639.ゆる~い小学校生活…その109
さて、移動が完了しました。
学生食堂を出ただけですけどね。
渡り廊下の横です。
「じゃあ、屋台を出すから、ちょっと離れてね」
アイテム収納から、素直に石焼き芋リアカーを出せば良いのですが、それなりに人数がいるのと。サツマイモが2種類あるので止めておきます。
【魔法創造:完全複製】
そうです。
複製してから取り出します。
正直、こんな魔法作ったら、ダメなのは分かっているんです。
でも、今さらです。
どうせ他の魔法でも代用できちゃったりしますしね。
【完全複製】
と言うことで、アイテム収納内で石焼き芋リアカーを複製しました。
この世界唯一の石焼き芋リアカーが2つになりましたよ。
これで、石焼き芋リアカー1台につき、1種類のサツマイモを作ることができます。
「みんな、食べるんだよね?」
クラスメートや先生たち、そして、ビア・ギャロットさんを筆頭に学生食堂の職員たちに目配せをしながら確認した。
もしかしませんでした。
聞くまでもなかったです。
「分かりました」
皆の視線を集めながら、取り出した石焼き芋リアカーに敷き詰められた黒丸石の中にスパイダーエターナルといもイモ芋スイートポテトを埋めていった。
分かっているとは思いますが、取り出した石焼き芋リアカーは、元いた世界のとは違って魔導具なんですよ。
そのおかげで、石の温度は瞬間的に変わってくれます。
予熱しなくてもよくて、めっちゃ便利です。
でも、今回はじっくり温度があがったり下がったりするように設定しました。
焼き芋の場合はそっちの方が都合が良いんですよ。
「後は90分待つだけで、出来上がります」
ちなみに温度は159度です。
表面に焦げができるかできないかのギリギリの温度設定にしています。
低温でじっくり温め続けることで、糖度がドンドン上がっていくんですよ。
「「「「「「え゛~~~~」」」」」」
一瞬フリーズしたここにいる全員から不平不満たらたらの声が上がった。
当然と言えば当然ですよね。
「はあ、分かりました。すぐ完成させちゃいますね」
元々、魔法で調理する予定でしたからね。
周りの反応を楽しみたかっただけです。
【時短料理】
調理工程を思い浮かべながら、魔法を発動させることで、調理が完了します。
自動調理なべみたいな感じです。
でも、自動調理なべとは違って、同じ材料、同じ分量を使っても思い浮かべた調理工程に合わせて味は変わるんですよ。
そこにはニューロでファジーなフォローはありません。
そうです。
単純に調理工程を省略して結果だけを導いてくれるんですよ。
ちなみに【時短料理】魔法は、料理ができない術者だと発動しません。
魔法回路に安全装置を組み込んでありますからね。
食材が勿体ないのでダークマターなんか作らせませんよ。
「完成したけど…………初めてのだから、先に味見させてね」
ミノタウロスの皮をスパイダーシルクで縫った完璧な耐熱性を誇る革手袋を使って出来上がったと思われるスパイダーエターナルといもイモ芋スイートポテトの焼き芋をまだ熱が残っている黒丸石の中から掘り起こす。
味見しなくても手にしただけで分かる。
あ――――――これ絶対に美味しいヤツだ。
「ランスロットくん、アテナ2号さんも味見手伝うのですよ」
「…………ん…………手伝う………………」
「主君、毒味役は任せてください」
「ランスロットさま、シィルも味見をお手伝いいたします」
「皆が手伝うのなら、わらわも手伝わねばならぬな」
味見しなくても美味しいと判断できたのですが………………。
まぁ、仕方が無いです。
「熱いから気をつけてね」
【念動力】魔法を使いながら、握り心地を確認しながら、紙袋にスパイダーエターナルといもイモ芋スイートポテトを1本ずつひとり分として渡していった。
本当に握り心地だけで焼き芋がとろっとろなのが分かります。
表面も焦げ付かない温度設定にしてあるので、硬くなっていません。
このまま栗の甘露煮とあえれば甘~い栗きんとん。
缶詰のカットパインとあえれば酸味が良い感じにアクセントとなるパイナップルきんとんになりますね。
できればクチナシの実で色づけを…………って話がズレました。
とにかくです。
焼き芋は飲み物ですって言えちゃうくらい柔らかいんですよ。
経験則から判断するに、無茶苦茶甘いはずです。
なぜか、味見をするために腹ペコ姉妹たちの後ろに先生やクラフトマンクラスのクラスメートたちも並んでいた。
食べます、サツマイモ?
秋太りの一番の原因だな
サツマイモ狩り~
クリオ猫だな
お、ランスロットくん結構うまいのです。
ねじれてるから宇宙じゃないの
え…?
次回 340話 サツマイモが飲み物になった




