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史上最高の天才錬金術師はそろそろ引退したい  作者: 御子柴奈々
第四章 王国内乱編-When she cry-
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第119話 たどり着いた、その場所


 あれから何度か休憩を繰り返して、道を進んでいた俺たち。その中でやはり、あの青い光は徐々に近づいている。


 そしてそれと同時に、アリスの声がしっかりと聞こえるようになってきたのだ。


 しかしそれは、やはりどうやらフィーには聞こえないらしい。


「ヒィィイイイ! なんか今、大きいネズミがいたんだけどっ!」

「ネズミくらいどうってことないだろう。いくぞ」

「エルは大丈夫でも、私は無理なのー!」


 と、震えながら俺の腕をしっかりと掴んでくる。今はあの青い光のおかげで、しっかりと前に進むことができているのだが、まだ薄暗いことに変わりはない。


 地面にはネズミだけではなく、他には虫なども這いずり回っている。それが怖いらしいフィーは、こうして怯えながら歩みを進めている。


 俺としては色々と面倒だな、と思うところはあるがフィーには助けられている面も多い。それに怖がっている様子を見るのは今更なので、とりあえずは気にせずに二人で歩みを進める。


「うぅ……なんか、お腹も減ってきたよぉ……」

「文句が多いな」

「だ、だって! こんなに時間がかかるなんて、思ってなかったし!」

「まぁ……それはそうだな。この地下空間は予想外過ぎた」

「でしょ! はぁ……早く戻って、綺麗な部屋で食事がしたいわ」

「それは同感だな。それに、早くいつもの日常に戻りたい」

「そうね。でもきっと、もうすぐ終わるわよ」


 王都での反乱も、もう少しで落ち着くのは間違いない事実だった。というのも、相手の進行が途中からまるっきり勢いを無くしたのだ。それはいまだに謎ではあるが、こうして俺たちが王城まで進行できているのがその証。


 きっと、アリスを救出しているころには、外では全てが終わっているのかもしれない。


「む……フィー。見てみろ」

「ん? え、あれって」


 ついに俺たちは、青い光の元へとたどり着いた。


 そしてそこは、牢獄だった。その場で寝転ぶようにして蹲っている一人の少女を発見した。青い髪で、少し華奢な身体。


 間違いない、彼女は……。



「アリス! 無事だったかっ!?」

「先生……?」


 声を上げると、こちらに顔を向ける。それは間違いなくアリスのものだった。顔は少しやつれているようだったが、正気はしっかりと宿っている。


 俺はその牢獄を無理やりこじ開けると、すぐに彼女の元へと寄り添う。


「やっとたどり着いた」

「せ、先生……? 幻覚じゃなくて?」

「あぁ。幻覚ではない。それにフィーもいるぞ」

「どうも。アリス王女」

「そう……そうですか……」


 ホッとしたのか、アリスは俺に抱きついてくるとそのまま静かに涙を流した。


 こうして俺たちは紆余曲折を経て、アリスを救出することに成功するのだった。


 しかしどうやら、まだまだ謎は残っているようだった。

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