緒に帰えれるってことかも…
「まぁ、いいけど」「えへへ~。よかったぁ~。由菜待ってる間、いつも1人で寂しかったんだぁ~」
「お前も部活やりゃーよかったじゃん」「…うん。でも…私…えっと…トロいから部活やっても、みんなに迷惑かけちゃうんだよぅ…」
「そーか?」
「う、うん…」
「ふーん」
「…かなと君っ!よければメアド交換しよっ?!」
「ん、別に」
「よーっし、赤外線準備おっけーです!かなと隊長!」
「隊長って…」
「えへへ~」
「…登録完了っと」「同じくでっす!ありがとぉ~」
「ま、適当にメールしてくれ」
「了解っ!」
はぁ、背川といると会話に困らなくていいけど…疲れるな。
そのとき、坂上が走ってきた。
「恵流~!おまたせっ!…あれ?三倉?」
「…おぅ」
「あのね~、由菜きいて~!かなと君ねぇ、私のこと悪い人から守ってくれたんだよぉっ」
「よくわかんないけど、よかったね恵流っ!…三倉、恵流のこと守ってくれてありがと!」
「…別に」
「も~、三倉ってば…なんで最近よそよそしいの?中学のときはもっと普通に喋ってたじゃん」
「…まぁ…」
「三倉?…もしかして私のこと、嫌いになった?」
「ち、違っ…」
「由菜ぁ、私、お腹すいたよぅ~」
「…恵流…。わかった、ハンバーガーでも食べに行こっ!」「かなと君もだよっ!」
「え?…あぁ」
学校から一番近いハンバーガーショップまでの道のりは、坂上と背川が楽しそうに会話する中、俺は後を追うように歩いた。
坂上がこんなに近くにいる。
意識しすぎてさっきも何も喋れなかった…。
むしろ、空気を悪くしてしまったくらいだ。
背川が話しに割り込んでくれなかったらちょっと危なかったな…。
「…由菜ぁ…。私ちょっとお腹痛い…」「恵流大丈夫?!」「う…ん。…ぁ、そこのスーパーでトイレ借りてくるよぉ~…。だから、2人で先に帰ってて…」
「恵流…でも…」
「いいの、気にしないで。じゃぁ、また明日っ!」
背川はスーパーの入り口に向かって、走っていった。
腹痛ってつらいよなぁ~。背川、大丈夫かなぁ…ってか…今…坂上と2人っきりじゃんっっ?!
やばっ…!どんどん心拍数が…
「三倉…行こっか」「おー…」
なんか坂上のテンションが低いっ…。
「三倉、さっきの話しの続き」
「あ…う、うん」
「私ね…三倉と前みたいな関係に戻りたいなぁ…って」
「前?」
「そ。中学のときみたいに。あのとき仲よかったでしょ?…私、三倉と一緒に笑うの楽しかったから…。だけど、中学卒業する前らへんから、あんま三倉が話しかけてこなくなっちゃって寂しかった…の。私のこと、嫌いになっちゃったのかなって…」
「そんなわけねぇよ!…嫌いとか、そんなんじゃないから。ただ……」
「ただ?」
「ッ…なんでもねぇよっ!」
「も~、何あせってるの?あははっ」
「笑うなっ」
「…久しぶりに三倉と話せて嬉しいな」「…どうも」
「あ、そうだ!アド教えてよ?三倉とメールしたいな」
「…おー」
「はいっ!赤外線いくよっ?」
「おー…」
「ありがと、三倉っ!…今日、メールしても…いいかな?」「いいよ」
「じゃあ、あとでするね!それじゃあ私こっちだから…って前に何度かうちに来たこと…あったよね?」
「そーいえばあったな」
「…また、来てもいいから…」
「えっ?」
「それじゃあ、ばいばーいっ」
さっきのって…?
(また来てもいいから)って…。
一体何なんだよ!
これって…少しくらい期待してもいいのか…?
ってか何気にメアドをゲットしちゃったし…!!
あれ?メールが1件…?坂上…のわけないよな。
あ、背川からだ。
>かなと君(^-^)/
恵流だよぉ~♪
何か進展あったぁ?
…って、コイツ!!もしかして!
さっき俺を引き止めたのも…腹痛ってのも…
全部演技か?!?!
あいつ…俺が坂上のこと好きだって気づいてやがったのか…?!
怖えぇ…。
すげー観察力…。
背川の性格からは想像できん…。
でも、背川のおかげで、あんなに坂上と話すことができたんだし…感謝しないとな…。
早く坂上からメールこないかな。
>坂上です。
アド交換してくれてありがと☆
これからもよろしくねっ!
やった!坂上からの初メールだ!
嬉しすぎて躍り出したい気分だ。
明日からはよそよそしくしないで積極的に話してみるかな。
返信しないと…
うぁぁ、緊張で手が震える!
>メールありがと
今までよそよそしくてごめん!
だけど、もうしないから。
これからもよろしく
で、送信っと…。
メールなら案外、言いにくいことも伝えられるんだろうな。告白……とか。
って、無理無理!
考えただけでも気絶するわ!
そもそも坂上だって好きなヤツがいるかもなのにな。
夢見すぎるのもよくないよな。
そんなことを考えながら、俺は瞼を閉じた。
目覚まし時計が耳元で鳴ってる。
あぁ、もう朝か。
早くしないと…。
急いで朝食を済ませ支度をして、玄関を出た。
高校まで徒歩20分という短い距離。
だけど…こう毎日だと…長く感じるんだよなぁ。
坂上とかが後ろから声かけたりしてくれないかな、昨日みたいに。
「三倉っ!おはよ」「うわっっ?!」
「何でそんなに驚いてんの?」
「びびった…」
「何が?」
そりゃー願ってた矢先に叶ったら驚くだろ…。言えるわけないけど。
「いや、ちょっとな…」
「何よぉ~!…あ、そぅだっ、昨日…メールありがとね」
「あぁ、こっちこそありがとな」
「嬉しかったよ」
「え?」
「あ、もうすぐチャイム鳴っちゃう!三倉、走るよ」
「お、おう…」
さっき、一瞬…坂上の顔が赤くなったのは気のせいか…?
授業中、いつも目で坂上を追ってる。
もう変態以上な行為かもしれん。
だけど、好きだから目で追っちゃうんだよなぁ。
でも、今日はいつもと違う気がした。
いつもは坂上を眺めてても、目なんかほとんど合わないのになぜか今日は、何度も目が合った。
もしかして、俺が坂上をずっと眺めてるの…ばれたのかも。でも、目が合うのって嬉しいな。
どんな表情すればいいのか分からんけど…ちょっとだけ、坂上が俺に気があるのかもって期待しちまうんだよなぁ。
「三倉!」
「…」
「おい、三倉!きいてんのか?!」
「ッあ、はい!」
「5行目!」
5行目?!なんだそれ…ってか先生の声に気づかないほど見つめてたなんて…。「すんません…どこっスか?」
「162ページの5行目だ!ったく、しっかりきいてろ!」「はい…」
クスクスとクラスのみんなが笑ってる。坂上にも笑われた、かな。情けね~。
休み時間。
さっそく背川がからかいにやってきた。「あはは!かなと君けっさくだったよぉ!」
「るせーよ」
「ぷぷっ!見つめすぎもよくないねぇ」「ッ!ちょ、言うな!!」
「あははっ!あは」「2人とも、何話してるの?」
「あ、由菜~。あのね、かなと君が…」「ばっか!背川!」やばい!坂上なんてタイミングで入ってくんだよ!!
「あぁ、さっきのアレね」
(は?)
「そぉそぉ!あの驚いた顔!ウケたよねぇ~」
「だよね~。三倉、ぼーっとしすぎもよくないよ!」
「あ、ハイ…。ですよねー」
てっきり、坂上を見つめてることを言いふらされるかと思ったのに…。
ってか背川…。一体お前は何がしたいんだよ。昨日は協力(?)してくれたっぽいけど…。
そんなことを考えてたら、あっという間に昼になった。
学食でも行くかな。「かっなと君~!」背川…またうざいのが来た。
「なんだよ?」
「へへっ!あのねぇ…なんとっ、恵流ちゃんがお弁当つくってきましたっ!」
「誰に?」
「もっちろ~んかなと君に!」
「はぁ?」
「特別だぞぉ~」
「…いや、特に…いらない…」
って言いかけたところで、ものすごい力で胸ぐらをつかまれた。
顔をものすごく近づけて、小声で背川が…
「いいから、受け取りなさい。これを使って、由菜と私と3人でお弁当タイムするの。がんばって由菜を落としなさいよ」
と言った。
いつもの背川からは感じられれないオーラが…!ってかすでにキャラかわってる気が…!
そして、俺の胸ぐらから手を離すと、いつものへらへらした口調で、
「行こっ!由菜が屋上で待ってるよぉ」「…あぁ…」
なんか、背川ってよくわかんねぇな。
屋上の、立ち入り禁止の先にある場所が2人の秘密の場所らしい。
立ち入り禁止だから人気はなく、屋上なので空は綺麗だし風が気持ちよかった。
「なんかさ、三倉のお弁当、めっちゃ女の子っぽいよね?」「あぁ、母さんの趣味でな…」
さっき背川に、背川が作った弁当だと言ってはいけないと言われた。
そりゃあ、言えねーよな。
「ねぇ、由菜!由菜の卵焼きおいしいから、かなと君にもあげたらっ?」
「え~、私の手作りだから不味いよ」
「ぜんっぜんだよぉ!由菜の卵焼き超おいしいもん!」
「もぉ…恵流ったら…。…三倉、不味いかもだけど…食べる?」
「もちろんっ!」
やば…嬉しすぎてつい声大きくなっちまった…!
「お~?かなと君、そんなに卵焼き好きなの?」「…まぁな…」
「あ、よく見たらお弁当に卵焼き入ってないね~。だからそんなに食べたいのか~」
「そ、そぅなんだよ…母さん、卵焼き作るの下手でいつも入ってないんだよな、はは…」
ナイスフォローだ!背川!と俺!
「そっか!はいっ!どーぞ」
さっと、坂上が卵焼きを俺の弁当に入れてくれた。
あれ?坂上…その箸普通に口につけてたよな?これって…これって、間接キス?…ん?間接卵焼き?と、とにかく間接なんとか、だ!
それに手作りとか…最高すぎる!
さっそく頂きます。「ん、かなりうめぇ!!うちの母さんのと全然違う!最高だし!また、頼むわ」「そんなに喜んでくれるとは思わなかったな。またつくってくるね!」
「やった!」
「よかったねぇ、かなと君!あ、由菜ぁ~、恵流にもちょうだぁいっ!」
「はい、恵流!あ~ん!」
「あ~むっ!…ふぁぁ、由菜のはいつ食べてもおいしいぃ」「ふふ、ありがと」…背川…お前、あ~ん、とか羨ましすぎるぜ!っつーかお前ら新婚夫婦かっ!
「ん?なんだい、そんなに見つめて…私たちのラブラブっぷりが羨ましいのかなぁ~か・な・と・君!」
「う、うるさい!目のやり場に困っただけだ」
「あはは…三倉と恵流って仲いいよね…?」
「えっ…?」
「ちょっと妬くかも…」
「坂上?」
「うゃっほ~い!ちょうょさんだぁ~!待てぇ~!恵流ちんがとっつかまえてやるど~」
背川が…遠くで蝶とたわむれてる…。
「あの…ね。…んと…その…。私も、三倉のこと…名前で呼びたいかな~…なんて…。…ごめん…」「いいよ。俺も…名前で呼ばさせてもらうよ…。…由菜…」「ありがと!…哉人!」
ちょっと、マジで最高すぎる!名前で呼べるなんて、呼んでもらえるなんて!
「うゆ~…ちょうちょさん、逃げちゃったよぉ」
「ぷっ!」
「うぁ~!かなと君今笑ったぁ!」
「別に」
「いいや、笑ったもぉん!」
「はん」
「あぅぁ~、鼻で笑いやがったよぅ!由菜ぁ~」
「はいはぃ。恵流落ち着いて」
「むむぅ…。そ~いえば、さっき2人で何話してたのぉ?」「…ん~、内緒!ね、哉人!」
「…あぁ」
背川が、俺の方を向いて音もなく、不適に笑った。
やっぱ、こいつ…わざとあの時、離れたんだな。
「むむぅ…恵流だけ仲間外れいやぁ~」「よしよし、恵流、いい子いい子」
由菜、背川は実はとんでもない策士だぞ!!…と心の中で叫んだ。
「あ、そろそろチャイム鳴るね。戻ろっか」
「お~」
「うぅ、5時限目 数学だよぉ…。私の一番苦手なぁ~」
「だね、恵流数学苦手だもんね~。今度また教えてあげる」「俺もよろしくっス」
「あ、かなと君、どさくさに紛れてぇ~!」
「いいよ。今度3人で勉強会とかしよっ!」
「やった」
「助かる~」
なんて幸せな1日だったんだろう。
だんだん、由菜との距離が縮まってきた気がする。
まぁ、背川の協力(?)のおかげだな。
もっと、がんばらないとな。
朝…。目指し時計の電池がきれてて…
遅刻した。
恥ずかしい…。
由菜も、呆れたかもな…。
って、あれ?
いない。
今日は休みなのか?だとしたら心配、だな。
「か~なと君!遅刻とはいい御身分じゃないですかぁ~」
「うるせ~な、分かってるよ!なぁ、」「はいはぃ、由菜でしょ?」
「…うっ、まぁ…」「由菜ねぇ、風邪だって。昨日、そんなに屋上寒かったかなぁ~」
「どうだろうな…」「心配?心配?」
「そりゃぁーもちろん!って、何言わすんだバカ」
「きゃははっ!お見舞い行こっか、由菜の家」
「はぁ?」
「はぁ、じゃないよ!お見舞お見舞い♪決まりね」
「ちょ、マジか?」「まじまじだょう」「…緊張、するなぁ…」
「ぷっ!」
「なんだよ!」
「ま、この私、恵流ちんに任せなさいっ☆」
「…何をだよ…。あ…昨日の弁当、ありがとな。おかげで最高に楽しかった。んで、弁当箱、洗っといたから。ほれ」
「…べ、べつにあんたのために作ったわけじゃないんだからっ!ただ、あまったからついでに作ったんだからね!か、かんちがいしないでよね」
「なんだそれ、ツン…なんとかってやつか?」
「冗談だよぉ~。お弁当箱、ありがとぉ~」
「ってかさ、お前の弁当もかなりうまかったぞ」
「ッ……?!」
一瞬で背川の顔が真っ赤になった。
腕をぶんぶん振りながら、
「そ、そんなことないよぉ!あははっ…由菜のに比べたら全然なんだからっ!」慌てすぎにも程がある。
よく見ると、背川の指は絆創膏だらけだった。もしかして…「また、頼むわ」
「?!?!…気が向いたら、ね。今度はお腹壊しても知らないよぉ~」
チャイムが鳴り、背川はさらに慌てながら席に戻っていった。
今、由菜の家の前にいる。
「こ、このときがついにきたっ!」
「かなと君、緊張しすぎだよぉ~」
「これが緊張せずにいられるかっての」「もぉ~、せめてハァハァした息づかいはやめてよぉ~」
「あ、わりぃ…。でも自然に…」
「いい?ピンポーン押すよ?」
「それ、チャイムって言うんだぞ」
「ッ…!いいもん!私、小さい頃からずっとピンポンって言ってたから!」
「チャイムなのに?」
「ピンポンだと思ってたのぉ!だってだってピンポンダッシュって言うじゃん」「まぁな。でも、正式名称はチャイム。」
「うむむ…」
「んなもんど~でもいいから早く押せよ」
「何よぉ…さっきまでハァハァしてたのにぃ~。い、いくよ?なんか私まで緊張してきちゃった…。指が震え…」
ガチャリ…
「ふゅああああ!」「うぁああぁあ!」2人は同時に叫んだ。
「2人とも…何やってるの?」
「あわわわゎ…由菜ぁ…どうして?」
「だって、家の中まですごく話し声がきこえたから…」
「…うるさくして、ごめん」
「ううん…2人が来てくれて嬉しい!まぁ、上がってよ」
「由菜ぁ…風邪は大丈夫なの?」
「あぁ…。あのね、実は風邪じゃなくて…その…虫歯、で」「えぇ?」
2人はまた同時に叫んだ。
「わわっ!誰にも言わないでよっ?!」「でも、どうして虫歯で?」
「ちょっと、虫歯がひどくて、ほっぺが腫れちゃったのよっ…今は歯医者さんに行って治ったけど。もぅ恥ずかしいっ!」
由菜は、顔を赤くしながら部屋に案内してくれた。
由菜の部屋は、中学生の頃とあんまり変わっていなかった。女子のわりには小物が少なく、全体に水色でまとめられた部屋。
パソコンや、大きいクマのぬいぐるみが目立つ。
そして、いくつか写真たてがあった。
中学・高校入学式の写真や、背川との写真が並べてある。
奥の方に、もう1つ写真たてが…。
写っているのは、…男?
あれ?よく見ると、俺だ。中1ぐらいのときの。しかもツーショット。
そんな写真、撮ったけ?
そもそもそんな写真を飾っておくなんて…まさか、な。
幸い(?)両親は仕事らしく、あまり気を使わずにに由菜の部屋で3人でたわいもない話しをした。
5時近くになったとき、背川が慌てて立ち上がった。
「うわぁ~。いっけなぁ~い…!私、5時からのドキドキマリンちゃんの再放送、毎回見てるのっ!由菜、ごめんね!私帰るねっ!また明日っ、学校でね!今日はありがとぉ~」
と、由菜のばいばいもきかずに飛び出していった。
背川が去ったあと、部屋に静寂が訪れた…。
親のいない家に男女2人が一緒だなんて!!
これは…いろいろと危険だ。
「あ…えっと…。そーいうば、私たちも見てたよね。ドキドキマリンちゃん…。」
「あぁ。中学んとき、はやったよな…」
「懐かしいね…」
「だな!…」
ムリヤリつくった会話じゃ盛り上がらず再び沈黙。
あ~もう!どうすりゃいいんだ!
「あのね…。哉人…今さら…言うのはおかしいかもしれないけど、私ね…哉人のこと…ずっと…」
これって?!
まさかの、アレだよな!アレ!
ここは俺から…
「由菜っ!俺、由菜のこと好きだ!中学んときからずっと、由菜が好きだ」
「かな、と?…嬉しい…。私も、私も哉人のことが、ずっと好きだった…ずっと…」
「一時期は、由菜のこと好きすぎてまともに喋れなかった。だから、冷たい態度とってごめん…。でも由菜が好きだから!」
「哉人っ!」
2人はお互いを抱きしめあった。
そして、お互いに、長い年月を想いあったのを確かめ合うように、長いキスをした。
どうでしたか?
個人的には恵流がお気に入りです
恵流って、何気に哉人のこと好きですよね((笑
今度、恵流ver.でサイドストーリーでも考えてみようかな…
最後まで読んでくださってありがとぅございますっ