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元最強の執行人は平穏を願う  作者: 朝霧 新翔
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第1話 アレン

初めましてこの度初投稿させていただいます。

朝霧新翔と申します。

小説を書くのは初挑戦なのでうまくかけているかわかりませんがよろしくお願いします。

 

 満月の夜、月の光が天井から差し込む廃屋にその少年はいた。


 少年の足元にはおよそ20体の死体が転がっている。


「ひいっ、バケモノ!私の精鋭がこんなにもあっさり…来るな!来るなぁ!」


 ぶくぶくと太った男が恐怖に顔を歪め泣き叫びながら少年から逃げる。

 少年は一歩、一歩とその醜い男に近づく、少年の持つえものが青紫色の光をまとい、それを見た男はさらに顔を歪めその醜さがます。。


「頼む!殺さないでくれ!金ならいくらでもやる、だから…」



 少年は男の話に耳を傾けることなく、一瞬でその男に近づきその首を切り捨てた。男は自分が切られたことすら分からなかった。男の首に赤い筋が現れる。赤の線が繋がった瞬間男の首はゆっくりと落ちていった。


「任務完了、これでやっと自由が手に入る」


 少年はそう呟くと夜の闇に消えていった。



 この日王都を騒がせていた1つの犯罪組織が消えた。




 ◇◇◇



 コンコン

 俺はドアをノックする。


「はいっていいぞ。」


「失礼します。」


 ドアを開けるとそこにはよく知る人物が机と向き合い気だるそうに書類整理をしていた。


「相変わらず仕事が早いなアレン。」


 アレンというのは俺の名だ。


「そちらこそ、相変わらず長官は書類整理が苦手なようですね。」


 俺は冗談交じりに言う。


「しょうがねぇだろ、俺の本職は文官じゃなくて武官だからな。しかし、お前が組織を抜けるのは痛いな。」


 そう、俺は今日をもって組織を抜ける。うちの組織は入ってから1万回任務をこなすまたは定年になると組織を抜けられる制度がある。しかし逆を言うと1万回任務をこなさないと組織を抜けることはできない。


 俺は2歳の頃にある犯罪組織によって両親を殺された。その日まだ現場で組織の執行官として活躍していた長官によって俺の命は救われた。この日俺の組織の入隊が決まった。それから訓練の日々が続いた。まだ筋肉も発達していない幼子の俺にとっては地獄の日々だったが俺はそれについていった。


 3歳になると肉体的訓練には慣れ、魔力について教えられたことにより魔力操作の訓練が追加された。魔力操作は4歳になる頃にはマスターしてしまった。周りの大人たちが言うには俺には魔力系の才能があるらしい。


 5歳になると俺は周りの大人たちと同じか、それ以上強くなっていた。そして組織について説明された。

 俺の所属する組織はロベルツ王国、国王直属の諜報、暗殺を専門に活動する機関で一部の人間にしか知られて居ない特殊部隊であることを知った。


 そして俺は5歳の時初めて任務を任された。とある犯罪組織の偵察任務だ。結果は失敗だった俺は相手の幹部に見つかってしまった。幹部は俺を捉え殺そうとした。俺はとっさにその幹部に斬りかかった、相手が油断していたのか、それともそれほど強くなかったのかは分からないが俺はその幹部を殺すことに成功した。

 人を初めて殺したがそれほど罪悪感は感じなかった。

 そのあと俺は残りのメンバーを殲滅した。


 組織に戻ると罰として1ヶ月間の地獄の特訓が待っていた。それはもう辛い辛い日々だった。

 後から聞いた話だとあの犯罪組織を殲滅するには少なくとも5人の戦力が必要だったらしい。その頃から大人たちは俺を避けるようになった。まだ5歳の少年が犯罪組織を壊滅させたんだものそりゃ怖いはずだ。

 それからというもの俺には暗殺や殲滅系の任務が多く当てられた。完璧に気配を消すこともできるようになった。

 そして今日、初めての任務以外一度も失敗することなく1万回の任務を達成した。


「アレン組織を抜けたあとはどうするんだ。」


 長官が俺の今後について聞いてくる。


「とりあえず普通の生活ってものを送ってみたいですね。」


 俺は2歳から今までずっと組織の人間として生きてきた。そのぶん普通の生活に憧れを持っていた。


「そうか。なら学校に通ってみないか?」


 どうゆう意図かわからないが長官は俺に学校を進めてきた。


「学校ですか?」


「お前は人生のほとんどを組織の人間として過ごしてきただろ?そのぶん一般人としての常識が不足している。常識を学ぶのにはぴったりな場所だとは思わないか?」


 俺は世間一般の常識など知らなかった。今まで普通に憧れを持っていたがその普通がどんなものなのか知らないことに、長官の話を聞いて初めて気づいた。


 そして長官は話を続ける。


「それになお前は年の近い友人などいないだろ、学校はそんな友人を作る絶好の場所だ、新たな友と環境はお前さんの世界観を変えてくれるだろう。」


 年の近い友人か…そういえばまわりはみんな大人でそれらしき人物なんていなかったな。何度か俺と同じように拾われてきた子供はいたがみんないつの間にか組織からは居なくなっていた。居なくなったということはそうゆうことなのだろう。


「わかりました。長官がそう言うのなら学校に通ってみることにします。」


 俺はそう言って執務室を出ようとする。


「アレン。」


 長官に呼び止められる。


「試験は3ヶ月後だ、お前なら無事受かるだろう。」


 長官はその顔に似合わない笑顔でそう言った。


「今までありがとうございました。父さん。」


 俺は長官、育ての親にそういうと執務室を後にした。




 ◇◇◇


 俺の名前はオスカー=ラードラ。


 ラードラ侯爵家に次男として生を受けた。

 ラードラ侯爵家は代々優秀な文官を排出してきたことで有名な家系だ。


 俺にはとても優秀な兄がいた。だから俺は家督を継ぐことはないとわかっていた。家のためにも兄が家督を継いだ方がいい、それにラードラ家には珍しく俺は学業よりも武芸や魔法の才能があることがわかった。


 俺は学院を卒業した後、その才能をかわれ国王直属の特殊機関に配属されることになった。

 そこは様々な分野の実力者が集まる変わった組織だった。


 俺は組織で現場の執行官として活躍するようになった。


 ある日俺は長官に昇級することが決まった。


 そして俺は現場最後の任務へと向かう。


 俺が目的地の小さな町へ着くと唖然とした。

 その町はとある犯罪組織によって壊滅状態に陥っていた。町の人々は殺され、家は壊された金目のものは全て奪われたあとだった。

 俺はこの組織に入って数多くの任務をこなしたが、1、2を争うほどの悲惨な現場だった。


 俺は一緒に来た仲間の3人と共に手分けしてまだこの町に残っている犯罪組織の人間を殲滅しつつ生存者がいないか確認した。


「キャアァー!」


 どこからが女性の叫び声が聞こえた。俺はその声が聞こえた方へ走る。

 俺が女性の元に着いた時、女性は剣を持った男の足元でうずくまっていた。

 俺はとっさに剣を抜き男は斬りかかる。男は俺に気づいたがもう遅い、次の瞬間俺は男を切り捨てた。


「大丈夫ですか」


 俺は女性に声をかける。

 女性の背中には複数の切り傷があった。この女性はもう助からないだろう。すると女性が小さな声でなにか言ってるのが聞こえた。


「…の…を…い。この、子…ね、が、い…」


 ―この子をお願い―


 俺にはそう聞こえた。

 女性をよく見るとその下には2、3歳くらいの男の子がいた。

 俺は驚いた、この女性はあの状態で必死に我が子を守り続けたていたのだ。


「わかりました。あなたのお子さんは私が必ず守ります。」


 俺がそういうと母親は力耐え、永遠の眠りについた。


 部屋の奥を見ると子供の父親であろう人物がナイフを持ったままの状態で亡くなっていた。きっと彼も自分の息子を守るために戦い命落としたのだろう。

 俺は子供を安全なところに寝かせて亡くなった両親を埋葬した。


 改めて子供を見ると違和感を感じた。さっき抱きかかえたときにあったはずの小さな傷がなかった。

 俺はまさかと思い魔力感知を発動した。驚くことに少年の体は魔力感知を発動しなければわからないほどの微量な魔力で覆われていた。


 普通魔力が発言するのは6歳から8歳の間だと言われてる。なのにこの少年はこの歳にして魔力を発現させているのだ。


 そのことに驚愕していると仲間から犯罪組織の殲滅が完了したと連絡があった。

 俺はその子供を抱え仲間と合流した。


 結局生き残ったのは俺が見つけた子供1人だけだった。


 俺はその子を組織に連れて帰った。

 次の日その子は目を覚ました。


 その子の名前はアレンというらしい。

 アレンは母と同じ白銀の髪に青と紫を混ぜたような目の色をしている。

 母親の目の色は赤だったから父親から遺伝したのだろう。


 アレンは自分の置かれている状況を理解していた。

 まだ2歳にして父親と母親の死を理解していたのだ。

 子どもというものはこんなにも理解が早いのか、俺はそう思ったが、すぐに間違いだと気づく。


 アレンが異常なのだ。


 普通の子供ならまず目を覚ました時点で親がいなかったら不安がるだろう。ましてはあんなことがあったんだ、泣き出していてもおかしくない。


 あの魔力といいこの落ち着きといい、この子には何かあるのではないかと思うようになった。


 そして俺はアレンの母親との約束を思い出す。


 まずはアレンにこの世のかなを生き抜くための力を与えなきゃな。死なせないためにも。


 俺はアレンに組織の英才教育を施した。

 初めは2歳の子供に何をしてるんだかと思っていたがアレンは嫌々ながらも訓練について来た。


 3歳になると魔力の使い方を教えた。アレンはなかなかセンスがいい、教えたものをすぐに吸収し成長していく。たった1年で魔力操作をマスターしちまいやがった。


 アレンは5歳にして普通の組織の人間よりはるかに強くなっていた。

 そしてアレンに任務が与えられた内容はある犯罪組織のアジトの偵察という簡単なものだった。

 あいつが犯罪組織を壊滅させて帰って来たときには驚いた。


「ただの偵察がどうして犯罪組織の壊滅に至るんだぁ?」


 俺は罰としてあいつに1ヶ月間の地獄の特訓メニューを組んでやった。


 そしてアレンは俺なんかよりはるかに強くなった。


 そしてついに1万回の任務を終えた。


 普通だったらありえない。俺の現役時代でも3500回が最高だ。

 だけど思い出した。アレンは異常だったんだって。

 初めてあったときからあいつは俺の常識をことごとく破ってくれた。


 だけどもう退役か。寂しくなるな。


 俺はアレンに学校へ行くことを進めた。

 あいつはいつも普通に憧れてたからな、親代わりとしては、アレンにはいい友人と出会い、普通の子供らしく楽しい人生を送ってほしい。


「今までありがとうございました。父さん」


 アレンはそういうと去って行った。


 扉が閉まると俺の目からは熱い何かが流れていた。


「息子よ、元気にいきろよ…」

元最強の執行人は平穏を願う

を読んでいただきありがとうございます。


投稿頻度は特に決めてませんが頑張っていこうと思うので応援よろしくお願いします!

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