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新たな眼鏡はスッゴイ眼鏡

ミチル視点になります。

 誘拐された私は、パーティーグッズである鼻眼鏡の装備をした。超☆眼鏡は眼鏡があれば大概なんでもできるし、どうにかできる。反面、眼鏡がなければスキルを発揮できなくなり役立たずとなる。鼻眼鏡は苦渋の選択と言えよう。鼻眼鏡でも視力が回復するのは知らなかった。もはやレンズがあれば度が合わなくてもイケるのか。我がスキルながら、謎が多い。

 晃樹君の安全と鼻眼鏡。当然、晃樹君の安全が重要だ。比べるべくもない。鼻眼鏡で晃樹君の安全が保証できるなら、私は何度でも鼻眼鏡をかけるだろう。


 パーティーに間に合わないと困るので、私は攻めに転じる事にした。縄は私が誘拐対策にと靴に隠していたナイフで切断した。晃樹君は最初から縛られていなかったので、切ってもらった。腕は縄脱けできるが、足は無理だから助かった。


 さて、眼鏡で敵の位置を確認。ま、これなら問題あるまいと出たのだが、誤算があった。鼻眼鏡である。


 私は眼鏡力の対価として、女子力とか色々を無くした。しかし、それだけてはなかった。鼻眼鏡は、超☆眼鏡の能力を変質させる眼鏡だったのだ。


「メガ☆ビーム!」


 その異変に気がついたのは、最初にメガ☆ビームを放った時だった。メガ☆ビームを受けた男は、気絶せずに笑いだしたのである。それも、呼吸困難になりながら。とんだホラーである。


「み、ミチルお姉さん……」


 晃樹君が怯えているので、私がしっかりしなければならない。正直私もドン引きしているが、ステータスをチェックして納得した。




 メガ☆ビームがメガ☆ビーム(笑)になっとる。





【メガ☆ビーム(笑)

あらゆる敵を笑わせ、行動不能または酸欠による気絶にする。変なポーズやギャグを併用する事で、効果倍増】


 理解はしたが、納得はできない。しかし、北條ミチルは戦わねばならないのだ。友がようやくお疲れパーティーをするのだ。さらに、晃樹君を守らねばならない。晃樹君も一緒にパーティーをするのだ。


「メガ☆ビーム(笑)からの……布団がふっとんだああああああああ!!」


「ぎゃははひははははは!!くだらねぇ!死ぬほどつまらねえのに、笑いが止まらねえええ!!」


「メガ☆ビーム(笑)かーらーのー、ケントデリカッチョ攻撃!!」


「ぎゃははははははははははは!!」

「だはははははははははははは!!」

「ぶはははははははひははははは!!」


 ケントデリカッチョはとてもウケた。ケントデリカッチョ攻撃とは、眼鏡をいったん外して前にずらすことで瞳が拡大される眼鏡芸である。鼻眼鏡補正も入っているっぽい。



 女子力とか、恥とか、色々をポイ捨てした結果………なんか楽しくなってきた。ノリノリで変顔やモンキーポーズをとっていたら、事件が起きた。



「ミチルちゃん…………素敵…………」



 とても聞き覚えがある声がした。気のせいだと思いたい。今すぐに逃げ出したいが、そうもいかない。逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだと己を鼓舞してから、声の方へ視線を向けた。


「………流石だな。流石は私が見込んだ男だ。鈴木、ミチルを頼んだぞ」


「うん!ミチルちゃんの敵を皆殺しにすればいい?」

「「すんな」」


 そして、私は鈴木を見つけてフリーズした。モンキーポーズのまま、動けない。完全に言い訳できない状況である。あ、晃樹君が穂積に保護されてる。

 気力を振り絞って、私は声をかけた。


「そこに……鈴木真生君というナイスガイが……いらしたり、しませんよね?」


 嘘だと言ってくれ、これは私の鈴木愛が見せた幻なのだと。穂積に全力で念を送った。しかし、穂積ではなく鈴木が返答した。


「声だけでわかってくれたの?ミチルちゃんを助けに来たんだけど、流石はミチルちゃんだね!一人で晃樹君を守りながら戦うなんて!後は俺に任せてね。犯人は魔族みたいだから、二度と逆らう気なんて起こせないようにしておくから!」


「え、うん」


 頭がまったく働かないので、とりあえず頷いた。


「その眼鏡、変わってるね。俺、やっぱり普段のミチルちゃんが好きかな。うん、よく似合うよ」


 鈴木がどこからか取り出した眼鏡を鼻眼鏡と交換してくれた。なんかこの眼鏡……スゲーよく見えるし、異常にフィットするんですが??


 しかし、眼鏡がどうでもよくなる大事件が発生した。働かない頭で、鈴木まつ毛なげーとか、いい匂いがするとか思っていたら、頬にくちびるがふれた。








 ほほに、くちびるが、ふれた??








 ほっぺ………くちびる……………ちゅう??


 混乱する私の頬に、鈴木が触れた。とても色っぽい笑顔だった。

呆然としていたら、鈴木は居なくなっていた。え?あれ??妄想?へ??でも、眼鏡?鼻眼鏡??


「ミチル、大丈夫か?」


「へ?陽菜ちん……………大丈夫じゃない!鈴木の睫毛が長かったってか、いい匂いしたってか…………なんかほっぺたにちゅーされたあああああ!!」


 言葉にしたせいで、さらに動揺してしまう。いや、なんで!?鼻眼鏡の残念娘にちゅうってなんでなんじゃああああああ!!考えても考えても、答えがでない!


「はっ!魔族的挨拶なのかな!?」

「お前、他の魔族にされたことないだろ」


 穂積に即否定された。挨拶説は霧散した。されたことない。


「鈴木いいいいい!!ドキがムネムネなんじゃああああああ!!」


 しかたなく、溢れるこの情熱(パッション)を少しでも消費しようと転がりまくる。


「お待たせ~、帰ろっか」


 鈴木は血まみれだった。心臓がヤバい。超早い。死ぬかもしれない。鈴木を眺めていたら、画面に変なことが書かれていた。


【最高ランク眼鏡を装備したため、レベルが上または隠蔽も看破が可能になりました。また、この眼鏡を装備中はスキルがランクアップし極☆眼鏡となります】


「…………鈴木どん、この眼鏡は?」


「あ、ミチルちゃんの眼鏡も取り返してきたよ」


「あ、ありがとう」


 鈴木が教えてくれなかったので、マイ眼鏡で鈴木がくれた眼鏡を見たが、鑑定できなかった。


「鈴木いいいい!?何!?この眼鏡何!?鑑定できなかったとか初めてなんだけど!?いまだかつて無かったんだけど!??」


「え?あー、うん………てへ」


 鈴木が可愛かった。心のファインダーにいつまでもとどめておきたい。


「その……すごく頑張って作ったんだ」


 魔王(あくまでも予定)が頑張って作った眼鏡……。すごい力を秘めていそうです。受け取りを拒否ろうとしたら、泣きそうな顔をされたので喜んでいただきました。

 すごくよく見えるし、かけ心地がよすぎるし、スキルまで強化しちゃう眼鏡……しかも鑑定不能。鈴木には、眼鏡作りの才能があったようです。家宝にして祀っとくねと言ったら、いやつけてと言われました。うん…本当によく見えるんだな、これが。

改めて思いました。ミチルはアホです。しかし、正直嫌いではない。好きなタイプです。離れた場所から観察したい。

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