ワイルドメガネが爆誕した件
現状打開のヒントは、まず間違いなく陽菜ちんの記憶にある。あたしは必死になって陽菜ちんに頼み込んだ。
「陽菜ちん、思い出して!陽菜ちんが魔王になれるなら、魔王にしない方法もあるはずだから!」
「うーん……とは言っても、本当に記憶が曖昧なんだ。どうでもいいことはすぐ忘れるからなぁ……」
それはわかるが、今は陽菜ちんの記憶だけが頼りだ。どんなに小さくてもいい。ヒントが欲しい。
「うーん……陽菜さん、ゲーム?がクリア直前だったなら、捜索範囲は魔王城近辺だけだったんじゃないかな?」
「ああ、そうだな。魔王城内からのセーブだったぞ」
鈴木のナイスなパスにより、すぐに魔王城へ行くことになった。
最後のセーブポイントである書庫で考える。都合よく陽菜ちんがナニかを思い出すことはなかった。とりあえず眼鏡でしらみつぶしに探す………かな?
「隠し部屋………とかなのかなぁ」
ここから魔王の部屋は目と鼻の先。それも一本道だから、あるとすればこの部屋である可能性が高い。
「あった気がするな。せっかくだからと魔王城をくまなく捜索しまくって、友人にしばかれたら隠し部屋があったんだ。確か………ここに………」
まさかのクリア直前で隠し部屋……陽菜ちんは書庫の奥に行き、迷わず一部の本を抜き出した。
「確かこの辺り……………あったぞ!」
本に隠されていたが、金庫みたいなものが壁に埋まっていた。鑑定したところ、ダイヤルを回して正しい組み合わせにすると仕掛けが起動するらしい。ダイヤルの数字は四桁で、それぞれが零~九までの数字がある。ひとつずつ地道に試すか?かなり気が遠い作業だ。
地道にやることが苦にならない穂積が組み合わせを試し始めた。
「確か…………こうだ!」
しかし、陽菜ちんはダイヤルをニ九ニ八からニ九ニ九へ動かした。すると、書庫の本棚達が動き出した。そして、隠し部屋への通路が現れた。
「こんな仕掛けがあったなんて……」
「…………俺の努力は一体………」
驚く鈴木、脱力する穂積。穂積、いつか君の努力が花開く時が来るに違いない。穂積は放置して通路を覗くが、真っ暗だ。
「ミチル、穂積家の照明係である私に任せろ!」
「おお……」
陽菜ちんの魔法により、隠し通路が照らされた。薄暗かったら引っかかったかもしれない罠もよく見える。危険な罠があった場合対処が必要だからと陽菜ちんが先頭。最後は鈴木。
私は照らされた床を見て、首をかしげた。隠し通路の奥は広大な空間で、また書庫に戻ったような錯覚を覚えた。
「………死霊術大全、錬金術の基礎、魔族構造学……」
本は医療系と死霊魔法、錬金術が多かった。嫌な予感がする。魂と、身体。この部屋の主は………何をしようとした?
「ミチルちゃん?」
「あ、あははー。大丈夫!」
そして、部屋の中央を見てしまい……不覚にも叫んでしまった。台座に支えられた正円の巨大なガラス球。内部には液体と……!??
「ぎゃあああああああああああ!??」
思わず鈴木に抱きついた。視てしまった。アレがなんなのか、理解してしまった。
「ミチルちゃん、どうしたの?」
「あ……ああ…………」
声にならない。怖い。怖くてたまらない。どうしてあんな惨いことができるの?恐慌状態になりながらも、頭は回転していた。
どろどろに溶かされ、閉じ込められた魂達。
死霊術
錬金術
医療
これらを総合すれば………答えは見えてくる。
神への反逆にして、大罪。
だが、誰しもが愛する者がいたならば、願うであろうこと。
「キサマラ、ここで何をして……ぎゃああああああああ!??」
怒る毛玉を容赦なくビームで撃ちまくる私。本日の眼鏡は……!
「ひとつ、人の魂を奪い………ふたーつ、ふざけたそのフォルム!みっつ皆のアイドル鈴木を手にかけようとした罪は重ぉぉい!!」
本日の眼鏡は、鈴木が作成した目が………目がぁぁぁね!!某有名な深海の城ラプタのムスカリさんにちなみ、その強大すぎる力に溺れぬようにと名付けた目が……目がぁぁぁね!!
「貴様の悪行、万死に値する!!鬼畜眼鏡が、魔王に代わって死刑じゃあああああああ!!」
「落ち着け、北條!真生!止め……どうした!?」
「ミチルちゃんが俺のために怒ってくれてるのが嬉しくて……」
鈴木が泣いていた。
「貴様あああ!!鈴木を泣かすとはどういう事だ!?死刑では足りぬ!拷問じゃあああああああ!!その毛を一本ずつ抜いてくれるわあああ!!」
「イヤアアアア!?マオ!お前、ホンキでこの女がいいのか!?シュミ悪すぎないか!?」
「メーガネー!!メガネエエエエ!!」
「なんか野生に還ってるじゃねーか!?なんだよ、メガネエエエエって鳴き声か!??」
怒りのあまり完全に正気を失った私。現場はまさにカオスであった!毛玉め!私が野生に還ってるだと!!そう、私は野生のメガネエエエエ!!メーガネー!!メガネエエエエ!!
そろそろメガネの終わりが見えてきました。もう少しお付き合いくださいませー




