3日目 王都1
評価、ポイント有難うございました。
やっと書けました。
王都の事情説明
ちょっと長い
そしてアランさんのお兄ちゃん登場
この人、実は一番働き者?
「ご苦労だった、無事に帰ってきてくれて感謝する、ゆっくり休んでくれ。」
冒険者ギルド長の部屋で報告を受けた私は
動揺と不安を悟られぬよう、強行軍で任務から帰ってきてくれた彼らをねぎらう。
目の前には魔の森の調査に行った冒険者グループの副隊長と分隊長の計三名がいる。
今回の調査隊の隊長であった弟、アランは行方不明になったが
Sランクの魔物複数を相手に、帰還できたのは奇跡だ。
早急なアラン搜索と討伐を進言する彼らには、休んでもらう事にし
部屋から退出して貰った後、城へ急ぎ連絡を入れ、
国王と第二王子アレックスへ状況を報告する。
その後、すぐに副ギルドマスターへ「緊急の用事で城へ行く。後は任せた。」
とだけ告げ、城へ向かった。
時間が惜しい、
私の愛する家族である弟、アランが調査先で魔獣に襲われ
行方不明になって三日・・・
絶望的な状況だが動かずにはいられない。
私はアレクサンダー、
元王太子で王位継承権第一位だった男
現在はこの国、ハーシェスタ王国の王都の
冒険者ギルドのギルドマスターをしている。
国王は実父、弟は時期国王となるため、父の右腕として城で働いている。
なぜ王位継承者だった私がギルドマスターをしているのか?
説明すると少し長くなるのだが・・・・
まず国の地形的な事。
対外的にハーシェスタ王国は、大陸の北東部に位置し少し歪な六角形の形をしている。
(と思われている)
正確にはその六角形のうち左下の
太めの三日月型の部分が王国の領土になる。
国の南西部から北東部へ大河が流れ生みに注いでいる。
その大河の北側の国のほぼ半分、中央部から北部にかけて、
丁度、三日月の影の部分が、
魔の森と呼ばれている、強力で貴重な素材となる魔獣が多く住む大森林地帯がある。
魔の森の周囲は三千メートルを超える山脈で囲まれており
森への侵入ルートは十二箇所。
その侵入ルート上には、魔の森から漏れてくる魔獣を監視するため、
いずれも城塞都市が築かれており、国に忠誠を誓った領主の居城があり、
冒険者ギルドと協力して
魔獣龍の暴走の発生などに目を光らせている。
また、魔の森ほど強力な魔獣は出ないが、南西部から東側にかけての、
三日月の外周部分にも山脈があり、森がある。
この国境付近の森にも魔獣が出没する。
ここでも各地の領主と冒険者ギルドが協力し、
定期的に魔物の討伐を行い、大量発生に備えている。
そのため、王国は冒険者が集まりやすいように保護、育成する政策をとっている。
私がギルマスとなり、各地の領主と冒険者との間を取り持ち、
他国から来た冒険者達の要望や不満を聞いたり、
王国でのルールを事前に伝える事が出来るため、
トラブルの発生を未然に防ぐとともに、魔獣の暴走など、
危機的な状況に際しては、国軍と冒険者が連携して国を守る体勢を作っている。
ギルマスをしている私的な理由。
世間的に私は前ギルマスの娘と結婚するために
王位継承権第一位を蹴ったことになっている。
前ギルマスの娘と恋に落ち、結婚したのは本当だ、本当に彼女を愛している。
話が逸れた・・・それ以外に大事なこと。
王位を蹴ってまで前ギルマスの娘と結婚する、ギルマスをしているというのは
『ギルドが王国と良好な関係である』と示す政治的な意味合いも大きい。
一応、国家と冒険者ギルドに政治的なつながりはなく、
各国とギルドとは、対等の立場というのが表向きの姿である。
しかし、実は冒険者ギルド自体、
国家間の情報という大きな武器を手に入れることができる宝箱なのだ。
また、冒険者に偽装した他国のスパイなど、
怪しい物や犯罪者の情報も手に入れやすくなるため、
未然に国内で起きそうな犯罪や騒動も未然に防ぎやすくなる。
そんな諸々があり、たまたま、偶然にも私はギルマスになることが出来た。
決して『冒険者に憧れた』とか、『国王になるのが面倒くさかったから』や
『政治をするのが面倒くさかった』訳ではない。
さらに、継承権を蹴る際に、現政権を転覆させようとする輩をまとめて私側につけた後、まとめて失墜させることに成功したのは大収穫だった。
また話が逸れた。
おかげで今回、『魔の森で他国の冒険者が討伐もせず怪しい行動をしている』という情報を手に入れ、
情報収集と調査の結果、『他国の兵士が魔獣を使い実験をしている』
と言うところまで突き止めることができたのだが・・・・・
その犠牲は大きすぎるものになってしまった。
そして今回の事件に関して、実は深刻な問題がある。
魔の森は『わが国に隣接している』のであり、正確には『わが国の領土』ではない。
今から500年以上前の約定により、我が国は魔の森での資源採集や、
魔獣を捕獲する権利を与えられているだけなのである。
500年前の約定には、森に立ち入る者を我が国が管理することが盛り込まれており、
ハーシェスタ王国以外の国や国の権力者が侵入しようとした場合は、
それを調査、排除することとなっているのである。
実は未だに、魔の森は『エストレンド公国領』なのである。
ただし、これはわが国の王族と、我が国と親しい国の王族の
それもごく一部しか知らない事実なのである。
『他国からの侵略』とも取れる事件の重大さ
その対応について考えがまとまらないうちに王城に到着した。
王都側の事情
今回で入りきらなかった
次回で終わる予定。
終わらないときは
非常手段
無理やり詰め込みです。