表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/75

恋人とはどんなものかしら?

 爽やかな朝。起きたら朝食を用意し、身だしなみを整える。以前なら洗濯をするのだが、今は桔梗がしてくれるのでやらなくなった。桔梗は洗濯と掃除の担当。働き者なので、我が家はピカピカである。用意ができたので、小文吾に鈴木を呼んでもらった。ちなみに小文吾は鈴木を呼ぶのと新聞を運ぶ係である。


「おはよう、ミチル」


 今日も我が推しはイケメンである。


「おはよう、鈴木」


「ね、ミチル。恋人になったんだから、真生って呼ばない?」

「鈴木いいいいいいいいいいい!??あれ、私の妄想が見せた夢じゃなかったの!?」


 恋人って、マジで!?鈴木はこんな地味眼鏡と本気で付き合うつもりなの!??


「そんな……夢と思うほど喜んでくれるなんて」

「ポジティブ鈴木いいいいいい!!」


 鈴木可愛い……ではなく!マジで!?


「ところでミチルちゃ…ミチル。恋人って何をするの?」


「え」


 そんなん、今も昔も彼氏いない歴=年齢だった私に言われましても。いや、今はいるのか。ヤバい。急に恥ずかしくなってきた。


「ミチル」

「とりあえずご飯が冷めるから!今日はフレンチトーストだよ!!」


「ふふ………うん。楽しみだなぁ」


 鈴木がお色気むんむん過ぎるせいで、うまく焼けたフレンチトーストの味がわからなくなりました。






「恋人って何をするべき?」


「なんで俺に聞くんだよ」


 昼食後、陽菜ちんから穂積を借りて聞いてみた。


「陽菜ちんだとたまにズレた解答が帰ってくるから」


「……………あー、まあ……なあ。正直、人それぞれ」


「そんな無難な解答は求めてない」


 穂積が明らかに『こいつ面倒くさい』という表情をした。


「どうしろと」


「陽菜ちんとの進展を」

「教えない。真面目にやらんなら帰るぞ。というか、そういうのは睦だろ」


「むっちゃんはからかうから嫌だ」


「………………ああ」


 納得された。


「逆にお前らどうなってんの。毎日登下校してるけど、待ち合わせしてんのか?」


「いや、毎朝鈴木がうちに来る」


「ほう」


「うちで朝ごはんを一緒に食べてから登校してる」


「つまり、毎食一緒?」


「うん」


「お前らさっさと結婚しろよ」


「鈴木いいいいいい!!?じゃなかった、穂積いいいいいい!!?」


 穂積は明らかに面倒くさそうだ。だから、結婚回避のために恋人に………そうか。それだ!


「ふ、ふふ……ふははははははは!」


「真生は北條のどこがいいんだろうなあ……」


「鈴木は私に騙されているんだよ!」


「は?」


「こんな地味眼鏡に謎のフィルターがかかってしまって良さげ眼鏡に見えたに違いない。こいつ思ってたんと違うと思えば、鈴木も幻滅するに違いない!!」


 穂積がとても残念なものを見る目だった。我ながら、名案だね!


「ちなみに穂積が嫌いなタイプは?」


「高慢、高飛車、勘違い女」


「よし、それで行こう!!」




 というわけで、いざ実践!


「ヲホホホホ!お弁当が欲しいなら、私の犬になりなさああい」


「…………新しい遊びか?」


 首をかしげる陽菜ちんとむっちゃん。キョトンとする蓮ちゃん。


「いや、陽菜ちん。これには海より深いわけが……」


「わん」

「鈴木いいいいいいいいいいいい!?」


「ミチル様の犬になりますわん。だから、お弁当くださ「鈴木いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!??そらあかん!弁当はあげるからやめてええええ!!」


 鈴木の懐が広すぎた。予想外なんじゃああ、鈴木いいいいいい!


「ミチルちゃんになら飼われたい……」


「恋人だともっといいことあるから!犬はダメ!新しい性癖の扉を開いたらダンメエエエエ!」


「いいこと」


「ええと………はい、あーん」


 自分の弁当から卵焼きを鈴木に食べさせた。


「おいしい?」


「おいしい」


「ぐはっ」

「リア充爆発しろ」


 何故か兼田ことアホ部が倒れた。穂積は吐き捨てるように言ったが、お前こそリア充だからな。幼馴染みの美少女と恋愛とかどこのギャルゲー………よく考えたら乙女ゲーだったわ。


「あ、アホ部君」

「兼田だ」


「俺、ミチルと恋人になったから」

「「鈴木いいいいいいいいいいいい!?」」


 私とアホ部がハモった。鈴木の行動が斜め上すぎる。なんて鈴木だ。


「あっらー。ミチルったら水くさいわねぇ!いつから付き合ってるの?」


「昨日からだよ」


「……本当なのか?」

「うん」


 否定しようとした私より早く、鈴木が肯定した。


「鈴木には聞いていない。私はミチルに聞いているんだ。鈴木、あまりミチルを困らせるな。事と次第によっては、私はミチルを連れて地の果てまででも逃げるからな」


 戸惑う私の様子に気がついてくれた陽菜ちん。斜め上の珍解答だなんて言ってごめんよ。


「そうねえ。マオマオ、急いては事を仕損じるって諺もあるわ。やりすぎは禁物よ」


「むっちゃん……」


 もっと言ってやってください!


「ミチルはここ最近、何があったか報告ね」


「うええええ……」


 むっちゃんの笑顔はすさまじい迫力で、逃げられない系ボスの貫禄がありました。根掘り葉掘り聞かれそうな予感です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 根っこ掘ってー葉っぱむしってー……ついでに花も?←根掘り葉掘り花取り(笑) むっちゃん大明神様、浮かれはっちゃけ鈴木を大人しくさせてください!なむなむ(‐人‐) あ、ミチルちゃんにコトの次…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ