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史上最高の天才錬金術師はそろそろ引退したい  作者: 御子柴奈々
第四章 王国内乱編-When she cry-
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第120話 全ての終わり


「先生、どうしてここが?」

「青い光が見えて、それを追いかけてきた」

「青い光……ですか?」

「あぁ。心当たりは?」

「いえ。特にありませんけど……」

「そうか。今はとりあえず、休もう。アリスもずっとここにいて、大変だっただろう」


 すると、彼女の瞳が徐々に潤んでいく。


 アリスの手を握ると、自分の胸元へとゆっくりと抱き寄せる。


「よく一人で頑張ったな。もう大丈夫だ」

「……先生」


 そして、俺の肩に頭を押し付けてくると静かに涙を流した。そんな彼女の様子を俺とフィーは黙って受け入れる。


 どれだけの時間、ここに一人で閉じ込められていたのか。それを考えると、涙を流すのも当然というものだろう。


 そうして色々と疲れが溜まっていたのか、アリスは眠りについてしまう。


「寝ているけど、大丈夫なの?」

「あぁ。疲れていただけだろう」

「そっか。でも仕方ないよね。こんな場所にずっと一人だったんだから」

「そうだね。さて、と」


 眠っているアリスを優しく抱きかかえると、背中に彼女を背負う。


 ここから先は戻るだけだ。おそらくはこの王国の騒ぎも、すでに終わっている頃かもしれない。この王城にたどり着いて、ここまでたどり着いたということはそういうことなのだ。


 フィーと牢獄を出ると、今まで進んできた道とは違って、明かりがしっかりと灯っていた。それに道も一本道で、視線の先には上の階へと登るための階段が見えた。


「ねぇ、エル。なんか来た時と構造が変わってない?」

「変わっているな。こんなにシンプルな構造ではなかったはずだ」

「だよねぇ……どうなっているのかしら」

「今考えても仕方ないだろう。とりあえずは、アリスを安全なところまで運ぼう」

「分かったわ」


 二人で歩みを進める。


 なんてことはない。ただまっすぐ歩いて、階段を登ると普通に王城の踊り場へとたどり着くことができた。


 そこではどうやら、俺たちの仲間がこの城を制圧していたようで、本当に終わりがやってきたのだとホッとする。


 この王国で起きたクーデターの主犯格はアリスとされていた。しかし、牢獄に囚われていた時点でそれはあり得ないだろう。俺たちはもともと、オスカー王子が主犯だと確信していた。


 そんな彼を探しているのだが、どうやら王城の中には全く痕跡がないらしい。


「う……うぅうん……」

「アリス。起きたのか?」

「え……って、私寝てました?」

「あぁ。疲れたいたんだろう」

「それは、お恥ずかしいところをお見せしました」

「下ろした方がいいか?」


 そういうと、少しだけ小さな声で彼女はこう言った。


「いえ。その……もう少しこのままだと助かります」

「分かった」


 こうして俺たちは、アリスを無事に救出することに成功するのだった。

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