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史上最高の天才錬金術師はそろそろ引退したい  作者: 御子柴奈々
第四章 王国内乱編-When she cry-
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第103話 Alice in wonderland 17:一人だけの日々


 あれから先生にさらなるアプローチをかけようと思ったけれど、そういうわけにも行かなくなってしまった。


 なぜならば、先生が迷宮探索に行き始めたからだ。


 サリアと二人で話し合ったのに、誰も相手をしてくれないので正直暇というか……寂しかった。


 いつも言い争っているフィーもいないと、本当に手持ち無沙汰というかなんというか。


「……ふぅ」


 そんな私は一人で図書室にいた。


 たった一人。図書室の隅の方で、読書をしている。先生が読んでおいた方がいいという本を、手当たり次第に集めてきた。


 それを積み重ねるようにして、私は読書に没頭する。


 そして今は一息ついて、グッと背もたれに体を預ける。


「あーあ。早く帰ってこないかなぁ……」


 と、一人でぼやいてみる。


 だがそんなことは言っても無意味だと私は知っている。


 先生たちの帰りはいつになるのか、私は詳しくは聞いていない。それこそ、気が付いたら出発していたのだ。


 本当に私はご立腹である。


 ほぼ毎日ずっと一緒にいる私に何も言わないなんて、帰ってきたらお説教である。


「帰ろうかな」


 そして私は今日も今日とて、寂しく一人で帰路へと着く。


「ただいまぁ」

「お帰りなさいませ。アリス様」

「うん……」


 乱雑に服を脱ぎ捨てると、それをベッドに投げ捨てるようにして私は思い切りそこにダイブする。


「はしたないですよ」

「いいもーん。別に、サリアしかいないし」

「はぁ……もっと王女としての礼節をですね」

「表向きはしっかり出来てるでしょ?」

「まぁ、それはそうですが」


 サリアには色々と教えてもらった。彼女は私の教育係でもあり、貴族や王族に対しても今まで教育をしてきたそうだ。そんな彼女は意外とスパルタというか、できるまでしっかりと教え込む。


 でも出来たらちゃんと褒めてくれるし、暴力などもふるってこない。ただ厳しくて、そして優しい人なだけ。


 そんな彼女のことが私は大好きだった。


「先生帰ってこないよぉ〜」

「そうなのですか」

「サリアは何かしらない?」

「一介のメイドが知るわけがありません」

「えぇ〜」


 ベッドでゴロゴロと転がると、サリアが私の脱いだ服を集めてくれる。


 その一方で、私は依然としてベッドに寝転がる。

  

 そしてその天蓋をじっと見つめる。


「はぁ……早く帰ってこないかなぁ」

「アリス様はもう少し辛抱することを覚えた方がいいと思います」

「だってさぁ……毎日一緒にいたんだよ?」

「土日は一緒にいないでしょう」

「もう! そんなツッコミはいいの! 学院に行っているときはいつも一緒だったから同義よ!」

「はぁ……」

「ずっと一緒だと思ってたけど、日常ってこうも呆気なく変わるんだなぁ……と思って」

「まぁ気長に待ちましょう」


 そして私は数日後に、先生と出会うことになる。


 でもそれは私にとって、最初の転機であったのは間違い無いだろう。

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