076.はがねの錬金術師(?)伝説…その37
頑張った。
頑張ったよ。
予告の話っぽいとこまで、終わったよ。
地味に国家存亡の危機を救ったボク…………原因もボクですけど。
「お魚マジ食べ隊」
お腹が空いて、マジお疲れって表情で、ぼそっと、ボクは呟いた。
明日、ドラゴン戦と言うことで、テンションが上がっているけど、さすがに、もうそろそろ、おねむの時間。
くっ、この小さい身体が、睡眠を欲しているんだよ。
「閣下、もう少し真面目に考えてください」
幾度も無く、ネーミングセンス抜群の有栖乃家の三男だったボクの提案を全て却下したんですよ。
信じられますか?
いい加減、朝までに終わらせないといけない次の作戦もあるから、認めて欲しいものです。
今のだって、改心の出来って訳じゃ無いけど、そこそこ良い出来なのになぁ……。
近衛騎士団の連中……いえ、現在名称募集中の集団の連中は、ボクが新しい部隊名を考えることで、クーデターを回避してくれました。
そんな簡単なことで良いのかと思ったんだけど、2時間たっても終わらないんです。
マッコォイさんとトルネドさんは、各地へ瞬間移動魔法で飛ぶ準備をしています。
ボクが身動きできないので、くも子さんの分体が代わりに瞬間移動魔法を使って、ブリタニアン領、エルフティア王国とマッコォイさんの元本拠地である魔道具技師都市連盟を何度も往復しているようでした。
冒険者ギルドにも行って、人員の不足分を補っているようです。
くも子の連絡では、涙ながらに冒険者ギルド長が、全面協力するっと土下座したようです。
理由は、教えてくれませんでしたけどね。
便利なんで、ずっと、くも子を貸してくれって?
もちろん、ダメですよ。
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お父さまは、エクトル男爵と一緒に、お城に行って貰っています。
2時間ほど前。
「はい、お父さまとエクトル男爵にも、頑張って貰わなければいけません」
ボクはお父さまとエクトル男爵の方に視線を向けてそう言った。
「別に俺の見せ場を無理に作らなくていいんだぞ」
手柄だけ貰うようで、ばつの悪そうな表情でそんなことを言ってきた。
「そんなこと、ありません。各国の代表と交渉をお願いしたいんです。ボクじゃ、会えもしませんからね。領内で暴れても良いという免罪符と、海塩の関税を無しにして貰う交渉です。ひいおじいさまに、紹介状を書いて貰って、くも子の分体便で各国に飛んで貰います。出来れば、夜が明けて、昼までに、終わらせて下さいね。後はブタイル商会の確保と魔族もお願いしてください。各国でその対応が無理そうなら、くも子の分体に相談して下さいね。では、ブリタニアン伯爵、エクトル男爵。ワインの代金分の働きを頼むよ」
ラウンドテーブルの上から、上から目線で命令をする。
「「はっ」」
思わず、敬礼したお父さまとエクトル男爵。
そして、両手と膝を地面につけた。
「ランスロットに命令される日がくるとは思っていたが、早過ぎるぞ!!」
心からの叫び声のようだ。
「オレ、男爵になって、モテモテになって結婚するんだなぁと思ってたら、首を吊らないといけないくらいの借金を背負わされて、3歳児の甥っ子に顎でこき使われるんだぜ」
同情はしますけど、お金は返すか、身体で返してくださいね。
「後、お父さま、国王さまに…………」
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「もう、ネタが尽きてきたんですけど……、ベディヴィア卿、良い部隊名の希望や、アイデア、ありますか?」
困ったときの他人頼み。
いや、本人頼みか……。
「閣下に全て決めて貰いたかったが……仕方がないですな……某が、ヒントだけでも差し上げましょう。良い名前というのは得てして矢庭に生まれるモノです。例えば、閣下の足下の…………」
そのベディヴィア卿のセリフを遮るようにひとりの名も無き……ごめん、まだ、名前を覚えていない騎士が言葉を発した。
「閣下の足下と言ったら、靴を履いていますね。おおぅ、『閣下の靴を舐め隊』と言うことですか。これは、閣下に対するオレらの溢れんばかりの気持ちが現れていて良いですね。さすが、団長です」
コイツやるなぁ。
かなりネーミングセンスの良いヤツです。
これが、ボクの靴のことじゃ無かったら満点の出来ですよ。
本当に拾い物かもしれません。
「おい。そうじゃないだろ!」
なぜか、ベディヴィア卿が怒っている。
これは、コイツのネーミングセンスに対しての嫉妬か?
「分かっています。分かっています。分かっていますよ。『閣下の靴の裏を舐め隊』って言いたいんですよね。さっきは、ちょっとオレらの気持ちを控えめに言っていました」
おお、これは、満点を超える出来ですよ。
ボクの靴の裏のことじゃ無かったら、マジ最高の出来です。
「くっ、お前は…………。もっと下だ、よく見てみろ!!」
そう言って、ボクの足下を指さすベディヴィア卿。
「もうしかして、ラウンドテーブル!? さすがは、団長。目の付け所がスマートです。団長が仰られたいのは、こうですね。『ラウンドテーブルのように踏まれ隊』ですか? なんて魅力的なネーミング、グッドです。サイコーです。そうすると、閣下にそれ用の鋲の付いた靴を献上しなくてはいけませんね」
こ、これは、ボクに関することが入っていないナイスなネーミング!?
100点満点中100万点あげても良いです。
「お前なぁ……」
こめかみの欠陥が切れそうなベディヴィア卿。
理由は不明ですが、激おこプンプン卿ですよ。
「Knights of the Round Table…………ラウンドテーブルのナイトたち…………円卓の騎士団」
ボクはふと頭に浮かんだ……いいえ、聞いたことがあった単語を並べていった。
「『円卓の騎士団』……いいですね。これぞ、某が求めていた団名ですよ。閣下が載った円卓に集いし騎士たち。この場の状況にぴったりです」
めちゃくちゃ喜んでいるベディヴィア卿。
これ以上、考えたくないし、聞いたことがあるような名前なので、よしとしておきます。
「名前が決まったのか? へぇ~『円卓の騎士団』か、格好いいな」
お父さまとエクトル男爵が戻ってきたようです。
「バン、オレも入れて貰っても良いか?」
喜んで、尻尾を振っているように感じるエクトル男爵。
「ベディヴィア卿。俺とケイを入れてくれんか? 今後、『円卓の騎士団』の名前を使った方が良い時もありそうだしな」
「2人の件、了解だ。こちらからのお願いだが、実務は他のモノにやらせるが、昔のように副団長も頼むぞ。こっちもブリタニアン伯爵の名前が役に立つからな」
「もちろんだ。団長。これからもよろしくな」
「ああ、こちらこそな」
「なあなあ、オレは? オレも混ぜてくれよ。オレだって腕は立つんだぞ」
こうして、ランスロットと愉快な………………『円卓の騎士団』が設立された。
と言うことで、近衛騎士団の卒業話でした。
次話、てきとー次回予告
くそっ、○○○のせいで散々な○○○○だ
お前が全部一人でやりたいなんて言うからだと
お前とやるくらいなら一人でやった方がましだ
だからそれが駄目なんだって
おい、○○○○してまで喧嘩してんじゃねぇ!
押忍!
次回、ノエルデヤリタイ!!『最強の味方』




