621.ゆる~い小学校生活…その91
もうそろそろ落ちそう
「大丈夫だと思うけど、気をつけてね」
軽い。
軽いです。
そんな、ユノ先生のセリフを聞いてからの出発です。
「本当に向こうでいいの?」
一応確認しておきます。
ボクが指差した方向は、雑木林と言うより森に近いです。
と言うより森ですね。
通称『帰らずの森』の一部です。
直径200Kmの巨大な湖『ドズノ・レザビ・プール』の湖畔にある『湖の乙女』キャンプ場の対岸の一部は『帰らずの森』と繋がっているんですよ。
すっかり雑木林になったここも、たぶん元は『帰らずの森』の一部だったと思われます。
ちなみに、対岸のさらに先には『ナインドラゴンヘッズ川』が流れています。
ちょっと話がズレましたが、ボク的には、素材が沢山取れる森なのでいいんですが、『帰らずの森』と言われているだけあって、雑木林より攻略難易度が高いんですよ。
でも、くも子の縄張りなので、比較的安全です。
そして、『ドズノ・レザビ・プール』や『ナインドラゴンヘッズ川』はうな子の縄張りなので、こちらもそれなりに安全ですね。
元いた世界だって、安全に見えても危険な所もあったので、100%安全な場所なんて幻想です。
ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
その辺で飛んでいる蜂に刺される可能性だってあるんですからね。
「ランスロットくん。もちろんなのですよ」
「…………ししょー…………行きたい………………」
「行ってみた…………い、じゃなくて、ただただ主君について行くだけだ」
「シィルも、森に行ってみたいです」
「皆に任せるのじゃ」
多数派の意見が絶対だなんて、これが民主主義なんですよね………………。
これは…………行くしかなさそうです。
「じゃあ、行きますか!」
ホバーブーツで一瞬じゃないけど、雑木林を迂回しながら、それなりに早く目的に到着です。
【瞬間移動】魔法や【飛行】魔法を使えば早いのは分かってます。
でも、不便が良いんです。
じゃなきゃ、こんなところでキャンプなんてせずに、王都ウェールズの貴族御用達の宿屋に泊まれば良いんですよ。
自分たちで、食材を獲りに行かなくても、美味しい料理が出てくるのを待てば良いんです。
そんなメリハリのない生活が続いたら、気が狂っちゃいますね。
さて、最初だけ指示を出しておきます。
「パラスは、スカウトで索敵をお願い。アルトゥメアは、ディフェンダーで後衛に攻撃がいかないようにお願い。シィルフィ、ヒーラーで移動中は周囲の警戒をお願い。グィネヴィアは、キャスターで移動中はシィルフィのフォロー。戦闘中は指揮をお願い。アテナは、アタッカーで移動中は最後尾で後方から安全を確保と指揮。そして、戦闘中は敵にダメージを与えつつ全体のフォローをお願い」
で、こっちを見る腹ペコ姉妹たち。
ボクの役割を口にしてませんでしたからね。
仕方が無いのかも知れないです。
「えっと………………ボクは食材を探しておくね」
ジト目で見られている気がします。
別に怠けたいわけではありません。
もちろん、全力で不便を楽しむという選択肢もありますが、今回は団体行動ですし、見た目は子供、中身は大人げないボクでも子供相手に大人げ過ぎる行動は控えておくんですよ。
それに、『帰らずの森』で一番危険なのは、くも子ですし、ここは『帰らずの森』でも、端っこですから、腹ペコ姉妹たちに任せっきりでも大丈夫でしょう。
一応、気配探知くらいはしておきます。
普通に気配探知をすると困るのが、くも子です。
一番多い気配なので、探知精度を上げないと、くも子しか探知出来なくなるんですよ。
最近は慣れたので、自動的にくも子の気配はスルー出来るようになりました。
と言うことで、ハンティングスタートです。
○○だぜ!
○○だよ。ランスロットといえばフィアンセだけど
フィアンセだね
三隣亡って暦知ってる?
三隣亡?
その日に家を建てたら、隣三軒まで巻き込む大火災が起こるという恐るべき暦なのだ
恐るべき怖い
さすが腹ペコ姉妹のフィアンセ
さすが腹ペコ姉妹のフィアンセだ
でもこれ推理小説のトリックに使えないかな?
どんな風に?
犯人は三隣亡の日に家を建てたのだ
隣家の人を殺すために
あり?
なし!
過去編クイズ!
過去編かよ!
前回、『うなこプール 621』
みんな知ってる
次回、『くもこスネイク 622』
あ、○○ちゃんの出番だね
素になんなよ…




