前世で繋がりがある関係かもしれない②
朝、高校に登校中、日和は目をキラキラさせ、食い入るように話を聞いてくる。
「その先輩って人は異性なの? それとも同性?」
「えへへ······異性」
未だ付き合ってる訳でも無いのに、異性と聞いてあからさまに羨ましそうな表情をしだす日和。
喜怒哀楽が激しいのは知っているから、普段はそこまで気にもならないのに、何故か今日は気になって仕方なかった。
「な、何よ、私何か変なこと言ったっけ?」
私が能面みたいな無表情で見つめていたせいで、日和は心配そうに聞いてくる。
「······」
ところが、気になるものの私の頭の中が空っぽだったせいか、突っ込みたくても咄嗟に言葉が出てこなかった。
「······陽菜乃ちゃんごめんね」
「······日和ちゃんごめんね」
少し間があってから、二人して同じタイミングで謝ることとなり、お互い目を見てゲラゲラ笑いあった。
「そうそう、陽菜乃ちゃんとその先輩のことなんだけどね、初対面なのにどこか懐かしい感じがしたのは、二人が前世で深い関わりがあったからじゃないかなと思うの」
「えっ! 前世で······深い関わり······」
日和ちゃんの口にした「前世」という言葉が耳に残った。
私は思わずゴクリとつばを飲み干す。
まさか、日和ちゃんが不意にそんな言葉を言い出すと思ってもみなかったものだから、一瞬、私の思考回路が停止しバグりそうになった。
「ちょっと、日和、いきなり怖いいこと言わないでよ、前世だなんて······」
「ちっとも怖いことじゃないって、私の親戚のお姉ちゃんがスピリチュアルにとても詳しい人なんだけど、前世で関係していた人とは、今世で再び出会うことは自分が意識していないだけで良くあることらしいよ」
確かに、物事の多くは突破的には起こりえない。
ということは、人との出会いだって突破的に起こらない······というか、過去と現在で連鎖反応しているのかもしれないけど······。
「な、成程ね、でも、そんなことって本当にあるのかしらね、私にはちょっと信じられない」
そんな事言われても本当に信じられなかったのだ。
疑心暗鬼でいる私に、日和ちゃんは「袖触り合うも生地の緑」ということわざがあることを教えてくれた。
道をあるいて見知らぬ人とすれ違うのも、前世からの因縁による。行きずりの人との出会いや言葉を交わすことも単なる偶然ではなく、縁があって起こるものであるという意味なのだという。
······縁ねぇ······。
目の前に自販機があったので、コーヒーを二缶購入すると、一つを日和に手渡し、缶を開けるとグイッと飲む、前世などと言う話を聞かされ、どうしても飲まずにいられなかったのだ。
皆さんは前世での繋がりってあると思いますか?
私はあると信じてます! えへへ
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