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史上最高の天才錬金術師はそろそろ引退したい  作者: 御子柴奈々
第四章 王国内乱編-When she cry-
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第124話 帰り道


 アリスの見舞いを無事に終えて、俺たちは帰路へと着く。


「アリス、元気そうだったな」

「もう、全くよっ! すぐに私に喧嘩をふっかけてくるんだからっ!」

「いやフィーもお互い様だと思うが……」

「何? 文句でもあるの?」


 半顔で睨んでくるフィーだが、これ以上何かいうと面倒だと思うのでその件に関してはこれ以上追求しないことにした。


「それにしても、復興は進んでいるようだな」

「そうね」


 周囲を見渡す。すでに復興はかなり進んでいるようで、あと一ヶ月もすれば十分に元に戻るようになると言われている。


「ここまで色々とあったわね」

「そうだな……」


 この王国で起こった出来事。無事に収束はしたのだが、疑問点はまだまだ残っている。そもそも、初めに考えていたほど相手の攻め自体は過激なものではなかった。


 むしろ終盤の方では、相手の統率が完全に失われてしまったのか簡単に制圧することができた。


 さらには首謀者はアリスだと言われていたが、最終的にはオスカー王子ではないかと言われている。それも結局のところ、謎のままであるのだが……。


「あーあ。今日は晩ご飯どうしよ」


 打って変わって話は今日の晩ご飯の話になる。


「エルはもちろん一緒に食べるでしょ?」

「そうだな。それだと助かる」

「うーん。家に余っているものも、あんまりないのよねぇ……そもそも、お店も空いているところは少ないし……」


 顎に手を当てて、色々と考えているようだった。ここ最近は缶詰や非常食などを食べることが多かったので、特に何が食べたいということもなかった。


「ま、そこはテキトーに決めましょうか。エルはどうせ気にしないでしょう?」

「あぁ。問題ない」


 そのまま黙って二人で歩みを進める。


 するとふとフィーがその場に立ち止まるのだった。


「どうした?」

「いや、なんだか本当に終わったんだなぁ……と思って」

「意外と終わってみれば早かったようにも感じるな」

「そうね。でもやっぱり、エルがいてくれて良かったと思うわ」

「そうか?」

「えぇ。エルが天才ってことを今回の件でさらに痛感したわ」


 その声音はいつになく真剣なものだった。


 彼女の瞳もまたじっと俺の双眸を見つめる。


「……天才、か。しかし救えないことも多々あった」

「それでも助けることができたのも、確かにあったわ」

「そうだな……そう言ってもらえると助かる」


 虚空を見つめる。


 ここまでの道のりを色々と振り返ってみる。思えば本当に様々なことがったものだ。


「ねぇエル。しばらくはゆっくりしたいわね」

「そうだな」


 そうして俺たちは、夕焼けに照らされながら進んでいくのだった。

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