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お昼ご飯に驚きました。

 兼田の机が舐めまわされるというハプニングがあったものの、昼休みまでは特に問題なく過ごしていた。


 ランチタイムは親友、むっちゃん、穂積、兼田と中庭でいつも食べている。


「ミチル、行こう」


「うん!」


 いつも通り親友である陽菜ちんと手を繋いで移動しようとしたら、鈴木が声をかけてきた。


「ミチルちゃん!」


「なに?」


「お昼…一緒にいい?」


 恥じらいながら弁当らしき包みを見せる鈴木。なんというか……


「乙女か!」


 そうそれ!流石は我が親友!もはやソウルメイトだ!!


「私はかまわんぞ、鈴木も来い!ミチル、いいよな」


「もちろん!」


 というわけで、鈴木も一緒にランチとなった。





「皆様、おくつろぎくださいませ。北條様と姫宮様はほうじ茶、男性方は緑茶でよろしいですね」


「おい、コラ!瀬羽巣!お前の主人は誰だ!?」


「旦那様にございます」


「………今仕えているのは誰だ!」


「旦那様にございます」

「俺だろ!!」


 瀬羽巣さん、アホ部をからかうの大好きだよなぁ。和むわぁ…と淹れたてのほうじ茶をすする。


「それ、どんな味?」


 鈴木に聞かれたので答えようとしたが説明しにくい。


「おいしいよ。飲む?」


 瀬羽巣さんに頼めば淹れてくれるが、あいにく瀬羽巣さんはアホ部をからかっている。なので私のを飲んだ方が早いだろう。


「えっ!?あ、ありがとう」


 真っ赤になった鈴木が、私のほうじ茶を飲んでから気がついた。






 間接キスじゃね?






「あの…その…おいしかった……」


「………ならよかった」


 笑顔を保っているが、手がプルプルしている。そして、陽菜ちんとむっちゃんがめっちゃニヤニヤしていやがる!!


「……北條様、お顔が赤いようですが「なんでもありません!いただきましょう!!」


「青春ね~。もう、ミチルってばやり手なんだから!」

「違うから!わざとじゃないから!むっちゃんのハンバーグ食べてやる!」


「あ!こら、バカミチル!アタシの自信作ぅぅ!!」


 腹いせにむっちゃんの野菜たっぷりハンバーグを食べてやった。かわりにシューマイをポイする。


「まったく…」


 文句をいいつつシューマイを食べるむっちゃん。


「睦が悪い。ミチル、私のだし巻き卵もやろう」


「陽菜ちん、愛してる!クッキーかわりにあげるね!」


 陽菜ちんのお弁当はオカン穂積が作っている。陽菜ちんはご両親が海外にいるため、三食穂積家で食べているのだ。食費は入れてるらしい。さらに手間賃として子守りをしている。私もたまにやるが、穂積家のちみっこは皆よい子達だ。この間、私に効率がいい試食の回り方やいつが肉の試食かを教えてくれた。

 陽菜ちんと私が肉を貢いだのはいい思い出だ。焼き肉おいしかった。


「ほらよ」


 だし巻き卵にうっとりしていたら、穂積にタッパーを渡された。


「…おいくらですか?」


「バーカ!こないだの子守り代だ!ありがたく食え!」


 昨日ねだったのを覚えていたらしい。タッパーの中身は、根菜と厚揚げの煮物だった。


「うまぁ……」


 残して今夜のおかずにしよう。そうしよう!

 穂積の激ウマ煮物にウットリしていたら、異音がした。



 ガリッ、ボリボリ。ゴリッ、ボリボリ。そんなかたいものを砕く音。

 視線が音源に集中した。


「?皆どうしたの??」


 鈴木の右手には、おにぎりらしきモノがあった。しかし、おにぎりにしてはツルンとしていてボーリングの玉をおにぎりみたいに塗ったようにしか見えなかった。

 無言で我が能動発動(アクティブ)スキルの『眼鏡☆スキャン』を発動する。さっきの眼鏡☆サーチは気合いを入れるために叫んだだけで、慣れればスキル名を叫ぶ必要はない。


【魔王のおにぎり】

【四天王の一人、力のエレフォードによって作られた最硬のおにぎり。米は最高級品種の夢錦。極限まで米が圧縮されたため、とてつもなく硬い。魔王なら辛うじて食べられるが、おいしくない。具は圧縮された梅干しひとつ】


「具が少なすぎるわ!!」


 思わずおにぎりにキレてしまった。ボーリングの玉みたいに大きなおにぎりの具が梅干しひとつって悲しいわ!!こんなん食べてたら、私の推しメンが魔王になっちゃうわ!!

 私の奇行に驚かない皆だが、鈴木のおにぎりにはドン引きしていた。このままではいかん!


「瀬羽巣さん!」


「はっ!!」


「土鍋と昆布!できたら佃煮のやつ!!」


「はっ!!」


 瀬羽巣さんのズボンから土鍋と昆布の佃煮が出てきた。


「瀬羽巣!お前なんで北條にやたらと忠実なんだよ!」


「…ぼっちゃま、申し訳ございません。じいも人間でございますゆえ、ワガママなクソガキよりもじいのするささやかなことにもお礼を言ってくれる可愛らしいお嬢様の言うことが聞きたい日もあるのです」


「ぶっ」

「ぶふっ」

「ぶははははは!!」

「クスッ」


 ちなみに、穂積→むっちゃん→陽菜ちん→鈴木の順に笑った。


「いつもありがとうございます、瀬羽巣さん」


「いえいえ、なんでもおっしゃってくださいませ。北條様はぼっちゃまの恩人でもありますからな。して、その土鍋をどうするおつもりですか?」


 瀬羽巣さんが私のお願いを聞いてくれるのは、多分

アホ部の没落回避をしたからだと思う。ツンデレイケじいな瀬羽巣さん、素敵。


「あ、そうでした。鈴木、そのおにぎり入れて」


「うん」


「ぬおおおおおお!??」


 女子として終了した感じで叫ぶ私。鈴木のおにぎりが土鍋に入った瞬間、凄まじい重量が土鍋にかかったのだ。


「ごめん、ミチルちゃん!重たいよね!」


 慌てて土鍋を持ってくれる鈴木。正直、腕がちぎれるかと思いました。


「えらい目にあった…むっちゃん、これスキルでどーにかならない?すごーく圧縮されてるらしいの」


「え~?やってみるけど、圧縮はどうかしら…」


 そして、土鍋10個分ぐらいの高さの米タワーができた。


「………できたけど、どんだけ圧縮したのよ…」


 むっちゃんがドン引きして…いや、全員ドン引きしている。この量だからあれだけ重かったわけね。


「…瀬羽巣さん、ラップとバーベキューグリルと、ハケと味噌と醤油!」


「かしこまりました」


 瀬羽巣さんのズボンから出てきたラップでおにぎりを作り、醤油や味噌で味付けして焼いた。香ばしい香りがする。


「はい、鈴木」


 焼きたてを鈴木に渡した。


「ほいひい!ミチルちゃん、おいしいよ!」


 鈴木は泣きながら焼おにぎりをほおばった。ふっふっふ!ミチル様のスキル『見切り』は、最高の握り具合、最高の味付け、最高の焼き具合を見切るのだよ!なのでシンプルな料理は上手いんだよ、私!


「鈴木、私の煮物と焼おにぎりを交換しないか?」


「いいよ」


「鈴木、俺のだし巻き卵と焼おにぎりを交換してくれ」


「いいよ」


「マオマオ、アタシのポテトサラダと焼おにぎりを交換して」


「いいよ」


「鈴木、好きなおかずと交換してやるから、そのヤキオニギリとやらをよこせ!」


「え?いいの??」


 流石にアホ部の高級重箱弁当には戸惑っていたが、鈴木はアホ部にも焼おにぎりをわけてあげた。





「はぁ…おいしかった……」


 皆のおかずと焼おにぎりを交換したので鈴木もバランスよく食べられたようだ。


「ゴルァァァ!!中庭でバーベキューしている馬鹿はどこだぁぁ!!」


「やべ!」

「逃げろ!!」




 皆、あっという間に逃げ……私足遅いから捕まる!??


「ミチルちゃん、ごめん!!」


「鈴木ぃぃぃもがっ!??」


 鈴木は私をお姫様抱っこして垂直に壁を駆け上がった。


「ミチルちゃん、しー。見つかったら先生に叱られちゃうよ?」


 推しメンの可愛さに身悶える私。しーって唇にさりげなく触れるなんて、イケメン過ぎじゃないか!!惚れてまうやろぉぉぉ!!


「そそそそうでしゅね!」


「…あ、先生諦めたみたい。よかったね」


「そそそそうでしゅね!」


 私がしばらく挙動不審になったのは、仕方ないと思います。

 鈴木ぃぃぃ!イケメン過ぎるんじゃぁぁぁぁ!!

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