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鈴木係になりました?

 鈴木を意識しすぎて挙動不審になりつつも、なんとか授業を受けていた。鈴木はなんであんなに尊いのだろうか。とりあえず気づかれないように拝んでおきました。

 3時間目までは何も起きなかったが、4時間目に事件が起きてしまった。


 今日の4時間目は体育だった。眼鏡な私は、見た目通りに運動が不得手である。ちなみに陽菜ちんはなんでもこなせるスーパーレディなので、得意である。


「男子はバスケかぁ…」


 体育は男女別。私たちは体育館の半面でバレーボールをしていた。手が痛くなるから、バレーボール嫌い……。バスケの方がよかったなぁ……。

 バレーボールのサーブ練習をしていた時に、声が聞こえた。


「ミチル、避けなさい!」


「…え?」


 気がついた時には遅かった。視界いっぱいにバスケットボールが見えた。顔面直撃鼻血ブーを覚悟したが………………あれ?


 いつまで経っても痛みは来ない。私、誰かに俵担ぎされているようだ。眼鏡は外れてしまっており、視界がすごくボヤけている。


「ミチルちゃん、大丈夫?怪我はしてない?血は出てない??」


「だ、大丈夫……」


 視界がボヤけててよく見えないが、鈴木のシルエットが魔のつく自由業第2形態になっているっぽい。


「……………鈴木の爪は、なんでそんなに伸びてるの?」


「伸びてないよ!ほら!」


 鈴木の爪は普通の爪になりました。さりげなく手をニギニギしちゃいました。でへへ。


「…鈴木の、背中、ナニをしょってるの?」

「ナニもしょってないよ!見間違いじゃないかな!?」


 背中の白いのは多分羽根だったんだろーな。あれ?でも第2形態の羽根……黒かったような??もなくなりました。


「鈴木の髪は、どうして長いの??」


「そんなことないよ!ほら!気のせいだよ!!」


「鈴木の耳、どうしてこんなにモフモフなの?」


「モフモフしてないよ!気のせいだよ!!」


 あ、モフモフはもう少ししたかった…絹のような肌触りで、高級感あるモフモフだった。


「鈴木、どうしてツノがあるの?」


「ないよ!気のせいだよ!!」





「………なにかしら、この茶番」


「ミチルは見たくないものは見ない主義だからなぁ…」


 流石は親友。私をよく理解しているね!そんなむっちゃんと陽菜ちんの声を聞きながら私と鈴木は問答を続け、鈴木が眼鏡を渡してくれる頃にはノーマルな鈴木に戻っていた。


「鈴木、お前には負けないからな!」


 アホ部は何に勝利したいのだろうか。よくわからん。

 周囲はなんとなく鈴木に対して引いているようだ。最初から鈴木の第2形態を知っていた私とは違うだろうな。


「鈴木、鈴木のおかげで怪我しなかったよ!ありがとう、鈴木!」


「あ……うん。ミチルちゃんが無事でよかった」


 へにゃ、と笑う鈴木かわゆす!!周囲の空気も和らいだかな?


「ミチル、大丈夫か?」


「うん。鈴木のおかげで無傷だよ」


「そうか。鈴木君、私の親友が世話になったな」


「マオマオ、うちの子を助けてくれてありがと」


「オネエの腹から産まれた覚えはないけど」


「アタシも出産経験なんかないわよ!」


 恐らく陽菜ちんは天然だが、むっちゃんはわざと茶化してくれたのだろう。流石は気遣いに長けたオネエである!


「鈴木、お前の正体がどうであれ俺はお前をダチだと思ってるからな。お前はいいやつだって、ちゃんと知ってる」


「穂積くん……」


「そうそう!アタシも保証するわよ~。ミチルと陽菜も、でしょ?」


「もちろん!」

「ああ!」


「むっちゃん、ミチルちゃん、姫宮さん……」


 鈴木がウルウルしている。写メ撮りたい。しかし、やると確実にむっちゃんから叱られるのでできない。


「俺のこと、晃太って呼べよ」


「晃太、くん?」


「それでいい」


 穂積が穏やかに微笑んだので、周囲から黄色い声があがった。穂積は無駄にモテるのである。


「私も陽菜でいいぞ!鈴木は親友だ!」


「じゃあ…陽菜さん?」


「ちゃんじゃないのか?」


「それは…ミチルちゃんだけにしたいかなって……」


「よし!そうしよう!それがいい!!」


「うぬおおおふおおおえぬあああああああああああ」

「落ち着きなさい、ミチル。面白いけどうるさいわよ」


 いや、推しメン様に特別扱いされたら、誰でもそうなりますよおおお!!

 私は鈴木に気をとられ過ぎて、背後の悪に気がつかなかった。ポン、と肩を叩かれたので振り向いたら病んでれ予定の教師がいた。


「北條、お前鈴木係な?」


「うぇい?」


 なんですかい、それは??


「鈴木は見ての通り、魔族と人間のハーフで魔国からの留学生なんだ。だから、常識がなくて力加減が怪しい」


 先生の手には、無惨な姿のバスケットボールがあった。


「で、お前ら…特に北條は登下校一緒だから仲いいだろ?というわけで、鈴木係に任命する」


「す………鈴木いいいいいいいいい!!」


「み、ミチルちゃんごめん!」


「じゃなかった、先生いいいいいいいいい!!それ多分先生の仕事ですよねぇ!?転校生のフォローとか、絶対先生の仕事ですよねぇ!??」


「…北條」


 病んでれ予備軍の先生は、真面目な表情だった。


「お前は鈴木の友達だろう?友達が困るのがわかってて、見捨てるのか?」


「う……」


 やめろ、鈴木!捨てられた仔犬みたいな目で見るなってか、耳と尻尾が出てるから!!くっそ萌えるからやめてくださいごちそうさまですお触りいいですか?


「…ミチル、騙されちゃダメよ。先生は面倒事を押し付けたいだけだわ」


「チッ」


 舌打ちしやがったよ、この教師いいいいいいいいい!!







 そして、結局鈴木係については保留となったはずなのだが……。


「北條さん、鈴木君が水道破壊したよ!」


「元栓しめて!私はタオル持ってくるよ!あ、むっちゃん雑巾かモップよろしく!」


「北條、鈴木が倒れてきた木の下敷きになったけど、ピンピンしてる!」


「念のため保健室に連れてくね!」


「北條ちゃん、鈴木君が謎の薬品ぶちまけたあああ!?」


「それ、酢酸だから大丈夫!ただガラスは危ないから陽菜ちん、掃除機取ってきて!私は雑巾取ってくるから!!」




 保留となったはずなのだが、何故か私は皆から鈴木係として認識されているっぽい。


「だってミチル、マオマオの事になるとはりきるじゃない。なんかいつの間にかマオマオのフォローはミチルの仕事になってるし」


「否定できない…」


「北條さん、鈴木君が不良に絡まれてた!」


「場所は!?」


「裏庭!」


「ありがとう、行ってきます!」





 情報通り、裏庭で鈴木に絡む不良達。


「お前魔族ハーフなんだって、キモいんだよ!学校来てんじゃねーよ!」


「…………」


 鈴木は少しイラついている様子だが、間に合った!鈴木は数人の不良に囲まれていた。


「鈴木いいいいいいいいい!」


「ミチルちゃん!?」


「必殺!メガ☆ビーム!!」


 説明しよう!メガ☆ビームとは、超☆眼鏡の能動発動(アクティブ)スキルである!このスキル唯一の攻撃スキルで、眼鏡からビームが出るのであ~る!!


『ぎゃああああああ!?』


 ちなみに、苦痛のみ与えるのと物理的に攻撃するタイプがあり、今回は前者である!


「悪は滅びた……」


 不良(あく)は私のビームにより気絶した。とりあえず油性マジックで顔に落書きして『お前の恥ずかしい秘密を知っている』とお手紙をそれぞれに渡してあげた。信憑性を増すために、秘密の内容を一部書いておくのも忘れない。


「……い、いいのかなぁ……」


 何故か鈴木がひきつっていた。これでいいのだ!!笑顔で鈴木と教室に戻りました。





「ミチル、鈴木係お疲れ様」


「うん………って、違うから!鈴木係違うから!!」


「………ミチル、諦めろ。皆から鈴木係だと思われているぞ」


「……………」


 クラスメイトが無言で全員頷きました。ちょっと待て。誰だ、ご臨終ですとか言ったやつ!私の人生は終了してないわ!!


「す、鈴木いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」


「ご、ごめんね…」


「…鈴木は悪くないし、鈴木は私が守るからね!」


 そして結局、私はクラスメイトどころか全校生徒からも鈴木係と認識されていたと後日知るのであった。


 ちーん。

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