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ふぁんもん  作者: 馬場翁
9/15

もふもふ

 ギルドにやってきたチョコ。

 目的は北と南の平原の情報。

 始まりの街は東西南北を平原に囲まれている。

 そして、各平原には決まったモンスターが生息している。

 西にはスライム。

 東にはゴブリン。

 では、残る北と南には?


「南には主に動物系のモンスターが。北にはエレメント系のモンスターが生息してるわよ」


 受付のお姉さんに聞いてみたところ、そんな回答が得られた。


「南に生息してるモンスターは5種類。ラビット、ウルフ、ピッグ、ホース、ホークよ。詳細が知りたかったらあそこの本棚に図鑑があるから確かめてね」

「北のエレメント系って何ですか?」

「最下級の精霊のことなんだけど、そっちに行くのはお勧めしないわ。エレメント系についても図鑑を見ればわかるわよ」

「ありがとうございます!」


 チョコはお礼を言って本棚に向かう。

 チョコの大音量のお礼を受けて、受付のお姉さんがちょっとだけのけぞってしまったのはしょうがない。

 NPCには音量調整機能はないのだ……。


 図鑑を開いてモンスターの確認をしてみる。

 すぐに受付のお姉さんがエレメント系のいる北をお勧めしない理由が判明した。

 エレメント系とは、最下級の精霊、またはその派生系をさす。

 その特徴は、一属性に特化した魔法タイプ。

 そう、ゴーストであるシルクの天敵、魔法タイプ。

 やってられねー。


 チョコはすぐにエレメント系の敵への興味を失い、動物系のモンスターをページを開いた。

 東と西の平原は一種類のモンスターしかいなかったのに対して、北と南は複数の種類のモンスターが生息している。

 その分単純に難易度は上がる。

 種類が多いということはその分求められる対応力も高くなるということなのだから。


 南の平原に出現するモンスターは5種類。

 うち、一番簡単に倒せるのはラビット、うさぎだ。

 ステータスが平均的な☆1よりもAGI以外軒並み低く、唯一高めのAGIも高すぎるということはない。

 また、群れることを嫌い、一匹でいる。

 うさぎは寂しいと死んじゃうっていうあれ、ガセなんやで……。

 と、一見するとゴブリンよりだいぶ簡単そうに見えるうさぎさん。

 しかし、そこには大きな落とし穴が……。

 うさぎさんには恐ろしいスキルがあるのだ。

 即死攻撃〈微〉。

 そ く し 。

 ようするに攻撃に即死判定がつくという凶悪なスキル。

 〈微〉ゆえに即死する率は低い。

 が、0ではない。

 油断してたら即死させられた、なんてことがあるあるなのだ。

 しかし、即しさえくらわなければ一番簡単に倒せるのも事実。


 次に容易なのがピッグ、豚さんだ。

 そう、あの猪の前の前の段階である、豚さん。

 攻撃方法は単純で、突進くらいしかない。

 単純であるがゆえに対策は立てやすいが、対策をしていないとなかなかのダメージを受けてしまう。

 防御面もゴブリンよりタフで侮れない。


 残りの三種はどれも厄介だ。

 ホーク、鷹は、空を飛んでいる。

 そのため、こちらも空を飛べるか、遠距離攻撃を持っていなければ、向こうから攻撃を仕掛けに近づいてきてくれないと手出しができない。

 幸いにして鷹のほうも遠距離攻撃は持たず、嘴や爪による攻撃で近寄ってきてくれる。

 その際にきちんと反撃でダメージを与えないといけないので、倒すのには一苦労する。


 ホース、馬は臆病ですぐ逃げてしまう。

 しかも、速い。

 倒そうと思ったら逃げる馬に追いついて、攻撃できなければならない。

 しかし、臆病だが実は弱いわけではないので、ただ追いつけるだけだと返り討ちにあうこともある。

 追いつめられると強力な後ろ足によるキックや突進が飛んでくることになる。


 そして、南の平原で最も厄介なのが、ウルフ、狼だ。

 素早い動きに強力な牙による噛みつき攻撃。

 ステータスの平均はゴブリンと同等だが、魔法系を低くし、代わりに物理系が高いステータス構成のため、単純な戦闘能力ではゴブリンを上回る。

 そんな狼が、群れます。

 しかも吠えて仲間を呼びます。

 仲間を呼ばれる前に倒すか、呼ばれても問題ないくらいレベル差がないと厳しい。


 と、このように、南の平原の動物系モンスターは厄介なのが多い。

 一番倒しやすいうさぎにすら即死という危険が付きまとうくらいなのだ。

 ゴブリンを安定して倒せるようになったマスターが、調子に乗って南の平原に行くと酷い目に合う。


 が、それは普通だったらの話。

 お気づきだろうか?

 南の平原にいるモンスター、そのすべてが物理攻撃しかしてこないことに!


「ここがアニマル天国! もふもふ天国か!」


 間違ってはいない。

 ただアニマルたちにとっては地獄かもしれないというだけで。


 ※ピンポンパンポーン。以下、ダイジェストでお送りします。


 うさぎー!

 即死攻撃!?

 当たらなければどうということはない!


 ぶたー!

 ぶひー!


 うまー!

 逃げた。


 たかー!

 高いとこに逃げようが、憑りついてしまえば今あなたの後ろにいるの!


 おおかみー!

 送り狼ならぬお届け狼。

 仲間を呼んだ!? 経験値のお届けですね! わかります!


「いっぱい頑張ったねシルク! えらいえらい!」


 こうしてモフモフたちの悲鳴が響き渡ったのであった。

 なお、うさぎを一目見るや抱っこしようとダイブして、アップデートの透過処理によって触れずすり抜けてビターンしたのはお約束。

 その後の無慈悲な殺戮は、かわいさ余って憎さ百倍とでも言うのか……。

 チョコ、恐ろしい子……!

動物系モンスター

現実にいる動物をそのままゲームのモンスターにしたようなシリーズ。種類にもよるがSTRとAGIが高めの傾向にある。進化先が豊富で見た目もかわいいのからかっこいいのまでそろっているため、初期モンスターに選ぶ人が多いのもこのシリーズ。

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