第113話 進行する時
俺たちはかなりの戦闘になると思い、入念な準備をしてついに王城に突入することになった。
だがそれは、どこかおかしかった。というのも、数日前からなのだが……相手の勢いが衰えているというか、全く抵抗する意思がないのだ。
「フィー。どう思う?」
「そうね……何か特殊なことが起きているのかも?」
「具体的には?」
「いや、それは分からないけど……」
二人で隊の後方について、歩みを進める。俺とフィーは錬金術によるサポートをメインとして戦っている。攻撃手段も氷をメインにして、極力傷つけないようにしている。
それはこれは、後に判明した事だが裏切った兵士たちはその時の記憶が欠落しているらしい。
はっきりと覚えているものは一人もいなく、ただ呆然と……まるで夢のようだった。
そう語る者ばかりだった。
そちらの対応は、医者に任せて俺たちはついに王城まで来ることになった。しかしその中で薔薇十字団のメンバーと相対することはなかった。
いずれどこかで戦うことになる。
そう会議で話し合い、ある程度の覚悟もしていたのだが……なぜか出てこない。そもそも今回の件は、首謀者はアリスではなくオスカー王子だということは既に判明している。
だというのに、彼が姿を見せる気配は一向にない。むしろ本当に今回の騒動の背後にいるのかどうか。それすらも怪しくなってきているほどだ。
「アリス王女は地下にいるって話だけど……」
「まぁあくまで予想だな。王城の地下には牢獄があるという話からの推測に過ぎない……と、来たようだな」
二人でそう話していると、敵がゾロゾロとどこからともなくやってきた。だがそれは今までと同じように……完全に正気がないような、そんな目をしていた。
「いくぞ!」
「えぇ!」
その後はいつものようにあっという間に終了。俺とフィーが足元を凍らせて、あとは前方にいる騎士の人間に任せるだけ。
今回も特に、敵味方ともに死傷者を出すことなく戦闘を終えることができた。
そうして事後処理をしているのを見つつ、俺とフィーはこの状況を改めて整理する。
「……やっぱり、おかしいわね」
「あぁ。間違いなく、呪縛の類がかかっていると考えていいだろう」
呪縛の類。
そう形容するのは、明確な呪縛の痕跡が残っているわけではないからだ。俺も立ち会いには参加しているが、確かに痕跡は残っていない。しかし間違いなく、何か錬金術……または魔法的な要素があると考えている。
「さて、と。エル。そろそろ行きましょうか」
「……」
「どうかしたの?」
顔をじっと心配そうに見つめてくるが、俺は自分の中に生じた疑問を特に気にすることなく返事をした。
「いや。なんでもない。行こう、フィー」
「えぇ」
そうして俺たちは王城内を進んでいくのだった。




