サポート眼鏡の本領発揮
お待たせしました!ミチル視点になります!
サポート眼鏡はあくまでもサポートであり、超☆眼鏡は本来戦闘スキルではない。固有と呼ばれる特殊スキルなのである。
視ようと望めば、書類の裏から人の繋がりをも見通す素敵な眼鏡なのであーる。
そんな私が本気を出したらどうなるか……さらに私は今、猫族のボスになっている。彼らは戦闘よりも暗殺や諜報に長けた種族。さらにさらに!魔王と勇者が味方なのだ!負ける要素はどこにも無いな!
「ふふふ…ふはははは!愚民どもめ!泣いて許しを乞うがいいわ!!」
穂積家のプリキュン天使達は私が…いや、私達が守ぉぉる!!
「北條の方が魔王っぽい件について」
「それだ」
「ミチルちゃん、カッコいい……」
いや、魔王(予定)は鈴木だから。鈴木を魔王になんか、させないけどね!!
計画は予想以上にスムーズだった。もっと困難があっていいのではと思うぐらいにスムーズだった。
先ず、陽菜ちんが勇者として奴の悪事を大々的に調べることに。すでに冒険者として有名な陽菜ちん。穂積家を狙った馬鹿はかなり色々悪事に手を出していたらしく、怨恨からの協力者もたくさん現れた。
そして、そちらを隠れ蓑にして暗躍する私の可愛い猫族達と鈴木に借りた諜報部隊。皆さん優秀でしたよ。冒険者達もかなりの成果をあげてくれた。
さらに、馬飼野組。魔プリンちゃんのパパにお願いしていただいた。馬鹿は馬飼野組から独立したらしく、カタギに手を出すとは許せんと大変お怒りだったそうな。そもそも馬飼野組は違法薬物をご法度にしていたのに、違法薬物を扱っているとの噂もあってご立腹だったそうな。頼れる諜報部隊から、それが噂ではないとわかると、とっても協力してくれた。
冒険者と組んで、派手に馬鹿の組を潰そうとしたのであ~る。
ぶっちゃけ、組一つぐらい勇者と魔王候補がいれば一捻りである。だが、あえて一気には潰さなかった。これは復讐なのだ。むしろ簡単に潰れられては困る。相手が困窮した状況を作り、助力が必要になる状況を作り上げた。
そこで、鈴木に行ってもらい、手を組ませた。協力関係になった事でさらに内部を把握していく。表向きは上手くいっているように見せかけた。実際のヤツは、すでに網の中。網に隙間がないよう間を埋めているところなのだ。
「ミチル様、報告書でございます」
「ご苦労様」
うん、怖いぐらいに予定通りだね。穂積と藤堂もいい仕上がりだし。
「ミチル様、何故このようなまわりくどい手段をとられたのですか?」
「……知のオウルドと言うからには、戦いの歴史は知っているわよね?」
「は?はい」
「今回はただの戦ではなく、殲滅戦だからよ。まわりくどいけど、確実に草の根も残さず刈り取るの。下手に情けをかけて、滅びたモノはたくさんある。やるなら徹底的にやらないとね」
そして、全力で嫌がらせをしてプライドを粉砕するんですよ!
「………!浅慮な質問、お許しください!このオウルド、感服いたしました!!流石は真生様の選んだお方です!!」
「は?」
「ミチル様のため、このオウルド!誠心誠意働かせていただきます!!」
秘書眼鏡はどうしたのだろうか。まあ、まだやることがたくさんあるから放置した。
「ミチル様、ミチル様!報告書ですにゃ!」
今度は猫族から報告が来た。
「ご苦労様。うん、いい出来だね」
「ありがたき幸せですにゃ~」
「褒美にニャンプチゴールド百個をつかわす」
「あ、ありがたき幸せですにゃ~!みんにゃが喜びますにゃ!」
ニャンプチゴールドは二百円…だけどセールで百五十円だったから大人買いしました。
今鈴木のおかげで懐があたたかいから猫族に還元しています。だいぶ毛並みがよくなってきたね。
「ミチル様のお耳に入れたいことがありますにゃ」
「何?」
「鼠族の族長で、シュウマイと申します。どうか、我らもミチル様の配下にしていただけませぬか?」
ふむ。眼鏡☆スキャンでシュウマイさんをチェックする。
「対価は庇護と食料支援ですか。いいでしょう、働き次第で食料支援はします。庇護については猫族の村を再建して暇になった天堂先輩を派遣します」
「流石は猫族の主君……なんという慧眼……」
すごいのは、超☆眼鏡であって私ではない。しかし、気にしないことにした。情報が多いにこしたことはない。鼠族はよく働いた。
「褒美だ、受け取りなさい」
「あ、ありがたき幸せ!ひ、ヒマワリの種を十キロも!??」
安かったんだ。鼠って好きかなって買ってきたけど、正解だったね。
「これからも励みなさい」
「はっ!」
こんな方式で、気がつけば妖精(蜂蜜で買収)、熊(蜂蜜で)、虎(猫缶で買収)、獅子(猫缶で)等々。様々な種族と契約していた。魔族、チョロすぎないか?そして気がついたら、なんだかチーティスさんが私の専属護衛っぽくなってるし!秘書眼鏡は私の秘書みたくなってるし!!いいのか、四天王なのに!??
まあ、目的のためには手段を選んでいられないし、気にしないことにした。気がついたら、兼田パパも参戦。なんか恨みがあるらしいよ?え?ああ、あの兼田財閥乗っ取りの黒幕がヤツ??よしよし、念入りに締めましょう!
そして、予想外にいい仕事をしたのが藤堂。すっかり穂積になついてしまい、穂積家のためにと本気になった。藤堂の対人スキルは、もはやチートだ。魅了のスキルと組み合わせたら、スキル耐性でもない限り、落ちないヤツはいない。
藤堂は、ターゲットにプロポーズまでさせたのである。
藤堂の本気はスゴかった。そして、ヤツに婚約指輪を投げ返したうえ、男だとカミングアウトしてみせた。穂積よりインパクトがスゴかったよね!私は藤堂の本気を見た。
そして、舞台はクライマックスへ。
「やあ、首尾はどうかな?」
鈴木は今日もイケメンだね。影ながら萌えている私。見た目からしてモブな私は、気配を消して聞き役に徹することにした。
「貴様、どういうつもりだ!?貴様が手を組もうと言ってきたのだぞ!?」
「そもそもさあ、晃太君ちにちょっかいかけてきたのは君だよ?生半可に手を出したら、また返り咲いて仕返ししようとするかもしれないじゃないか。だから、完膚なきまでに叩き潰してやろうってミチルちゃんが計画したんだよ。いやあ、流石はミチルちゃんだよね!こんなに上手く行くなんてね!ちゃあんと根回ししたから、お金を積んでも出てこれないよ。牢屋暮らし、頑張ってね」
いやぁ、それほどでも。正直私も上手くいきすぎて怖かったよ。
「お前の、せいでえええええ!!」
馬鹿は隠し持っていたナイフで鈴木に襲いかかる。馬鹿め、鈴木は私が守る!!
「は~い、そこまで!眼鏡☆シールド!!」
「ぐふっ!?」
馬鹿は眼鏡☆シールドに挟まれた。ふっ、悪は滅んだ。
「ミチルちゃん!」
「ジーク眼鏡!」
「ジーク眼鏡!」
「ジーク眼鏡!」
鈴木はなんで私にかしずくんだい?そして、ミチル様ミチル様と呼ばれるとむず痒いからちょっとした茶目っ気で『ジーク眼鏡』とお呼びといったら、いつの間にか広まってました。
ママン、ミチルはよくわからない方向を爆走しているよ。これが若気の至りってやつかな?とりあえず馬鹿は逮捕されて、悪事の証拠も子細漏らさず提出したよ。警察からスカウトが来たけど、鈴木の魔王化阻止計画の方が大事だから丁重にお断りしました。
うん、なんかひどい。穂積との温度差がすごいね!