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その後

アーサー様の誤解も解けて私はテラスでアーサー様に後ろから抱きしめられ外を眺めていた。


「なんか不思議です、パーティーの残り物がアーサー様のような素敵な方と一緒になれるなんて…」


「残り物?ソフィアが残り物のわけないだろ、君を狙ってる奴は沢山いたよ…本当に気が気じゃ無かった」


うかがうように後ろを見ると思い出すもの嫌そうにアーサー様の眉間にシワがよる。


「え?でも初日以外は誰も話しかけにもきませんでしたよ。だから安心してください、私を狙う方なんていませんよ」


笑ってそう答えた。


「はぁ…ソフィアはわかってないな」


アーサー様がため息をついてさらに抱きしめる腕に力を入れた。


夜風が吹き熱くなった頬を気持ちよく撫でる。


「少し寒くなってきたな、部屋に戻ろう」


アーサー様は立ち上がり自分の羽織を私に掛けてくれる。


「はい」


丁寧に扱われてなんだが歯がゆくなるが、そっとアーサー様の手を掴んだ。


部屋に戻ると、扉にはアーサー様のそばにいた女性達がバッと周りを取り囲んだ。


私は色んなおしりに押し出されてアーサー様から離されてしまった。


「すっご…」


令嬢達の勢いに気圧される。


アーサー様は私の方に行こうとするが阻まれて身動き出来ないでいた。


さすがに女性に手を上げる訳にはいかずに困惑している。


するとあのイザベラ様がアーサー様の腕を掴んだ。


その瞬間前には感じなかったモヤモヤした気持ちがお腹あたりを渦巻いている。


「アーサー様!あの方と二人っきりで何してらしたんですか?私とも二人っきりでお話してください」


「すまないがそれは出来ない、ちょっと退いてくれ」


「酷いです、私との事は何なんだったんですか…」


イザベラ様が目頭を押さえた。


「何を言っている?」


アーサー様は変な事を言われて私の方をみて慌て出した。


私は眉をあげてアーサー様の元に向かう。


途中で令嬢達が行く手を阻もうとするが負ける気はしない!


イザベラ様の前まで来てアーサー様を睨みつけた。


「ソ、ソフィア?」


「アーサー様!何を好きに言わせているのですか!それにイザベラ様!アーサー様は真面目な方です。遊びて女性と付き合うなど絶対にできません、あなたの事は相手にもしてませんのでご安心下さい。私のアーサー様をこれ以上困らせないで下さいませ」


私は言いたいことを言ってスッキリした後…顔を青ざめる。


しまった…あまりにも頭にきて思わず吐き出してしまった。


「あ、あ、あなた何様なの!私を誰だと思っているの!」


「す、すみま…んっ」


謝ろうと頭を下げようとするとそれをアーサー様に止められて逞しい胸に引き寄せられた。


そのまま上を向かされるとみんなの前でキスをされる…それも深いキスを…


ガクッと腰が抜けるとアーサー様に抱き上げられた。


真っ赤な顔を隠すように顔を胸に押し付けられる。


「この娘が誰だって?教えてやろう私の婚約者のソフィアだ。彼女を侮辱すると言うことは私を侮辱すると思ってもらっていい」


アーサー様が冷たく周りの令嬢達を睨みつけるとギャーギャー言っていた令嬢達がピタリと黙る。


「そこを退いてくれるか?」


アーサーが静かに言うと令嬢達は渋々道を開けた。


「ありがとう、さぁソフィア行こうか」


令嬢達に向ける表情とは真逆の笑顔で優しく声をかけられる。


私は消え入りそうな声で返事をすると満足そうに頷き歩き出した。


会場を出るとアーサー様は私を下ろさずに歩き出す。


「ど、どうしましょう…あんな口を聞いてしまって、お父様やお母様に迷惑をかけることになるかも…」


私はアーサー様に抱かれながら自分の失態に頭を抱えた。


「大丈夫、私の妻になるんだあの程度気にする事はない。でも心配なら手を打っておくから」


「アーサー様…」


アーサー様の安心する笑顔にほっとする。


そして気がつけばアーサー様の部屋へと来ていた。


「ア、アーサー様?私、一度自分の部屋に…」


「ダメだ、あの令嬢達がもしかしたら何かするかもしれない。ソフィアは今日から私の部屋にいるように」


「イザベラ様がですか?そんな事は…」


「イザベラだか、イザナミだか知らないが今夜はダメだ…」


アーサー様から熱い眼差しを向けられる。


「お帰りなさいませ、私共はお邪魔なようなので帰らせていただきますね」


「あっ!」


二人で見つめあっていると部屋にいた、ルークさんとクロエさんに微笑まれる。


「ああ、そうしてくれ。朝もゆっくりで大丈夫だ。あと、父上にソフィアの家に挨拶をして欲しいと頼んでくれ」


そう言われてルークさんが驚いた顔でアーサー様を見つめる。


「あれほど自分を頼れと言った旦那様を頑なに拒んでいたアーサー様が頼られるのですか!?」


「ああ、ソフィアの為ならそんな事なんでもない。他の貴族達が嫌がらせをするかもしれないので早めに手を打っておいてくれ」


「承知致しました。旦那様もお喜びになるでしょうね…ソフィア様、ありがとうございます」


ルークさんからお礼を言われて私は慌てて下りて頭を下げようとするのにアーサー様が離してくれなかった。


「ではごゆっくり、明日は来るのは昼過ぎになると思いますので…」


「よろしく」


アーサー様が扉を閉めると部屋に二人っきりになる。


思わず黙ってしまいシーンとなってしまった。


「あ、ありがとうございます。父と母の事…」


「先程も言ったように君のためならなんて事はない」


「では、そろそろ下ろして頂けますか?それにやはり一度部屋に…」


「無理だ、あんな事を言われて君を今夜返せない…」


「あんな事?」


「私は君の物なんだろ?」


アーサー様は嬉しそうに笑って見つめてくる。


イザベラ様に啖呵を切ったセリフを思い出し赤面する。


「あ、あれはイザベラ様がアーサー様にベタベタ触って…私のアーサー様なのに…って…」


恥ずかしくなって顔を逸らすとまたキスをされた。


「そんな可愛い事を可愛い顔で言わないでくれ、自分を抑えられなくなる」


おでこを付けながら、息も荒く苦しそうに言われた。


私クスッと笑うとアーサー様の顔を両手で包んだ。


「私達婚約者で伴侶になるんですよね?」


「ああ、もちろんだ!」


「なら、抑える必要なんてないんじゃないですか?」


「いいのか…」


「はい、私だって…アーサー様が欲しいです」


誰も聞いてないのに恥ずかしくて耳元でそっと囁いた。


アーサー様は一瞬驚いた顔をした後破顔して私を抱えたままベッドへと向かう。


優しくベッドに寝かされると私はじっとアーサー様を見つめる。


明日は昼まで誰も来ない、私達の幸せな夜は始まったばかりだ…


アーサー様に押し倒されて私はそっと瞳を閉じた。




終わり…

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