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ふぁんもん  作者: 馬場翁
14/15

だぶる

 ファンモンはモンスターが主役のゲームだ。

 それ故に、モンスターの種類は膨大。

 ☆1から☆5までの全モンスターの合計種類は四桁を超え、☆1だけで見ても三桁を軽く超える。

 つまり、ランダムで同じモンスターを二回連続で引き当てる確率は、天文学的。

 ある意味宝くじに当たるのよりも難しいかもしれない。

 それを成し遂げた者がここに一人。


「おいおい。ゴースト二匹とか……。あの子終わったんじゃねーか?」

「すげーな。ある意味すげーよ」

「ぶふっ」


 時は正式版稼働初日。

 場所は始まりの街のギルド。

 つまり何が言いたいのかと言うと、初心者プレイヤーがごった返してる場所だったということ。

 そんな場所で卵を孵化させ、しかもそれがまさかの一匹目のモンスターとダブり。

 注目を集めないはずがなかった。

 しかもそれがゴーストなんて言う際物だったらなおさら。


「まあかわいいからいっか」


 そんな注目など知ったこっちゃと驚きからすぐさま回復するチョコ。


「あなたの名前はー、コットンで!」


 コットンと新たに名付けられた新米ゴーストは、主人であるチョコと姉貴分であるシルクに向かって頭を下げた。


「これからよろしくね!」


 チョコが差し出した手にコットンが短い手を重ねるようにして握手するフリをする。

 透けちゃうからね。

 握手しようとしてもできないからね。

 でも、フリだけでも付き合ってくれるコットン。

 これにはやじ馬たちもほっこり。


「よっし! じゃあシルクの進化もやっちゃおっか!」


 ざわ。

 その時やじ馬たちに電流走る。

 進化?

 こいつ今進化と言ったか!?

 早々に二匹目をゲットしていることから、β版プレイヤーであることは一目瞭然。

 が、しかし! それにしたって進化だと!?


 やじ馬たちの驚きも尤も。

 進化できるということは、レベル10に到達しているということ。

 この手のゲームではありがちだが、ファンモンはレベルが上げにくい。

 それは後続が入りやすくするためであったり、長くプレイしてもらうためだったり理由はいろいろある。

 が、それはそれとして、β版の一週間で進化まで到達しているというのはかなりのペースだ。

 β版では様々な制限があり、課金アイテムの経験値ブーストも使えない。

 つまり、完全に自力だけで成し遂げたということになる。

 いったいどれほどやりこめば進化にたどり着けるというのだ!?

 ちなみに、β版プレイヤーの平均到達レベルは5、6だ。

 シルクのレベル10と比べると倍以上。

 やべーよこいつ。


 そんな周囲のざわざわなど気にすることなく、チョコはメニューボードを操作してシルクの進化先を確かめる。

 進化先に提示されているのは三種類だった。


 ☆2ファントム

 ☆2守護霊

 ☆2シルキー


「ふむふむ!」


 それぞれのモンスターの簡易説明文を読むチョコ。

 それによると、ファントムはゴーストの上位種。

 特性はそのままに純粋に強化される正統進化先だった。

 守護霊は仲間一体のサポートに特化した進化先となる。

 仲間に憑依することでパワーアップさせるようだ。

 そしてシルキーは拠点の管理に向いている、らしい。

 とは言え、拠点を手に入れることができるのはもっとゲームを進めてから。

 シルキーは現状あんまり意味がなかった。


「どれがいい?」


 そしてやっぱりシルク本人に決めさせるチョコ。

 シルクが選んだのは、現状あんまり意味のないシルキーだった。


「じゃあそれで!」


 しかし、本人の意思を尊重するチョコはシルキーに決めた。

 単によく考えてないとかそういうことではきっとない。

 きっとない!


 シルクの体が発光し、光が晴れるとそこには進化したシルクの姿が!


「かわいい! 前と方向性違うけどかわいい!」


 シルクの姿はちっちゃいメイドさんだった。

 大きさは進化前とほとんど変わらない。

 進化前がデフォルメされたかわいい感じのお化けスタイルだったのに対し、進化後はメイド服を着たお人形さんのような見た目だ。

 ぬいぐるみ的なかわいさだったのが、お人形さん的なかわいさになっている。


 シルク

 ☆2シルキー LV1/20

 HP:20/20

 MP:30/30

 STR:2

 VIT:3

 INT:17

 MND:5

 AGI:5

 《霊体特性》《アンデッド特性》《憑りつき》《ドレインタッチ》《メイド》《念動》


 相変わらずINT以外は貧弱だが、進化したことによってMPとMNDとAGIが若干上がっている。

 地味にVITも1だけ上がった。

 ちなみに、進化前はINT以外2だった……。

 レベル10まで上げても初期から1ずつしか上がらないという絶望感。

 INTだけは10まで上がっていたので、そこだけは救いである。

 ちなみに、クマ狩りで得た経験値はINTに注いでいるので、INTの最終値は12だった。

 進化で+5されたことになる。

 あと地味にスキルが増えていた。


 《念動》

 遠隔で物を動かす。


 MPを消費して遠隔で物を動かすスキルだった。

 戦闘ではあんまり役に立たないスキルだ。


「よし! じゃあ早速行こっか!」


 チョコ、張り切って出発進行。

 しようとして前のめりになる。


「あわわ!」


 いつものビターン、に、ならなかった!


「お? おー」


 シルクの念動!

 チョコがビターンするのを阻止!


 前のめりになった状態でチョコの体が静止している。

 そのまま傾いた体が元に戻り、チョコは転倒を免れた。


「シルクありがとう!」


 お礼を言うチョコと、やれやれと言った様子のシルク。

 そしてこの主人大丈夫か? という不安を抱えるコットン。

 何はともあれ、新体制になったチョコパーティーのファンモン正式版、始まり始まり。

コットン

性別:♀

特徴:割と強気

特技:特攻

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