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ふぁんもん  作者: 馬場翁
12/15

おわりとはじまり

 チョコとシルクはクマ狩ったり、クマ狩ったり、クマ狩ったりして過ごした。

 クマはフィールドボスだけあって、倒した際に得られる経験値が多い。

 そしてエンカウントを求めてフィールドを徘徊する必要がないのも大きい。

 ボス戦をした直後にまたボス戦と、待ち時間なしで挑み続けることができる。

 フィールドにいるモンスターは全プレイヤー共有となっている。

 なので、プレイヤー同士の取り合いも発生するのだ。

 しかし、ボスはそれぞれ個別のフィールドに送られるため、順番待ちや取り合いが発生することはない。

 とは言っても、ここまでたどり着くプレイヤーの数は少ないので、個別フィールド云々なしでもそういった事態にはならなそうだが。


 そもそもボスに連続して挑戦すること自体おかしいし。

 通常、ボスと戦えば無傷で済むことは少ない。

 そうなるとポーションで傷を回復させるか、時間経過によるHPの回復を待つ必要がある。

 ポーションを使えばそれだけ手持ちが減るし、時間経過を待てばそれだけ時間を潰すことになる。

 どちらにしろ消耗は避けられない。

 そして、通常のモンスターが最も必要とするもの、それは餌!

 ボス戦なんて激しい戦いをすれば、お腹も減る。

 餌代が普段よりも余計にかかるので、プレイヤーのお財布に負担がのしかかるのだ。


 ファンモンにおいて、最もお金を使うのは、餌代だ。

 装備? 回復アイテム?

 そんなことに使うお金は些細なもの。

 プレイヤーたるマスターにはモンスターを養う義務があるのだ。

 餌をきちんとあげなければ、親愛度は急激に下がっていく。

 そうなれば待っているのはモンスターに逃げられる未来。

 誰だって餓死はしたくない。

 モンスターだってこのままだと餓死するとわかれば、逃げ出して野生に帰るに決まっている。

 そうならないよう、マスターはきちんとモンスターに食わせなければならない。

 そしてこの餌代が馬鹿にならないのだ。

 マスターの稼ぎの大半が餌代に消えていくほどに……。


 対して、チョコにはその餌代の負担がない。

 ゴーストに餌は必要ないのだ。


 《アンデッド特性》

 《闇属性適正》《光属性弱点》《被回復不能》《肉体系状態異常耐性》《食事不要》の効果を併せ持つ。


 ゴーストの持つ《アンデッド特性》のスキルには、5つものスキル効果がある。

 その一つに《食事不要》があり、この効果によってゴーストは食事を摂る必要がない。


 ちなみに、5つも効果があるものの、そのうちの一つ、《光属性弱点》は完全なマイナススキルだったりする。

 光属性の攻撃に対してダメージが二倍になり、自身が使う光属性の攻撃は威力が半減するという残念スキルだ。

 つまり光属性をくらったら消し飛ぶことになる。

 まあ、光じゃなくても属性攻撃食らったらなんでも消し飛ぶんだけどな!

 逆に、《闇属性適正》は闇属性の攻撃に対するダメージが半減され、自身の使う闇属性の威力が1.5倍になる。

 この効果があるからゴーストは真っ先に《下級闇魔法》を覚えさせるのがセオリーとなるわけだ。

 で、他の《肉体系状態異常耐性》なのだが、これは《霊体特性》に内包されている《肉体系状態異常無効》の下位互換スキルなので意味がなかったりする。

 そして、《被回復不能》は他者からの回復を受けることができなくなるマイナススキル。

 つまり、5つあるうち、ちゃんとプラス効果があるのは2つだけだったりする。

 まあ、その2つが割と破格なので十分なのだが。


 傷一つ負うことがないので消耗がなく、食事の必要がないので戦い続けることができる。

 そうしてボスマラソンをし続けた結果、シルクのレベルは10になっていた。


「また新しいスキル取れるんだって。何がいい?」


 やっぱり自分で決められないチョコは、今回もシルクに丸投げすることにしていた。

 そうして、シルクはメニューボードを眺め、あるスキルを選んだ。


『《お世話》が《メイド》になります。よろしいですか?』


「メイド?」


 なんか変なスキル出た。

 上書きされるということはどうやら《お世話》の上位スキルらしいが、チョコにはそれがどんな効果があるのかさっぱりわからない。

 というか、《お世話》にしてもスキル説明文が「お世話する」とだけで、その効果がわからなかったのだ。

 スキルを取得した前後でシルクが変わった行動をとったこともない。

 謎である。


「ま、いっか!」


 しかしチョコはそんなこと気にしない。

 シルクが選んだんだからそれでいいだろってことで、《メイド》を取得。

 ついでに掲示板にうちの子かわいいメイドさんになった! 自慢をしておく。

 一部のそれを見たメイドすきーが大騒ぎすることになるが、それはまた別の話。


『レベル上限に達しました。進化が可能です』

『ここまでプレイしていただきありがとうございます。β版ではモンスターの進化はできません。本サービス開始までお待ちください』


 レベル上限に達したので、☆1から☆2への進化が可能になった。

 が、β版ではまだ進化をすることはできないようだった。

 残念。


 しかし、そんなことはお構いなしにチョコはクマを狩り続ける。

 余剰経験値は各ステータスを上昇させることに使えるからだ。

 ただ、そのステータスを上げるのに必要な経験値はかなり多い。

 普通なら進化をさせてレベルを上げたほうが断然いいくらいには効率が悪い。

 なので、このステータスアップ方法は最終進化をして、さらにレベル上限に達してしまった後にお世話になるシステムだ。

 が、今は進化できないので、ここで時間を無駄にしないためにもチョコはクマ狩りをして、シルクの貧弱なステータスを少しでも上げようと画策した。

 クマの受難は続く。


 そして、β版が終了した。

 それはつまり、本サービス開始を意味している。

 ここから真のファンモンが始まる!

ファンモンシリーズにおいてプレイヤーを最も悩ませる要素。強いモンスターはだいたい巨大化していく傾向にあり、その分餌の量も増えていく。つまり餌代が増えていく。そしてだんだん高級な餌を欲しがってくるようになる。超強力だけど餌代にすべてを持っていかれるモンスターもいるとか。

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