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天堂乱の扱い方

 騒がしい天堂先輩は結界サンドにして(物理的に)黙らせた。いくら天堂先輩が強くとも、四天王二人を無力化した結界をなんとかするのは難しいだろう。


「そういや、なんで天堂先輩だけ人間の学校なの?」


「それは……もうミチルには隠しても仕方ないわね。あまりにも兄様が城を破壊するから、日中は人間の学校に能力を封じて行かされていたのよ。わたくしは父の手伝いや家庭教師から習ったから、ガッコウに行ったことはないわ。そもそも種族によって能力にバラつきがあるから、人の学校みたいな画一的な教育は向かないわね」


「なるほど」


 むしろ罰ゲーム的な意味で来ていたのか。鈴木のキレ方からして、しょっちゅう破壊するらしい。しかも天堂先輩はたまに魔族にも当たるので恨まれており、能力を封じたままここで暮らすのはまずいからという判断らしい。

 私はため息を吐くと天堂先輩に話しかけた。


「…天堂先輩」


「ん?」


 結界サンドされてるが、彼は普通に返事をした。余裕だな。


「天堂先輩のせいで蓮ちゃんが困っています」


「ぬ?」


「天堂先輩がモノ壊したり、人にぶつかったり…それを今までずっと蓮ちゃんが謝罪していました」

「え!?何故それを!??」


 超☆眼鏡はなんでも知っている!と言いたいとこだけど、眼鏡がなくとも蓮ちゃんを見ていればわかるよ。絶対影で謝罪していたはずだよ!さすがの私も見過ごせないよ!天堂先輩には言うことを聞かせる魔法のワードがあるのだ。今こそ使うときだよ!





「何の罪もない妹に尻拭いをさせるなんて、ヒーロー失格です!!」





「ふぬあああああああああああああ!??」




 結界を解除する。天堂先輩は力無くその場に倒れてしまった。天堂先輩は基本話を聞かないが、根気よく話せば一応きちんと理解はする。ただし大半はすぐ忘れてしまう。興味がないからだ。

 しかし、何事にも例外はある。天堂先輩はヒーローにハマっている。だから、己の正義を行使するのだ。ゆえに、ヒーロー失格と言われたことは絶対にしないのである。

 ちなみに私が天堂先輩になつかれたのは、貰い物のゴーヤ戦隊ニガインジャーストラップをあげたからだ。まさかあんなどうでもいいものでと思ったが、彼には素敵な品だったらしい。まあ、そこはどうでもいい。


「あ、あの何を言ってもこたえない乱様が…」

「お兄様が人の話をキチンと聞くだなんて……」


 蓮ちゃん…今まで相当苦労していたんだね。後でしっかり天堂先輩に言うことを聞かせる魔法のワードと使い方を教えるからね。


「……蓮…すまなかった!!」


 土下座で床にヒビが入った。言い方が悪かったな。ええと…どう言えば伝わるかな?蓮ちゃんが床が抜けないか心配している。


「天堂先輩」


「ん?なんだ?北條君。悪いが、今私は妹に全力で謝罪せねばならんのだ」


 床にヒビをいれても無傷とか、流石は天堂先輩。とりあえず、思いついたのを話してみることにした。


「それじゃ、ダメです。思い出してください。ヒーローの力は、優しい力なんです」


 いや、知らんけどな。今思いついたやつだけどな。


「優しい、力?」


「ええ。ヒーローは闇雲に力を使ってなかったでしょう?ヒーローは悪を討つためだけに、誰かを助けるために力を使うんです。ヒーローが一般人に怪我させたり、無駄に周囲を破壊したら悪者と大差ないですよ。そこに悪意があるかないかの差はありますけど、被害者にしてみればどっちもどっちです。結果は同じですし。ヒーローが悪者を倒したとして、そのせいで建物が崩れて中で死んだ人がいたとします。ヒーローは正義ですか?」


 実際にヒーローがそんなんしてたら、ネットとかで滅茶苦茶叩かれてスポンサーも消えるよね。はたして、そのヒーローはヒーロー言えるのかすらも怪しい。だが、天堂先輩がこのまま進めば…それは未来の彼になってしまう気がする。


「!???」


 天堂先輩は衝撃を受けたらしく、また倒れた。床は無事だった。


「だからか。だから私は…いつも疎まれて……。ようやくわかったよ、北條君。私は、己の力をコントロールする修行をする。蓮…本当にすまなかった。不甲斐ない兄を許せとは言わん。だが、今後お前に迷惑をかけないように努力しよう」


 そして、天堂先輩は今日初めて壁を破壊せず窓から出ていった。




 窓から出ていった??ここ、何階!??






「天堂先輩!?」


 慌てて下を確認する。ここは5階だった。天堂先輩は5メートルぐらい離れた木に飛び移り、見事に着地していた。よく考えたら、あんだけ壁を壊して平気な天堂先輩がこの程度で死ぬわけないか。


「ミチル…いえ、ミチル様!一生ついていきますわ!わたくし…わたくし、人生最良の日ですわ!何をしているのです!?お茶も茶菓子も最高級の…わたくし秘蔵のとっておきを出しなさい!ふあああああ…あの、あのお兄様が…何回言っても聞かない馬鹿兄様が……ミチル様、ありがとうございました!本当に、本当に本当に本当に本当に本当にありがとうございましたぁぁぁぁ!!うわああああああん!あああああああああん?!!」


「落ち着いて!蓮ちゃん、マジ落ち着いて!!あと、ミチル様はやめて!!ミチルでお願いいたします!!それから夕飯食べたばっかで満腹です!!」


 蓮ちゃんが落ち着くまで時間がかかったのは言うまでもない。いや、落ち着いてない。なんか拝まれている。


 ママン、友人に拝まれているのって……どうしたらいい?ママンは気にしないわねって電波を受信しました。ママンがオリハルコンメンタル過ぎる件。

※ミチルは混乱している。

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