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最後に

最後に

作者: Oz

:'




大好き。




そんな四文字が言えなかったのは、そんな一言が私たちの、長年積み上げてきた関係を崩してしまうと分かっていたから。


でも、明日、私は貴方の傍からいなくなる。もう、二度と会うことはないだろう。


だから、せめて貴方に小さな傷跡を残そうとここまで来た。


でも、私は臆病で。どうしても、普通にしようとしても声が震えてしまう。





大好き。





そんな四文字でいつもは無表情で、無口で、何を考えてるのかはわからない、愛しい貴方を変な顔にできる。


どんなにこの関係が惜しくとも、世界は広くて、もう二度と会う予定などない。


だけど、せめて貴方に少しでも私を覚えていて欲しくて。


この数日だけでも、貴方の頭の中を独り占めできたらいいなって。


分かってるよ。貴方には数えるほどには友達がいるし、貴方にはサークル活動も、勉強もあって、貴方はこの忙しい世界を生きている生身の人間なんだってこと。


何事にも淡白で、あまり感情を表に出さないし。


口論になってもすぐに自分から折れるし。


眼鏡はいつも汚れてて私が拭いてあげないと汚いままだし。


貴方が大事にしてたペンギンのぬいぐるみたちもきっと私が居なくなれば寂しがると思うよ。


そして、貴方に夜な夜なメールを書くのもメッセージを送るのももうやめる。


履歴を確認しても、貴方からやり取りが始まったことは一度たりともない。


悔しいけど全部私から始まって私で終わる。


積極性が足りないから彼女が出来ないんだよって何度も言ったっけ。


結局貴方がわかってくれたかどうかは知らないけど。





視界が霞む。勿論、理由は分かっている。


貴方を困らせてごめんね。


これはただの自己満足だし、私は貴方にとっては一人の後輩でしかない。


私にとって貴方はまぎれもなく大事で、特別な人なんだけれど。





私が貴方と出会える範囲に生まれてくれてありがとう。


私と同じ学校に通ってくれてありがとう。


たかが後輩の私を気にかけてくれてありがとう。


私のくだらないおしゃべりやメッセージに付き合ってくれてありがとう。


他の人の名前は覚えないくせに私のは覚えてくれてありがとう。最後くらい下の名前で呼んでくれてもよかったけど。


私を貴方の後輩でいさせてくれてありがとう。


私を貴方の傍に、ひと時でも置いてくれてありがとう。


私をその目で見つめてくれてありがとう。




最後に、ここまで付き合ってくれてありがとう。


私が居なくても、どうか元気で。


いつか、貴方が活躍しているのをどこかで聞けたらいいなと思います。




ばいばい。

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