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サポート眼鏡のスキルはすごいのです

 人間は、必ずひとつ『スキル』と呼ばれるものを持つ。16歳になるとスキル測定を受ける。スキルはスキル名を本人が自覚し、条件を満たさないと使えない。


 例えば、むっちゃんのスキルは『調合』である。滅多にないがむっちゃんが調理に失敗しても余分な調味料を除去したり、材料に戻したりできる。ただし『混ぜたものを出せる…というより調整できる』のであって刻んだり切ったりしたのは戻らない。また、薬の調剤や調理に失敗しにくくなるスキルなのである。


 さて、何故私がそんな話をしたかというと……これから私のスキルが大活躍するからであ~る。



 移動教室から戻ったら、私の机がえらいこっちゃになっていた。


「あら~、落ちるかしら?…大丈夫みたいね」


 むっちゃんがスキルを応用してマジックインキで書かれた字を分離させてくれた。むっちゃん、マジ感謝。しかし、教科書やノートがビリビリボロボロなのはむっちゃんでも直せない。


「仕方ない、弁償してもらうかね」


 鈴木がオロオロしているのだが…多分これは鈴木のせいでもあるだろうなぁ……


「…手伝うか?」


 穂積のスキルは『フェロモン』で、常に魅了効果がある。だが悲しいことに、本命と私には効かないのであ~る。ざまぁぁ!


「平気。むしろ余計な手出し無用!」


「流石はミチル。我が親友だな!困ったら私に言うのだぞ!」


「ありがとう、親友!」

「気にするな、親友!」


 我が親友ことヒロインの姫宮(ひめみや)陽菜(ひな)とハイタッチした。いやあ…まさか高校入ってフィーリングピッタリな友人がヒロインだなんて誰も思うまい。いや、そもそも自分がゲームの世界で生きてると思わないよねぇ。中二病拗らせるにもほどがある。ゲームの記憶がなければ、私も痛い人…いや、あっても痛いか!

 私はここがゲームではなく現実だと確信している。登場人物も大筋の流れも大体同じだけど、私の行動で回避できているからだ。

 兼田の没落イベントは本人に回避させたし、穂積の借金イベントもどうにか穂積(ほんにん)に気づかれずに処理できた。むっちゃんイベントのストーカーは、ストーカーから腐った女子にジョブチェンジさせた。違う方向に被害が出たが、刃傷沙汰よりはいいだろう。


 そもそも穂積とむっちゃんは本来隠すべき裏の顔が堂々と出てしまっており、原作とは完全に別人と化している。穂積とむっちゃんは陽菜ちんの幼馴染なので、実は彼女も私と同じく前世の記憶があるんじゃないかと思っている。でも、中二病だと思われたくないから聞けないのである。


「さて、やるかねぇ。眼鏡☆サァァァチ!!」


 私の叫びに反応して、まばゆく輝く眼鏡。私のスキルは『超☆眼鏡』である。自分でも意味がわからないが、『超☆眼鏡』である。兄貴ではない。スキル名を自覚したときに、スキルの使い方も理解するのだが『眼鏡がスゴい』と理解したとき、途方にくれた。

 眼鏡は普通の眼鏡なんだから、スゴいのは私のはずなのに!スキルの中には常時発動(パッシブ)能動発動(アクティブ)があり、私のスキルの常時発動(パッシブ)は『見切り』という。穂積のフェロモンが効かないのもこのためだ。眼鏡を外すと効くが、眼鏡は顔の一部なのだよ!


 そして、能動発動は今使った『眼鏡☆サーチ』である。他にもあるが、説明が面倒だから割愛する。『眼鏡☆サーチ』は探したいものが探せる能力。恐らくサポートキャラはこの能力を使い攻略対象の位置を把握していたのだと思われる。


「お、見っけ」


 二つ隣のクラスで反応を見つけた。


「じゃ、行ってくるわ!弁償してもらわなきゃ!」





 というわけで、犯人とご対面したわけなのだが…


「アタシになんか用なわけ?つーか、アンタ兼田様のまわりウロチョロしててちょ~目障りなんだけど」


 私、キレられてるわ。見た目怖そうなギャルだけど、穂積とかむっちゃんのが睨むと怖いから気にならない。今回は兼田信者かー。後で苦情言ってお菓子おごってもらおっと。


「私の教科書とノート、弁償してください」


 彼女の目の前に教科書とノートを積んだ。


「は?」

「ああ、それから内容はきっちり綺麗に清書してくださいね?字が汚かったら何回でもやり直させますし、進んだぶんも追加になりますから。机はむっちゃ…八木君が綺麗にしてくださいましたから、後でお礼を言ってください」


 いきなりの犯人扱いに彼女もポカンとしていたが、

言い返してきた。


「は!?アタシが犯人とか証拠はあるわけ!??」


 そもそも、面識のない相手を犯人扱いなんてしないだろうよ。


「証拠は私のスキルです。なんなら貴女が犯行時刻に何をしていたか克明に語りますよ?ついでに貴女の話されたくない恥ずかしい秘密や失敗も語ってあげましょうか?」


「はあ!?頭おかしいんじゃない!?そんなスキルがあるわけ…」


 彼女のクラスメイト達が、かわいそうなものを見る目ですね。あるのだよ。そんなスキルがあるのだよ!


「ありますよ。私のスキルはすべてを見通すのです!私が本気を出せば、貴女のプライバシーなどありませんからね!なんなら、私が知りえない貴女の初恋や幼少期の知られたくない失敗談を話してあげましょうか?」


 それが脅しではないと理解したのだろう。相手が静かになってきた。


「ああ、明確な証拠が欲しいなら警察行きましょうか。器物損壊と、精神的な暴力、名誉毀損で告訴してあげますよ。ただ、貴女が前科もちになりますけど。それもいいかもしれませんねぇ。貴女、迂闊にも『手袋をしないで私の教科書に触れて、私の油性マジックを使って書いている』から、指紋はべっとりついてるでしょうし」


「!?な…なんでそれを……」


 犯人を見ていなければ知りえない情報だ。私はニッコリ笑ってやった。


「しかも貴女、兼田の机に座って机にキスした上に舐めるとか超キモ~い!」


「!??」


「正直ドン引きぃ!兼田君、机買い換えた方がいいよって言っちゃおっかな」


 見られてないと思ったんだろうねぇ。誰も見ていなくとも、悪事とはいつかバレるのである。


「や、やめて…それだけは……それだけは兼田様に言わないで!なんでもする…なんでもしますか「今の話は事実なのか?」


 お、おうふ……兼田ご本人が来てしまった…。背後からだから気がつかなかったよ!兼田、真っ青だ…。瀬羽巣さんも悲しげだよ…。

 確かにショックだよな…後で慰めてやろう。


「えっと…その……」

「あああああれだ!思春期にありがちな恋心の大暴走ってやつだよ!そんだけ兼田が好きなんだよ!有名税だ!よっイケメン!細かいことは気にすんな!兼田がイケメンで金持ちで兼田だから仕方がないんだよ!今私と彼女は女の戦いをしてるんだから、邪魔すんな!ハウス!兼田ハウス!瀬羽巣さん!お願いします!」


「かしこまりました」


 私の剣幕に口を挟めないいいとこのお坊っちゃまな兼田。そして兼田は瀬羽巣さんにお姫様抱っこをされた。


「!?」


「では北條様、ごきげんよう」


 兼田が驚愕している隙に瀬羽巣さんは走り去った。何やらお前は誰の執事なんだとか兼田が騒いでたが気にしない。瀬羽巣さんには後で手づくりおやつをお裾分けしよう。いつもありがとうございます。


 さて…私はギャルと戦わねばならん。ギャルに向き合うと、すでにギャルは死にそうな顔をしていた。


「弁償「します!」


「二度と私に「関わりません!!」


 ならいいか。あ、もうひとつあるな。


「こんな不幸な『事故』が起こらないように、私の噂を広めてくれませんか?」


 ギャルのクラスメイト達も頷いてくれたので、私はまた平穏に暮らせるだろう。





 廊下にはイケメンが3人もいた。ナニしてんだよ。


「流石だわ、ミチル!心配だから一応見に来たけど、見事に撃退しちゃったわね!」


「居たなら兼田を止めてくれたら良かったのに…」


「…正直アタシもドン引きしてて…」

「そうだな…むしろ平然と奴のドン引き行動を告発したお前がスゴすぎる…」


 モテる二人は以前にナニか嫌なことがあったのか、顔をひきつらせていた。むっちゃんはストーカーがいたし、穂積もフェロモンで危険な目にあってるから仕方ないかもしれない。


「その…ミチルちゃんが無事で良かった。むっちゃんと穂積君には無理を言って来てもらったんだ」


「す、鈴木ぃぃぃ!!」


 天使だ!天使がいる!!いや、我が推しメンであった!!

 あまりの嬉しさで鈴木に抱きついたから、彼の呟きが聞こえてしまった。

『もし、ミチルちゃんに傷ひとつでもつけようものなら、うっかり殺っちゃうかもしれないから』


「鈴木ぃぃぃ!!!心配は嬉しいけど、殺戮はあかぁぁん!!」


「!??も、もちろんだよ!」


「馬鹿ねぇ、ミチル。こんないかにも無害な感じのマオマオが殺戮するわけないでしょ?またゾンビゲーでもやったの?このゲーム脳が」


「さりげなく酷い!!」


 やはり鈴木…我が推しメンを魔のつく自由業にさせてはならない!

 鈴木(てんし)鈴木(てんし)のままで居られるよう、私が頑張らなくては!と思うのだった。

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