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すっごくキャピキャピしている男子達

 ついに、(オネエ)修行は最終段階へと突入した。実践訓練である。つまり、女装して町にくり出すのだ。なんという罰ゲームか。仕方がないので陽菜の写メ(北條がくれた)を眺めてテンションを上げる。この試練に耐え、クソ男に仕返しをすれば、陽菜とのラブイチャ学生ライフが待っているんだ。これが終われば、ご褒美タイムなんだ!


「見て見て、センセ!コレ、ちょ~イケてない?」


「あらヤダ!可愛い!レオンちゃんったら器用ねぇ」


「んふ、プラモ作りが趣味だったからね。こんなトコで役立つなんて、思わなかったよ~」


 藤堂はメイクとネイルで才能を開花させた。特にネイルはプロ並み。さらに、いつの間にか清純派からギャルにジョブチェンジしてミニスカートをはいているし、露出も多い。喉や胸は例のスライム素材で見事に偽装している。こいつ、順応しすぎだろう。


「ネイルだけならレオンちゃんが上ね」


「やだ~!アタシなんかまだまだですよ!」


 すげぇキャッキャウフフしてる。こいつら、女子に混じると同化してて、最近マジで見失うんだよな。


「さて、コウちゃんも準備はいいかしら?」


「………はい」


 正直このまま家に帰りたいが、違和感なく演技ができなくては話にならない。覚悟を決めて歩き出した。


「あら……」

「くっ……」


「レオンさんは何故しゃがんでいるんですか?」


 変に女言葉を使うとボロがでるから、俺は女装時ひたすら敬語を使うことにした。幸いギリギリホストクラブではない喫茶店で敬語キャラを演じていたので自分の中でもあまり違和感がない。


「コウさんには負けないんだから!」


「レオンさんの可愛さには、正直完全敗北だと思っています。私、そんなネイルなんかできません。特技は料理でしょうか」


 藤堂はコーデやメイクにも気を使っていて、そもそも何もしなくたって可愛らしい顔だちなのにさらにそれを引き立て、可愛くしている。アイドルにもなれそうなぐらい可愛い。


「センセ~、なんかこう……試合に勝って勝負に負けたみたいな感じがしますぅぅ……」


「……気にしないで!レオンちゃんにはレオンちゃんの良さがあるの!さて、二人とも。頑張ってナンパされてきてね」


「は~い」

「え?」


 いきなりハードル高すぎないか?そもそも俺達に声をかけてくる男なんかいるか?いや、藤堂はナンパされるな。間違いない。


「じゃあ、どっちがたくさんナンパされるか、競争ですね!」


「えええええ……」



 藤堂の圧勝なんじゃね?と思ったが、仕方ない。勝負の形式は、名刺サイズのメモに相手の連絡先を貰えたら成功。その数を競う。百枚ほどメモを貰ったが、こんなに使うわけないだろうよ。

 とりあえず繁華街をブラブラしていたら、ルイン(L□NE的なもの)がきた。俺と藤堂あてで、北條からだった。


『ジャッジは全てを見通すサポート眼鏡がやります。勝者には、人数無制限の食べ放題高級ビュッフェチケットをプレゼント!』







 この戦いは、負けられねぇ。







 人数無制限だと!?家族だけじゃなく、陽菜も連れていけるじゃないか!この百枚はスキルの使用を見込んでの枚数ってことか。いいだろう。

 俺 の 本 気 を 見 せ て や る !


 俺のスキルは『フェロモン』だ。正直、めったに使わない。実は人間以外にも有効で、最後に使ったのは高額な懸賞金がかかった猫を捕まえようとした時かな。

 魔力を制御して、対象を成人男性に固定する。通りがかった男に連絡先を書かせていく。フェロモンでぼんやりしている男達は、次々と列をつくって連絡先を書いてくれた。


『北條、百枚なくなった』


 ルインでメッセージしたら、電話がかかってきた。


「早っ!穂積の本気、怖っ!!」


「…お…私の勝ちですよね?」


 つい俺って言いそうになった。危ない、危ない。気を抜かないようにしないとな。


「完全勝利だね。ただ、まだ時間もあるしスキルなしでのやり取りも必要じゃない?」


「そうですね。もう少し頑張ってみます」


 繁華街をブラブラと歩いていたら、藤堂から電話が来た。


「もう百枚集めたってどーゆーことですか!?」


「スキル」


「あああああ、もおおおお!自信あったのに悔しいぃ!!」


 スゲーな、藤堂。マジで女子になってないか?キーキーうるさいから電話を切った。


「あの……」


「はい?」


「お、お茶でもどうですか?」


 とても見覚えがある、転入生の……イクシスだっけ?だった。


「申し訳ありませんが、急いでおりますので」


 三十六計逃げるにしかず。身バレしたら面倒だから、さっさと逃げようとした。


「お待ちください。私は貴女のように清楚可憐な女性を知りません!どうか私とお付き合いをっふぅ!!」

「悪いが、彼女は私のものだ!」


 どこからか現れた陽菜(ただし男装)がイクシスを押し退け、俺を連れて逃げた。基本的に所作が男らしい陽菜は違和感がない。


「晃太………練習なら私とでいいだろう?ターゲットにチヤホヤするのは必要だから仕方ないが、それ以外で晃太がチヤホヤするのは私だけにしてくれ!頼む!」


「し、仕方ないですね。ひ………ひなた君にチヤホヤしてあげます」


 正直、スゲー楽しかった。次はぜひ普通のデートがしたい。普段と違う格好のせいか、ひたっすら陽菜にチヤホヤしてやった。あーんはもちろん、口を拭いてやったり、服を見立ててやったり。陽菜にチヤホヤすんの、超楽しい。なんか、陽菜が『幸せすぎて明日死にそう』とか言っていた。もっと幸せにしてやるから生きろ。


 全てを見通すサポート眼鏡から『リア充爆発しろ』と言われたのは言うまでもない。いいんだよ!やっっと素直になれたんだから!


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