063.はがねの錬金術師(?)伝説…その24
まさかの展開
第1章の見せ場のひとつ(のはず)です。
予定では、あと2つほど、盛り上がりがありそうです。
今、第2章の見せ場を考えている最中です。
そう、第2章でやっとヒロインが登場します。
ヴィヴィアンはヴィヴィアン枠です。
予定ではヒロインは3人で2人はなんとなく名前と設定が決まりつつあります。
残りのひとりが難しい…………。
あと、ぶくまや評価ありがとうございます。
ユニーク数も一万超えました。
本当に、ありがとうございます。
見える形で良いリアクションがあると、モチベーションがアップします。
[深淵]・`ω・) ちらっ
夕暮れで少し暗い人通りの少ない少し広めの裏路地に、ボクたち3人と30匹+1人が向かい合っている形になっている。
一部のメンバーが先回りするとか無く、30匹+1人が30匹+1人とも全員ゾロゾロと尾行してついてきていたので、ボクたちを囲うような布陣には出来なかったようだ。
正確には、ボクたちの他にくも子の分体が魔族たちの後ろで巣を張っているので、完全な挟み撃ちだ。
全く負ける要素無いよね?
いや、負けフラグとかじゃないから。
ボクは愛槍『秋津止まらず』をアイテム収納から取り出して、石突を相手に向けた。
穂を向けないのは、優しさじゃない、死なして楽にさせるのではなく、生きて後悔させてやるためだ。
今回はどうしても無理って状況じゃない限り不殺で切り抜ける。
死なせてやるもんか、死ねるのなら、自ら死を選べ。
まぁ、こういった卑怯なヤツらは絶対に死を選ばないけどな。
「ガキは槍の使い方すら知らないみたいだぜ」
「対同族戦以外勝ち星のない俺らでも、勝てそうだな」
「こんなに人数いらなかったんじゃないか?」
実力を見極められない可哀想なヤツら。
「そんなガキに俺はビビってたのか? 最後………いや、これから始まる俺の栄光のために、かっこいいところを見せてやる。だから、お前たちは、手を出すな。いくらなんでも、ここで、衣食住の面倒を見てやったのを忘れてないよな?」
そのおかげで、釣れた。
魔族に『3分だけやる』って言われて、3列目の男が前に出てきた。
『フィィィィィィッシュ』って叫びたいくらいだ。
最後にしようかと思ったけど、こうなったら最初にヤってやる。
「次の国王に楯突いたことを後悔させてやる」
そう言って、腰の剣を抜いた。
では、こちらもいきますよ。
【照明】
1手目は、合図を兼ねて照明魔法で周囲を明るくする。
慌ててる。
慌ててる。
と言うか、コレくらいでパニックにならないでよ。
さて、2手目は…………超面倒だけど、染み付いた習慣は抜けないんだよ。
ボクは大きく深呼吸をした。
そして、一気に早口言葉のように、技名を口パクした。
こんな技名、口に出して言えるかよ!!
【有栖乃流:義理の妹が弁当を作ってきてくれたんだけど、兄妹喧嘩したあとで奥歯が折れてたんだよ、で、奥歯が無いとちゃんと噛めないからメシが不味いんだよね。そして、義理の妹が作ってくれたお弁当を食べて、一言『不味い』……、さらに喧嘩になったよ。お、俺、悪くないよな? わざとパンチを喰らってやって、歯まで折ったんだぜ。そんな、どんな料理を食っても不味いとしか思えない状況で、マジで不味い義理の妹のお弁当を食わされて、感想を聞かれて素直に答えただけだ。ほ、本当に、俺、悪くないよな? と言うことで、この理不尽な仕打ちに対する気持ちをこの技に込める。そう、同じ目にあわせてやるんだ。技はやっぱり浸透勁だろう。こつんと当てただけで、奥歯の付け根を固定している骨を折る………力の加減が難しいな、面倒だから全部の歯を固定している骨を折っちゃえ。この技を喰らったヤツは、歯がねぇヤツになる。そして、この技は、そういうヤツらを大量に作るんだ。そう『歯がねぇの大量生産』だ。あ、無いわ。マジ無いわ。ゴロが悪すぎる。余計なこと………いや、いいこと思いついた。この技の略称と技を喰らったヤツを『はがね』にする。『歯がねぇ』だから『はがね』、うんうん、ナイスなネーミングだ。代々、有栖乃家は、ネーミングセンスは抜群なんだよ。そして、この技を技を喰らったヤツを大量生産したヤツを錬金術師………そう、『はがねの錬金術師』。決め台詞は『世の中等価交換じゃないんだよ』。どうせ、この技は俺らの一族が使うんだ。一方的に蹂躙する側だろうからな。あと、この技の正式名称は『義理の妹が弁当~』だからな。先人に対して敬意を払って、技名はちゃんと言うんだぞ、最初から『はがね』と略すなよ。あ、それと、兄妹喧嘩なんかするなよ。義理の妹と親睦を深めようと、一緒にお風呂に入ってスキンシップしただけで、殴ってくるんだぜ。マジで義理の妹の教育を間違えたぜ。だから、妹が小さい頃から、お兄ちゃん娘になるように、調教………教育しておけよ。長くなったが、これが先人の知恵を含んだ技名だ。じゃあな、シーユー♪ じゃねぇ、たぶん、この技が引き継がれている頃には、俺はこの世にいないから、グッバイだ。じゃあ、あばよ♪ あ、そうそう。あ、いや、これが最後だ。技名の最後に決め台詞を入れとくぜ、そうすれば、絶対に決め台詞を言うだろう。では、ここで決め台詞『世の中等価交換じゃないんだよ』】
なげーよ!!
技名、超なげーよ!!
これ、技を覚えるのは簡単なんだけど、技名を覚えるのが、めっちゃ大変なんだよ。
御鏡本家で検定試験があるくらいだ。
最悪なのが、検定試験で100点を取らないと、この技を使ってはいけないってことだ。
この技を作った最悪なヤツ、死ねよ!!
って、亡くなったボクの元クソお父さまです。
で、技名にでてくるクソ不味い弁当を作った義理の妹が、『殻付きのが一番美味しいって聞いた』で殻付きの牡蠣フライを作って、台所を爆破させたマジで料理下手な同じく亡くなった元お母さまです。
その元お母さま対策にトイレの個室は家族分以上あって、スポーツドリンクが常備してある。
トイレから出れない下痢に対しては水分が必要なんだ。
シャァァァァァァァァァァァァって3倍以上の速さで出ちゃうから水分を補充しないと色々と拙いんだよ。
食中毒による下痢は、下痢止めなんか飲んだら死んじゃうんだぞ。
そして、ヤられるときは全員ヤられるんで、スポーツドリンクを持ってきてが出来ないのと、当然、トイレは我慢出来ないので、このような環境になった。
食べても問題のない料理を作れるってことは大事なことなんだぞ。
そして、美味しいモノを食べることが出来るのは幸せなんだ。
元いた世界のお兄さま、いい加減、元クソお父さまが作ったであろう『出されたモノは全て食え』と言う有栖乃家の家訓や、お袋の味を再現とかもマジやめた方がいいぞ。
ごめん、ちょっと愚痴った。
で、ボクの一族は養子縁組が多いから、義理の兄弟姉妹ばかりだから、兄妹、姉弟で結婚することはざらだ。
元クソお父さま曰く、『義理の妹がデレたので結婚した。と言うか、あいつの飯、俺しか喰えねぇだろ?』
元お母さま曰く、『クソ兄貴を野放しにすると一族の恥だから、仕方なく、私が責任を持って始末………………犠牲になって結婚する』
まぁ、そんなことはどうでもいいんだ。
ただ、さらに最悪なのが、この技が嫌がらせに最適過ぎることだ。
人間の3大欲求の1つを潰すんだ。
マジで元クソお父さまが作った技だけある。
コツン、コツン
人中とオトガイ唇溝に石突を当てる。
簡単に言えば、鼻の下と下唇の下だ。
当てただけではない、技名にも入っていたが浸透勁の技だ。
ボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボト
技によって歯茎の中の骨がボロボロになり、歯が音を立てて地面に落ちた。
「ふがふがふがふがふが」
『はがねえ』……『はがね』を量産する技だ。
そう、大量生産する技なんだよ。
どんな世界も全てが平等じゃ無い。
この世界は、正義でも悪でも、強いモノが蹂躙出来て、弱いモノが蹂躙される世界だ。
ボクは蹂躙出来る立場で、ボクに悪人認定されたあんたは蹂躙される方だ。
これから、歯がないから、どんなに美味しいモノを食べても、飯マズになる。
そんな、死より苦しい状態で一生生き続けろ!
世の中等価交換じゃないんだよ。
次話、てきとー次回予告
戦いは始まった
もう誰にもこの怒りは止められない
この先生きのこるのは、ボクと味方だけ
そして、決着の果てに見えてくる真実とは?
次回、はがねの錬金術師(?)-フルでめっちゃ切れてる人-
第2話 『○○の日』
集え、戦いに興味がある野次馬たちよ




