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至福のもふトラップにはまりました。

 鈴木は私をお姫様抱っこしたままゆっくりと裏庭に降りてくれた。陽菜ちん達は教室に戻ったのか、見当たらない。着地して余裕ができたせいか、私は気がついた。気がついてしまった。


 鈴木が私のミニスカ内部が見えないように、微妙に尻を押さえてらっしゃる!


「ここなら大丈夫かな?」


 そう言いながらもまだお姫様抱っこをしている鈴木。相変わらずさりげなく尻で支えている。

 不特定多数にぱんつー丸見えか鈴木による尻タッチ…どっちがいいんだろう。

いや、どっちもよくない。だが、あのアマゾネス軍団に捕まるよりはいいに違いない。私はそう結論した。ヤリ(トライアングル音)男によって極限までストレスたまってたみたいだし、鈴木の話も聞いてくれてなかった。うん、捕まらなくて良かった。

 黙ってやられるつもりはないが、ヤリ(トライアングル音)男が悪いのである。被害者であろう女子達を倒したくはない。


「……別方向に行ったね」


 鈴木のお耳がいつの間にかフカフカの耳になっている。耳があった部分に、犬のような三角のお耳。

 うおお…ピクピク動いて辺りを探っているらしい。可愛い。触りてえええ。


「鈴木、お願いがあります」


「うん?」


 首を傾げる鈴木、可愛い。犬っぽいお耳がこっち向いた!私の話を聞こうとしてくれているらしい。ピコピコしている。


「お耳に触らせて!そのフカフカをちょっとでいいから触らせて!できたら尻尾も触らせて!お願いします!」


 私は土下座して頼みこんだ。いや、以前体育で触ってから、ずっと触りたかったんだよ!あの絹みたいなさらさらの毛とモフモフが忘れられぬのだよ!あと、耳と尻尾は魔王にもなかった気がするからセーフなのだよ!多分!!


「え、えええええ……み、ミチルちゃんになら………いいよ」


 何故か乙女のように頬を赤らめてモジモジしつつ、耳を触りやすいよう下を向いてくれる鈴木。なんか反応がおかしい気がした。反応がおかしいなって思ったんだけど……モフモフの誘惑には勝てなかった。


「きゅん!」


 耳をキュッとしたら、鈴木がビクッとした。なんだよ『きゅん!』ってなんだよ。可愛いじゃないか!顔を真っ赤にしているけど、鈴木の姿勢は変わらない。鈴木可愛い!!

 いつの間にか尻尾が出ていてブワッと膨らんでいる。尻尾を眺めながら耳を触る。ふわぁ…なんて滑らかな触り心地…私…ケモナーに目覚めてしまいそう…。ふはは、逃げるな耳よ。可愛いやつよのう…。


「ああん…ミチルちゃんったら大胆…」


 うっとりしている鈴木の色気がすごい。耳をピルピルさせていて鼻血でそう。尻尾も触ったら、こちらも絹のような滑らかさ。そしてもふもふ!


「ひゃん!」


 急に尻尾を触られて驚いたらしく、ひゃん!とか言っちゃう鈴木。なんだこれ!可愛すぎか!!どれだけ私を魅了するんだ鈴木!!つい調子こいて鈴木の尻尾にスリスリしたり触りまくった。尻尾はキツネみたいにふっくらしているから、耳よりモフモフしてて触り心地がいい。


「はあ……んん………も、もうだめ!ミチルちゃんのえっち…」


 鈴木がだめと言うのでやめたが…なんだろう。純真無垢な乙女にセクハラしたみたいな感じがする。鈴木がエロい。


「あの…ミチルちゃんは魔族が怖くないの?」


「とりあえず鈴木は怖くない。というか、すでに友だちだし。蓮ちゃんや天堂先輩も怖くない。チーティスさんとは仲良くなれそう。人間だからとか魔族だからってくくりでそもそも見てないかも」


 正直、魔族の証である鈴木の耳と尻尾をしこたま触りまくってるんだから今さらな気がする。自分でも不思議なぐらいに忌避感がない。


「……そっか。ありがとうミチルちゃん」


「いえいえ。また耳と尻尾、触らせてね」


 ちゃっかり約束をとりつける私に、鈴木はモジモジしながら頷いた。


「うぇ!?あ、えっと、その…俺はいいけど他の魔族にそれを言ったらダメだからね!」


「…うん?」


 鈴木の様子が気になったので、教室に戻ったらママンにメールしてみた。ママンは世界中を飛び回っているから魔族にも詳しい。


『ママン、魔族の耳と尻尾を触るのって、なんか意味ある?』


 ママンから即レスが来た。珍しいな。暇だったのかな??


『魔族の耳と尻尾を?基本はよほど親しくないと触れないわよ。親兄弟以外だと、私と性的な意味で寝てくださいってアピールになるから迂闊に触らないように触らないように護衛に言われてるけど…まさかミチルちゃん、大人の階段のぼっちゃった??きゃっ』


「ママアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!きゃっじゃないわあああああ!軽い!軽すぎるわああああああ!!」


 軽い気持ちで送ったメールにとんでもない返事が返事がああああ!!


「み、ミチルちゃん?どうしたの??」


 乱心する私に鈴木が話しかけてきた。


「す、鈴木いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」


「な、何!?ミチルちゃん!」


「言って!お触りに意味があったならちゃんと教えようよ!!」


「!??あ、えっと…誰かに聞いたの?」


「………うちのママンから聞きました。すいません…とんでもないセクハラかましてすいません…」


 土下座して謝罪する私。いっそお婿に…いや、それ私が得するだけだわ。


「顔を上げて!その…俺ミチルちゃんが解ってないの知ってたし…ミチルちゃんになら………「鈴木いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!自分を大事にしろ!!大事なところをそんな簡単に触らせたらダメだから!!」


「…ミチル、何をしたんだ?」


「…え?」


 よく考えたら、ここは教室でした。皆さん興味津々です。


「す、鈴木いいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」


「ご、ごめんね!ミチルちゃん!」


「こら、何騒いでんだ~?授業するぞ」


 病んでれ予備軍の教師により、私は窮地を脱した。しかし、クラスで私が鈴木にセクハラをしたと認識されてしまった。微妙に間違ってないのが辛い。


 ママン、ミチルは破廉恥な娘になってしまいました。ごめんなさい…。

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