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人として(仮題)  作者: Konquilio
1/1

1.休日、朝

はじめまして。思いつきを投稿するという黒歴史プレイ、どうか笑ってくださいな


「だから例えばで良いんだって!」


そう言われても、実際に見た事や聞いたことない物は想像しにくいというか


「んー、君っぽく言うのなら……そう、"ばくぜんとした"もので良いんだよ!」


漠然とした、もの


「そう!だから教えて?君は……」




「君は、何になりたいの?」




・・・。


……もし、もしもなれるならそれは




****








目を開ける。


まばたきをして、大きく息を吸う。


ゆっくり吐いて、それから体を起こす。


「……おはよう」


誰もいない自分の部屋に、起床の挨拶が少しだけ響いた。




****




 2024年、人間は遂に無垢なる自らの複製を作り出す事に成功した。

 分かりやすく言えば、同じ種のクローン。それを人間で作ってしまったのだ。

 しかもご丁寧な事に、記憶はフラットなラインで消され、姿かたちに遺伝子まで同じなのに、その中身は完全に別々な人物となるおまけ付きだ。

 中身が違えば成長過程が変わってくる。過程が(たが)えば、結果だって変わることがある。

 つまり、世間一般で都市伝説扱いだろうが裏で存在していようが普通に生きている分にはまるで別人の様になってしまうが故に、大きく騒がれていない大問題だと言える。

 倫理、感情、その他諸々の問題をないまぜにした存在が、もしかしたらあなたの隣のその人かも知れないという、そんな歪で奇妙な世界になり果ててしまったのだ。


「なーんて、こんな事話しても陰謀論がどーのこーのー!って言われて終わるんだろうけど」


 だから事情通…というより、()()()()だけがこの事を知っているというのが暗黙のルールになっている。

 もちろん、そんなものが定められている以上無暗に吹聴する輩なんかは粛清される。

 その作業もまた、クローン関係の組織が片付けたりするのだから、いよいよもって世も末か。


 ♪~♪~

「…着信?こんな朝から?」


 正直出たくない気持ちが強いが、出なかったら出なかったで怖い時もそれなりに多いのが自分の関わっている環境なのだから何とも言えない。

 せめてもの救いはお金に困らないくらいなものだ。


「はい、成宮です」

『オッハー!今日もちゃんと起きてるみたいだね、朝から素敵な声が聞けてとても幸せだよマイハニー!』

「……チッ」

『おっとラップ音かな?盛り塩と除霊、それからお札を忘れずにね?』


 電話の主は相も変わらずわけのわからないテンションで成り立っている気がしない会話を吹っかけて来る。朝からこれに付き合うのは流石に草臥れる。

 とは言っても、電話に出なければ出ないで自宅に押しかけて来るのだから出ないわけにも行かない。しかも質の悪いジョークのようだが、相手にとっては好意と善意のみでコレをやっているのだ。


「その国籍で何故そのようなアドバイスが出るのか不明ですがお気遣い感謝します。ですが原因は特定できているのでどうぞご心配なく」

『おお~なら安心だね!大事な君に何かあったら気が気じゃないからね、これで心置きなく仕事の話が出来るってものだよ』


 どんなに的外れな気遣いをされても、どんなにそれに腹が立っても、形式上相手の方が上司であるため、敬語は欠かせない。自らに流れる”日本人の血”とやらのせいだろうか。


「それで、朝から電話するほどの仕事とはどの様な物でしょうか?」

『あーうん、まぁ()()()()()()()なんだけど…ちょっと急を要するケースだからこちらとしても強めの役を出しておかないといけなくってね。いやー参った参った』


 基本的に自分達の平常業務と言えば、裏表を問わない掃除屋のようなもので、現場によっては自らの手で処断する形で()()()をすることさえもある。

 急を要するということはそういう事なのだろう。


「わかりました」


 せっかくの休日を朝から仕事に持っていかれるのは少々癪だが仕方がない。


「装備の輸送とポイントの座標データ、お願いします」

『ありがとう、恩に着るよ』

「いえ、これも生活のためですので」

『んま、無理を言って休日出勤みたいな事してもらってるんだし、報酬以外にもちょこっと期待しててよ』

「そうですね、では控えめに期待させていただきます」


 電話を切り、それと同時に家を出る準備を済ませる。

 ただでさえ外は騒がしくてたまらないけれど、今日はその中でもひと際うるさくなりそうだ。

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