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大胆な告白

 最悪なことに、大事な大事な魔王化阻止の手がかりは消えてしまった。わかったのは元老院の背後にはナニかがいて、そいつが黒幕だってこと。


「せめて、せめて黒幕のヒントがあれば……!」


「黒幕だか暗幕だか知らんが、今は授業中なんですけどー。これが今流行りの学級崩壊ってやつ?俺、今授業を妨害されてる?とりあえず廊下に立ってなさい」


 空気が読めない担任教師である。やべ、ノートとってないや。穂積かむっちゃんに後でコピらせてもらわなきゃ。


「わかりました。教育委員会に体罰として報告しますね」


 仕方がないのでスマホを片手に廊下へ出る。


「証拠ならバッチリ録音したわよ!」


「流石はむっちゃん!頼りになるう!」


「先生が悪かった。ちょっと話し合おうじゃないか」


 結局『廊下で立ってなさい』は撤回された。根性のない担任である。手がかりは無いわけではない、のだが………珍しく私の勘が働いている。五人目の魔王候補に関わってはいけない。少なくとも……今は、まだ。


「はあああああ………」


「なんだか珍しく落ちこんでるわね。ホラ、これでも食べて元気を出しなさい」


「むぐ」


 むっちゃんがチョコチップクッキーをくれた。サクサクしてて美味しい。


「ミチルちゃん、マリッジブルーってやつ?何でも言ってね。未来の夫として力になるから」






 教室が一瞬で静寂に包まれた。







「鈴木いいいいいいいいい!??」

「きゃ~!ついに!?しかもいきなり結婚!??ああん、いつ決まったの?なれそめは??どっちから告白したの!?ミチルったら、水くさいんだから!」

「いつからだ!?俺というものがありながら!!」

「何を世迷言を。ぼっちゃまよりも鈴木様の方が優秀ですから当然ですよ。容姿だけはいいですが、ぼっちゃまはワガママでおバカじゃないですか。私でも鈴木様を選びますよ」

「いや、婚約だろ」

「そうだな、婚約だ」

「え?確か仮のですわよね!?いくら真生様といえど、私のととと友だち、に無体を働くのは許しませんよ!!」


 鈴木の爆弾発言にキャピキャピするむっちゃん。わけわからん発言をして瀬羽巣さんにこっぴどくディスられて落ち込むアホ部。事情を知っているから冷静な穂積&陽菜ちん。事情を知っているけどアワアワして癒してくれる蓮ちゃん。


 そして、騒然となってしまった教室内。


「そういうわけで、俺達結婚します」

「鈴木いいいいいいいいい!??」


 かかかかかかか、肩に腕が!抱き寄せられた………だと!?近い!近すぎるよ、鈴木!しかもいい匂いだし至近距離でもイケメンなんじゃああああ!!


「ミチルちゃん」


「うぇい!?」


 変な声出た!しかも鈴木が近すぎて汗かいてきた!臭くないかなあ!?


「ミチルちゃんの好みは俺みたいな男なんだよね?」


「え?うん。容姿はもちろん、性格も声もどストライクだよ。許されるなら一生眺めていたい」


 そりゃあ、私の最推しだもん。離れた位置からでいいから、ずっと眺めていたいよ。


「なら、ずっと側で眺めていて。俺、ミチルちゃんが好きだから、ミチルと一生一緒にいたい。ミチルちゃんが望むなら、世界征服だろうが人類滅亡だろうが、なんだってするよ」

「ストップ物騒。世界征服しない。滅亡望まない」


 いや、待て。待つんだミチル。今、鈴木はなんと?なんか皆がきゃー、とかわーとか……え?こくはく?だいたん??


「……うん。しないから、ずっと一緒に居てくれる?ミチルちゃん、俺の半身になって」


「え?」


 彼ら魔族にとって『半身』とは特別な意味を持つ。結婚よりも強固な絆。不貞を働けば死に至ることもある、魔族流の古い婚姻方法だ。


 そうだ、エンディングで鈴木から陽菜(ヒロイン)ちんがこのセリフを言われてた。何度も何度もリピートしたよ。ついに幻聴まで聞こえる域に到達したらしい。やベーな、私。


「ミチルちゃん?」


「え?何かな?」


「ミチルちゃんが、たまに俺を見てないのを知ってる」


「へ?」


「触れられもしない男より、俺の方がいいって言わせてみせるから」


 待て。いや、待ってくれ。これはどこまでが現実なんだ?なんか私、顎クイされてるんだけど!!イケメンは息までイケメンってか、これはもしやああああああああ!??


「ん」


 ちゅ、とおデコに、瞼に、鼻に………鈴木さんよお、チュッチュし過ぎじゃないですか……………ね?


 そして、なんとか顔をそむけた時に、気がついてしまった。






 ここ、教室。しかも、騒ぎを聞きつけたのか他クラスの生徒まで来ているじゃないか!!いや、それより………どっからどこまでが妄想で、どっからどこまでが現実なの!??


「ミチルちゃん、よそ見しないで。ねえ、キスしていい?人間はここには恋人以外しちゃだめなんでしょ?ね、お願い。俺の恋人になって」


「…………尊み秀吉!!」


 私は首をかしげた鈴木の尊みにあてられ、鼻血を出しながら気絶したらしい。


 しかし、そこはどうでもいいんだ。どっからどこまでが妄想なわけ!??え?鈴木が好きすぎて幻覚と幻聴まで出るってヤバくね!?

 すっかり頭を抱えて保健室で丸くなる私。精神科に受診すべきか?


 スマホが震えた。ママンからのメールだった。


『件名:ミチルの運勢

今日はミチルの恋愛運が最高!好きな人から結婚を申し込まれちゃうかも!でも、ちゃんとお返事しないと怖いことになるかもだから、気をつけてね。今度、未来の義息子をちゃんと紹介してね。ただ、騒動の兆しがあるわ。要注意よ。こんなん出たけど、大丈夫?色々頑張ってね、ミチル』


「ママぁぁぁン!??」


 珍しく電話が通じたので、あのメールはどういうことなのか、私の妄想じゃなかったのかと聞いたら、その場にいるわけじゃないから知らないとのこと。ですよね、知ってた!!


 教室に戻りたくないので、午前中は保健室にいました。うあああああ、どうしよう!!


なんとなく、穂積がいいぞ、もっとやれ!と鈴木をけしかけている気がしますwww

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