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史上最高の天才錬金術師はそろそろ引退したい  作者: 御子柴奈々
第四章 王国内乱編-When she cry-
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第107話 Alice in wonderland 22:大人な対応


「はぁ……」


 ため息をつく。

 

 先生のいない日には慣れた。でもどうしても……寂しいと思ってしまうのは、仕方がないと思う。


「いかがいたしました?」


 休日。いつものようにサリアが紅茶を入れてくれる。彼女の淹れる紅茶は本当に美味しい。それに長年の付き合いということで、私の好みを本当によく分かっている。


「なんだかなぁ……と思って。先生のいないは、ちょっと寂しいって」

「慣れた、とこの前は言っていませんでしたか?」

「それとこれとは話が別なのっ!」


 抗議する。


 そうだ。別なのだ。理屈では理解していても、やはり感情はどうしてもそれを拒む。乙女心とは、複雑なのだ。


「あぁ……そういえば」

「どうかしたの?」

「オスカー様がアリス様にも謝罪をしておきたいとか」

「えぇ……」

「露骨に嫌そうな顔をしますね」

「だって、ねぇ……」


 そう言われるが、当たり前だろう。


 先生にあれだけのことをして、いい印象など全くない。そもそも他の王族とはあまり仲良くない私だが、その中でもオスカーお兄様は一番相性が良くないと言ってもいい。


 何よりも、あの上から目線が嫌というか……。


 それに先生に対して行ったことで、私の評価は最低だ。


 そんな人に今更会うなど、正直面倒くさい。


「しかし、向かうから是非とも……と。他の王族の方々にも、現在は謝罪をして回っているとか。他のメイドからの情報ですが、なんでも真摯な対応を見せているとか」

「ここで真摯じゃない対応を見せたら、それこそ凄いけどね……」

「まぁ本当に嫌でしたら、私から伝えておきますが……」

「……」


 考える。


 ここで拒否してしまってもいいが、そんなに意固地になっても仕方がないとうか……。ここは私も大人の対応をすべきだろうか。というよりも別に何かされるわけではないのだ。


 別に謝罪を受け取っても、なんの問題もないだろう。


「……仕方ないけど。会ってもいいわ」

「あら。どういう風の吹き回しですか?」


 きょとんとした表情でサリアはそう言った。

 

 私だって成長しているのだ。いつまでも感情だけで生きるわけにもいかないのだから。


 別に先生に会えないことは……きっと関係していないと思う。


 うん……。


「まぁ謝罪を受けるだけなら、いいかなって。私も大人になっているのよ?」


 ふふん……と胸を張ってみる。そんな私の様子を、サリアは白い目で見つめる。


「本当の大人はそんなことは言いませんが……分かりました。お伝えしておきます」

「ちょっと待って。今聞き捨てならない言葉が……」

「いえ。私は何も言っておりません」


 このメイド……意外と辛辣な言葉を吐いてくるのは慣れているが、聞き取れるようで微妙な声でいつもそう言うのだ。


 本当に性質たちが悪いと言うか……。


 こうして私は、オスカーお兄様と改めて会うことになるのだった。

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