桔梗のミッション
にゃんこな桔梗視点になります
アチシは桔梗。大好きなご主人様の命令で、ご主人様のご学友である穂積様の護衛をしているのですにゃ。
「桔梗ちゃん、リボン結んでいい?」
「いいですにゃ」
「桔梗ちゃん、ぎゅ~」
「ぎゅ~ですにゃ~」
「桔梗ちゃんの絵を描いたよ!」
「上手ですにゃ。桔梗をにゃわいく描いてくれてありがとうございますにゃ」
護衛…のはずが穂積様のご兄弟達から熱烈な歓迎をされておりますにゃ。皆おりこうさんでにゃわゆいのですにゃ。あの村のクソガキ共に比べたら雲泥の差…いや、比較したら失礼だにゃ。
「ほら、メシだぞ。悪いな、桔梗。チビ達の相手までしてもらって」
「アチシも楽しんでますから、お気ににゃさらずなのですにゃ。皆とってもおりこうさんですにゃ」
「なら、いいが。困ったら言えよ。全員、手を洗ってこい!」
『はーい!』
穂積様はいいお兄ちゃんですにゃあ。穂積様が陽菜様とお食事を運ぶと、次男の晃樹君が下の子に指示を出し、あっという間に準備が出来たのにゃ。もちろんアチシもお手伝いしましたにゃ!
「お母さんは?」
「おふくろは…今日残業だってさ。おふくろの分取るから、食うのちっと待ってろ………よし。いいぞ。いただきます」
『いただきます!』
皆でわいわいご飯…見ているだけでも楽しいですにゃあ。
「桔梗ちゃんは食べないの?」
「アチシ、ご主人様のバイト先でもういただきましたのにゃ。ありがとうございますにゃ」
本当は猫妖精だから、アチシにご飯はいらないのにゃ。いい子達にゃあ。
「そっか~」
「桔梗ちゃんと食べたかったなぁ」
「まあ、そのうち一緒に食うこともあるだろ」
「ほんと!?」
「いつ!?いつ!??明日!?」
「ミチルちゃんは!?」
「だああ!今度だ、今度!!」
ご主人様も一緒にごはん…にゃんて楽しそうな………!!
僅かに魚…いや、あの人魚の香りがしたのにゃ!瞬時に完全獣化して匂いをたどると…外にゃ!
「桔梗は急用を思い出しましたのにゃ!すぐ戻りますにゃ!!」
開いていた窓から外へと飛び出したのにゃ!完全獣化したアチシの鼻から逃げられると思ったら、大間違いなのにゃ!
「ね、猫ぉぉぉ!?」
こんな町中で金魚鉢姿とか、どーゆー神経してるのにゃ!?金魚鉢の人魚を追い回すと、世界が一変したのにゃ
「かかったわね!お前さえ閉じ込めてしまえば、王子様は私のもの!」
亡きものにしよーとはしないにゃんね。不覚だにゃ。結界に閉じ込められてしまったのにゃ。腐っても四天王。そう簡単には解けそうもない……にゃ!?
瞬時に結界が壊れ、うちのご主人様が鬼の形相でおいでなすったにゃああああああ!??眼鏡が、眼鏡が禍々しく変形なさってるにゃああああああ!!
「うちのにゃんこを虐める馬鹿はいねぇがああああああ!!」
「ひいいいいいい!??」
包丁をギラギラさせてるにゃ!これは怖いにゃ!アチシも毛が逆立ったにゃ!!スゴい威圧感にゃ!チビりそーに……あ、台車を操縦してたゴブリンが盛大に粗相してるにゃ。
「桔梗様、助けに参りました!」
「おみゃーら…」
あらかじめ待機させていた不寝番の猫獣人がアチシを閉じ込めてた結界を解除してくれたのにゃ!
「ご主人様…アチシ、せっかく任せてくれたお仕事にゃのに……ごめんにゃさい……」
「桔梗!ケガはない!怖くなかった!?大丈夫!?いきなりリンクが切れたから心配で心配で…小文吾は大丈夫って言うけど来ちゃったよ!桔梗がお仕事できないと思ってる訳じゃないけど、敵は腐っても四天王だからどぉぉしても心配で!」
「ミチル様……」
なんていいご主人様なのにゃ…アチシの失態を叱るどころか、アチシを心配して来てくれたにゃんて………。
「ミチル様、アチシは頑張りますにゃ!全力で奴にトラウマを植え付けてやりますにゃ!そもそも穂積様は陽菜様の王子様で相思相愛ラブラブにゃ!人魚が付け入る隙なぞないのにゃ!!」
「な、なんですって!?みすぼらしい猫妖精の分際で…!?」
「鬼メガ☆ビーム!!」
ミチル様のビームが人魚に直撃したにゃ!ほんのり焦げて…香ばしい匂いがするにゃ!
「は、話してる途中で何を…!?」
鬼眼鏡のミチル様に、人魚もビビってるにゃ。金魚鉢の中だからわかりにくいけど、チビったに違いにゃい。
「貴様…私の可愛い桔梗がみすぼらしいだと!?小文吾、猫獣人の皆さぁぁん!やーっておしまい!!」
『にゃああああああ!!』
「あ、アチシもにゃ!にゃああああああ!!」
流石はミチル様だにゃん!いつのまにか猫獣人達を完璧に従えているのにゃん!!ミチル様の猫妖精として、アチシは頑張るにゃああああああ!!
アチシは…アチシはミチル様のために戦うにゃ!!初めて自分で選んで、アチシを認めてくれた大切な大切なご主人様。アチシはご主人様のためにゃら、なんだってできるのにゃ!身体の中から魔力が溢れる。ミチル様はアチシに惜しみ無く魔力をくれる…!今のアチシは、誰にも負けにゃい!!
「桔梗!?」
「奥義!守己帝呪落下!!」
猫妖精に伝わる必殺技が人魚に直撃したのにゃ。これをくらって生きているにゃんて、流石は四天王なのにゃ。
「こ…この私が……お前、その姿は!?」
「にゃ?」
にゃんだかちょーっと成長したにゃん?いや、進化しちったのにゃ。ふふ、猫妖精姫になったにゃん!
「おみゃーの王子様、現れるといいにゃんね」
心にもない台詞を告げて、固有スキルを発動する。
「家猫至高一等呪!!」
「き、きゃああああああああ!?」
この呪いを受けると、おうち…つまり人魚の場合はお城から出られにゃくなるのにゃ!
「ミチル様、アチシはやりましたのにゃ!これで人魚はお城から出れないのにゃ!!」
「え!?人魚だけ消えたけど、ナニしたの!?」
「つーか、うちの裏でナニしてんだ。北條まで居るじゃねぇか。とりあえず、茶ぐらい出すからあがってけ」
穂積様のおうちで続きはお話しすることになったのにゃ。穂積様は優しいにゃ。猫獣人達にまでぬるいミルクを出してあげてたにゃ!