073.はがねの錬金術師(?)伝説…その34
書いていて、格好いいおじさんたちがたくさんいる。
出待ちのヒロインたちへのハードルがどんどん上がっていく。
「今ある海塩を全て下賜しますので、周辺国全ての塩を余らせてください。ブタイル商会の岩塩が必要ないくらいにお願いします。人員の準備が出来次第、周辺国に瞬間移動で送ります。これが秘密兵器であり、海塩の販売管理をする魔道具『全自動ウミジオくん』です。そして、こっちが、海塩とお金を交換する魔道具『お自動たん』です」
ここで、一旦、話を切った。
ジッと2つの魔道具を観察しているマッコォイさんとトルネドさん。
「坊ちゃん閣下、続きをどうぞ……」
視線は動いていない、2つの魔道具を焼き付くように見ている。
「お願いします」
トルネドさんも頭を軽く下げたが、目線は動いていない。
真剣な2人の顔。
触ると切れそうなくらいだ。
2人の本気の本気を垣間見た感じがする。
「分りました続けます。『お自動たん』にお金を入れると…………」
『全自動ウミジオくん』は在庫販売管理用の魔道具。
『お自動たん』は自動販売機みたいな魔道具。
自販機と違うのは、『全自動ウミジオくん』と『お自動たん』は、アイテム収納を共有していることです。
つまり、在庫補充や代金回収のために『お自動たん』周りをする必要がないことです。
『全自動ウミジオくん』があれば、海塩の在庫補充、そして、代金回収が出来るんです。
自動販売機より、さらに進んだシステムになっています。
「………………つまり、『お自動たん』を設置して『全自動ウミジオくん』の在庫を切らさなければ、半永久的にお金が入ってくる仕組みです。この『お自動たん』は店であり、販売員でもあります。そして、『お自動たん』は『全自動ウミジオくん』に金貨1枚入れれば1個作れます。半永久的なお店が販売員込みで金貨1枚です。金貨1枚で1個しか作ることが出来ませんが、いくらでも作ることが出来る。さて、これを2人はどう使う?」
2人とも超真剣な表情で考えている。
「坊ちゃん、お客さんに海塩をいくらで販売するつもりなんですか?」
そうですよね。
これが分からないと、答えようがないですね。
海塩の値段については考えてあります。
「1Kg銅貨1枚です」
銅貨1枚約200円です。
綺麗な海から出来た天然の海塩がなんと1Kg200円です。
ボクが買いたいくらいです。
って、売るほど在庫を持っています。
そう、だから、売るんです。
「「「「「「1Kgが銅貨1枚!?」」」」」」
お父さまや、エクトル男爵、近衛騎士団の連中も驚いている。
「おいおいおい、年に岩塩用に金貨5枚を分けてるのが、銅貨5枚で済むのかよ」
「今でこそ、お金に気を遣わなくても済むようになったが、年1人当たり約金貨5枚は大きいな」
「うちは大所帯だから、そうなるとありがたいな」
そして、それぞれの思いを呟いていた。
「坊ちゃん、思いっ切りましたね。通常1kg金貨1枚を…………50分の1ですか……。こないだ、坊ちゃんから買った海塩……1Kg金貨5枚で売れたんですけどね」
トルネドさんもぼったくるなぁ。
「坊ちゃん閣下の海塩より質の悪い岩塩は、これより、低い価格で売らないと売れないのか…………岩塩の在庫の評価額が50分の1……いや、100分の1以下にはなるだろう。……おー怖い怖い」
そう、ブタイル商会の資産をゼロにするのが目的です。
ここのように物理的にゼロにしちゃってもいいんです。
ただ、他国ではこんなに暴れられません。
捕まっちゃいます。
他国に貸しをつくること、そして、ボクの名前を売っておくことで今後の動きをしやすくしておくんです。
顔パスで城郭内に入れるくらいにはね。
そのために、ドラゴンと魔族、ブタイル商会はそのための生け贄のようなモノです。
「私は、これがあると思って、岩塩の在庫を全て売り払ったんですよ」
うっ。
そこまで、考えが回っていなかった。
と言うことは、岩塩の在庫を持っている商人が他にも…………。
「あの……マッコォイさんとトルネドさん……」
2人に話をして、その人たちの救済を……。
「坊ちゃん閣下は優しいですね。でも、それは違います。商売にはリスクが付きモノです。いくら岩塩がリスクが低いって言っても、リスクに対する備えくらいしているでしょう。リスクに対して、備えていないって言うんだったら、そいつは商売人に向いていないってことです。坊ちゃん閣下は、自分がやりたいことをやって、迷惑をかけたら、その人たちに施しをするんですか? 戦争を吹っ掛けられて、追い返したら、敵に対して施しをするんですか? 極端なことを言いましたが、迷惑をかけて、謝るなってことはありません。迷惑をかけるなってことでもありません。人は何かしら、迷惑をかけなければ生きていけないんです。まずは手の届く範囲からやっていきましょう。その小さな手が届く範囲で、やっていきましょうよ。それに、坊ちゃん閣下が全部背負うことじゃありません。岩塩の在庫を持っている商人のことは気に留めておきます。トルネドもいいな」
ボクの言いたいことを察して、心のフォローまでしてくれるなんて、死の商人とは言われていても、ボクなんかより本当に優しい人ですね。
「もちろんです。それに、岩塩の件は、手紙を送って知り合いには、『最低限の取引にしておけ』とそれとなく伝えてありますので、心配いらないですよ。坊ちゃん」
本当に、2人には敵わないなぁ。
次話、てきとー次回予告
○○さん、○○卒業おめでと~!
えっ?
いや~、長い間ご苦労だったなぁ、○○
あ、いや、卒業って
これでお別れなのは寂しいけど、○○の事は忘れないのだ
私、○○さんの跡を引き継いで、一生懸命頑張りますね
それじゃあ○○、最後の一仕事頼むぞ
次回、3歳児†無双、第一席『○○○○○○○○○するのこと』…って、ほ、本当にこれで最後なのか?なぁおい、ちょっと




